肩をすぼめる程の寒さの中、私は渋谷駅を降りた。
年明け、今年度初となる雪が降ると、
豪雨の中ずっとダムが決壊するのを待っていたかの如く一気に気温が下がりだした。
その日私はFPの試験を受けた後の昼休憩時間、
同じく試験を受けていた先輩から「今日は全国的な寒波で沖縄でも雪が降ったらしい」との話を聞いた。
私が生まれてこのかた、沖縄で雪が降ったなど、一度たりとも聞いたことがない。
というのも私は沖縄出身だから「沖縄に雪!」が意味する凄さ(というかレアさ)を
一番よくわかっている(つもりだ)。
ところで今日のFP試験は、できた気がしなかった。
しかし、いつもあまり勉強せず「できた気がする病」が発生して落ちていた私だったので、
「そう考えると今回はできた気がしていないから逆に受かっているのではないか?」}
と心の隅で考えていた。
そんなことを考えても意味がないから、別のことを考えようと思い、
渋谷の明治通り沿いにあるBOOKSTOREに寄ることにした。
その店に入るやいなや『後悔せずに空っぽで死ね』という、
なんとも奇抜なタイトルの本が目に入ってきた。
「決めた。TGだ!(※2)」
私はその日の夜から『後悔せずに空っぽで死ね』を一気に読みすすめていった。
この本の著者は、トッド・ヘンリーというアメリカのオハイオ州出身、コンサルティング会社のCEOだ。
人生を素晴らしいものにするために、死ぬ間際、
「自分の人生を本当に素晴らしいものだった。後悔はしていない。」と思えるために、
自身は何をすればいいのか。
自分の人生においてどのように考えればいいのかを広く、概念的に、
しかし、自分の人生にリンクしやすく書いてあった。
この本の読みやすさといったら、普段、本を読むのに2週間かかる私が、
わずか1日で読み終わってしまうほどだった。
一人のアーティストが大切な人を亡くした。その際に命とはなんなのか。
本当に大切なことは何なのか。その人はそれを考え、廃墟の建物の壁に
『私が死ぬ前に□□□したい』と書いた。
その空白を埋めるために多くの人が落書きをした。
「私が死ぬ前に大勢の人の前で歌ってみたい!」「私が死ぬ前に本を書いてみたい!」
「私が死ぬ前に誰かを守れる人間になりたい!」。
私たちが生きられる時間には限りがある。
その時間をどのように使うか、そこに大きな意味があるのだ。
人生は有限。
ある日、尽きる時が来る。
その最後の日に自分は何を思うのか。
「あーすればよかった」と後悔して死んでいく人生でいいのか。私はそうは思わない。
だからこそ、いつの間にかこの本を手に取ってしまったのだ。
この本には、人生を有意義に送るための必要なことが書かれている。
「私の人生はこのままでいいのか?」そう感じている人に読んで欲しいものだ。
ところで、FP試験を受けた翌日に解答速報が発表された。合格点は30点。
速報後、自宅で自己採点を行ったところ29点。あと1点。
そりゃそうだ。試験勉強をした時間を合計すると約12時間。
その割にできている方だと自分を褒めたいが、『後悔せずに空っぽで死ね』を読んだ次の日だ。
読んだ次の日から、もっと勉強していれば・・・と後悔している。
明日から後悔しない生き方をしようと心に誓った良い機会となった。
※1 このブックレビューには一部フィクションが記載されております。
実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※2 TG:通称「T:タイトル、G:買い」のこと。
世間一般でそのようにいうかは不明だが、流行らせたい意味で記載させていただきます。
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タイトル:後悔せずに空っぽで死ね
著 者:トッド・ヘンリー
発 行:2015年10月10日
発行所 :株式会社サンマーク出版
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