有楽町、銀座を中心に活動をしている私は、
銀座8丁目付近に止まる大型バスから、中央通りのショップに雪崩れ込み、
多くの買い物袋をさげている訪日外客人を多く目にすることがあります。
日本で言われる、爆買い。
特に銀座は以前よりも免税店やホテルも増え、
土日の中央通りの歩行者天国の時間帯は、歩くのもやっとのほどです。
訪日外客数も2015年は2000万人に迫る勢いで、
そのうちの499万人は中国からいらっしゃる方々。
決して他人事ではない事情もあり、気になりましたので手にとってみました。
著者はジャーナリストの中島恵氏。
日刊工業新聞社で記者としてアジアや中国を担当していらした方です。
まず、なぜ彼らは日本を目指すのか、という章に著者は次のように表しています。
1、政治的な関係もあり近くて遠い国だったが、円高、元安、SNSの発達で日本のイメージが変化
2、ビザ発給要件の緩和
3、廉価で高品質な日本製品
様々な事情にもより、なにか疎遠だった隣国同士でしたが、個人的にはやはりSNSの発達により、
日本の良さがクローズアップされたことに大きな意味があると感じます。
タイトルの爆買い後・・・についてですが、
団体ツアーから個人ツアーへのシフトが増えている、
都心プラス地方への訪日客が増えている、ということがキーワードにあるようです。
それは「モノ」から「コト」へ消費がシフトしているということも理由にあるようです。
日本においても一部で物を持たない「ミニマリスト」「ミニマムライフ」といった
ライフスタイルが盛んに配信されています。
車も家も洋服もシェアをし、
最低限の持ち物でスタイリッシュに生きる生活スタイル、とでもいいましょうか。
モノへの執着よりも「出会い」「豊かさ」といった、
お金では買えない価値が見出されているのです。
それは訪日の方々、特に中国の方々がすでに同じ目線にたったということだと私は思います。
温泉や食事だけではなく、健康診断、美容室、エステといった
「コト」への価値を楽しみにいらっしゃる。
訪日目的も爆買いにあたる「ショッピング」は
2014年訪日目的3位であったのに対し、2015年は4位に下がっています。
日本中には日本人さえも知らない「コト」が沢山詰まっています。
とても興味深い内容です。
ひとつ気になったのはラオックスの記事です。
2009年に中国大手の蘇寧電器傘下になりました。
その影響はというと、日本のラオックスで購入した商品を
中国の蘇寧電器でアフターサービスを受けられるということ。
日本に店舗を設け、団体ツアーに盛り込めば、中国の店も潤うということです。
しかし視点を変えてみれば、・・・そうです、
中国法人だけで経済がまわる仕組みになっているということです。
ラオックスといえば秋葉原にあった電気屋さん・・・のイメージでしたが、
検索すると「日本国内最大規模の総合免税店」とあります。
グローバル経済の怖さを感じました。
先日もシャープの資本が台湾の鴻海精密工業に移譲しました。
台湾の訪日外客数も2015年は368万人で中国、韓国に続く第3のお客様です。
目先の観光立国か?
・・・爆買い云々という話ではなくなる気がします。
とはいえ外国の方に日本の本当の良さを知っていただくのは嬉しいお話です。
ツアー客が一巡し、FIT(Foreign Independent Tour)と呼ばれる個人旅行が急増していく。
東京、大阪といった大都市やゴールデンルートといった場所ではなく、
自然や四季をもつ日本だけの良さが世界中に広く認知してもらえるようになれば嬉しいです。
「モノ」から「コト」へ。
空間を預かる私たちにおいても大切なキーワードです。
うーん、奥深い!
一見すると間逆に近い不動産業界にもコト消費を考慮していかないと影響が及ぶと感じました。
「空間+人+サービス」から、
「空間+人+サービス+感動」といったところでしょうか。
皆さん協働しましょう!
皆さんと一緒に大好きな日本を盛り上げていきたいと思います。
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タイトル:「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか?―中国人のホンネ、日本人のとまどい
著 者:中島恵
発 行:2015年12月23日
発行所 :株式会社プレジデント社
■関連・参考サイト
ジャーナリスト中島恵のブログ
http://keinakaji.exblog.jp
RP さと、うま