2019年9月のさと、うま アイデアのレッスン@外山滋比古

私の好きな本。
著者は東大生、京大生に一番読まれたと言われる「思考の整理学」の外山滋比古氏。
本当に考え方を尊敬している先生で、何度読み直しても刺激になる。
この本も文庫本で読みやすい。
特に好きな項を抜粋したものを列記する。

イタリアの経済学者パレートは知識を習得し、これをあとで小出しにして生きていく人間のことを利子生活者と呼ぶ。
それに対して新しい考えを生み出す人を投機家と呼んだ。
これまでの我が国では、堅実な利子生活者が尊敬され、投機家には白い目が向けられていた。
教育ももっぱら知識の習得をこととした。
教育を受けた人はその知識を元手に生きる。
新しいことを考えたりすることは問題にしない。
学殖があればそれで尊敬されるが、変わった事を考えても、思いつきがいい、アイデアマンと言われるのがおちである。
したがって、模倣にはすぐれていても独創にはお寒い限りという社会になる。
アイデアの価値が不当に低く見られるが、ただ欧米に追いつけ、が合い言葉であった国だから是非もない。

学校は知識を教える所です。
新しい事を考えたりはしません。
まず、知ることを目指します。
なので試験をして確かめ、点数を取る事が目的になり、頭がいいのは記憶力が優れている人、となります。
知る事と考える事は違いますから、成績のいい人が良いアイデアを考え出すとは限りません。
そして記憶型の人間はアイデアを「創造すること」が得意でない事が少なくありません。
日本人はモノを深く考えつめることは少ない。
むしろ不得手で、良い所をすぐ真似ようとする。
それが良しといった風習も真似されている。
学校はまなぶ、まねる、覚える所ですから、アイデアは独学する他ありません。

アイデアはところ(所)を選ぶ。
作家が自分の家ではなく、旅館で執筆する、芭蕉の時代の俳句なんかもそう。
机に向かっているだけではなく、歩くことでも良い。

モーツァルトはビリヤード中に魔笛を、蒸気機関車のワットはゴルフのクラブハウスまで歩いている時にそれぞれアイデアをつかんだ。
他のことをしている時=考えていない時にアイデアは浮かぶのだ。

人の話を1からメモするのも違う。
話を聞きながらメモを取る事は不完全な速記である。
誰かの顔を見て熱心に話を聞いていたら、全く別の問題解決アイデアが浮かんだりする事がおこるのでそれをメモするのだ。

分かりやすく、とても納得できる。

参考サイトもご覧いただきたい。
先生は現在95歳。
そこに例えば見るテレビは天気予報みたいなものとある。
なぜかというとニュースはだいたい過去のものだけど、天気予報は未来のものと。
はっとする。
そのような考えでテレビ番組をチョイスしたことが私はない。
ほとんどすべては未来に向けた討論もあるが、基本的には作られた過去のものだ。

お腹が空いたから何かを食べよう・・・
次のアポイントには何線から何線に乗り換えて・・・
明日の休みはどこに出かけようか・・・
今期末の売上目標を達成するために来月は・・・

私たちのほぼすべての欲、思考、行動は未来に向かっている。
過去のニーズや実績を読み取ることは、将来の堅実なサービスにつながるかを読み取る上で大切だ。
いっぽうのアイデアは同じく過去から学ぶが、まねるではないから、不確実性があることは間違いない。
しかし、未来へ向かうことは、実に前向きな働き方、生き方ではないだろうか。

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■参考サイト
人生100年時代・・・特別企画知の巨人・外山滋比古さん95歳「面白く生きる」 | 日曜スクープ | BS朝日
https://www.bs-asahi.co.jp/sunday_scoop/interview/05/


タイトル:アイデアのレッスン
著  者:外山 滋比古
発  行:2010年2月10日
発行所 :株式会社筑摩書房

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