私たちの頃とは違い、皮手袋にピチッとした通気性の良いアンダーシャツ。
「時代は変わったなあ・・・」と感じますが、それでも坊主頭に、
ズボンの裾をしっかりと上げストッキングを見せる着こなしには、
高校野球特有の凛々しさ、清々しさを感じ、何故だかとても嬉しくなります。
そんなことを想いながら、今月のおすすめ本は、
『あきらめない限り、夢は続く(難病の投手 柴田章吾、プロ野球へ)』(新潮文庫/田尻賢誉)です。
この本は、ベーチェット病という原因不明の難病に苦しみながらも、甲子園出場を果たし、
育成選手ながらも読売巨人軍に入団した柴田章吾という一人の青年を追った物語です。
彼は、中学時代から幾つもの強豪校から誘いを受け将来を嘱望された投手でした。
中学3年・・、未来に大いに夢を抱いていた彼を突然の病魔が襲います。「ベーチェット病」。
慢性的に全身に炎症が起こり、回復と再発を繰り返す病であり、未だに原因は究明されておりません。
目や口など粘膜や皮膚に炎症を起こし、
視力低下、強い腹痛、下痢、嘔吐、血便、意識障害、運動マヒ等、様々な症状があげられます。
場合によっては生命に関わる病気です。
中学3年生・・・。現実を受け入れるには余りに幼く、残酷なものでした。
しかし彼は様々な人に支えられ、紆余曲折ありながらも夢を諦めず、
愛工大名電に進学して甲子園出場を果たし、その後東京六大学の雄 明治大学へ進学し、
2011年のドラフトを経て、育成選手としてプロ野球選手となります。
その陰にはご家族の支えはもちろん、周囲の反対を押し切り、名門校へ入部させた監督、
そしてチームメイトの存在がありました。
そして何より、夢を諦めず、一歩一歩でもその夢に向かい挑み続ける強さを彼は持っていました。
「夢は逃げない 逃げるのは自分」
巨人軍への入団が決まり、お世話になった方々に配ったタオルに
「感謝」とともに書かれていた言葉です。
「『夢なんて叶えられない。』という人がいるけど、
それは自分が逃げているだけで夢は動いていない。
自分からやめたから辿り着けない。
もちろん絶対にそこに行ける訳ではないけれど、
夢は自分で掴みにいかないと掴めない。
そのためには絶対に逃げちゃダメなんだ。
やればできる。必ずできる。絶対できる。
想い続けるかぎり、諦めなければ夢はきっと叶う。」
そんな当り前だけど、誰もができるものではないことを、改めて教えてもらった一冊です。
夢に向かい、かけがえの無い仲間と共に努力し続けた自分自身の学生時代を思い出しながら、
そして夢に向かい挑み続ける”現在”を思いながら、読んでみて欲しいと思います。
(にのみ屋)