今回のおすすめは、文庫本の時代小説「銀二貫」です。
作者の高田郁さんは、「みをつくし料理帖」シリーズでおなじみの
時代小説作家の方です。
この本は、大阪の書店員らが、大阪ゆかりの小説の中から
「ほんまに読んで欲しい」本を選ぶ「Osaka Book One Project」の
第1回受賞作に選ばれています。
なぜ「銀二貫」という題名なのでしょうか。
あらすじを簡単にご説明いたします。
大阪天満の寒天問屋 井川屋の主・和助は、仇討ちの場面に出くわし、
父親を斬られた鶴之輔という少年を、銀二貫で救いました(このお金は、
大火で消失した天満宮を再建しようと、必死に工面した大金でした)。
見知らぬ少年1人の命と大阪商人の心の拠り所である天満宮の再建。
「銀二貫」という題名には、大変に重い問いかけが込められています。
引き取られた少年は「松吉」と名を改め、商人として厳しいしつけに耐え、
番頭や丁稚、その他多くの人々の厳しくも温かい人情に支えられ、商人道を
突き進みます。その中で新たな寒天作りを志し、幾多の苦難や逆境に挑み、
へこたれそうになりながらも信念を貫き、仕事に人生に、真正面から向き合い
続けます。
限界への挑戦、あきらめない心、そして人の美しい心に想いを寄せる純粋さ、
生きたお金の使い方、私たちが大切にしたい人生観がこの本にはたくさん詰まっています。
また、この本の中では、大阪の地で商いをする者にとっては、
『始末、才覚、神信心』の3つが、日々の要となる大切な心がけである
としています。収支を計って身を慎み、知恵を絞るだけでは、
ひとかどの商人とは呼べない。神仏に感謝する気持ちがあって、初めて
真の大阪商人と呼べるということです。
足るを知り、知恵を絞り、感謝の気持ちを持つ。学ぶべきことが大いにあります。
ぜひご一読ください。おすすめです!!
にのみ屋