私たちの健康と生活を支えてくれるのが、健康保険です。日本では、生まれた時から全ての人が健康保険制度に加入しており、非常に身近な存在だと言えるでしょう。
とはいえ、いざ自分が仕事をするようになると、その仕組みの複雑さに驚いてしまうことも……。今回は、健康保険組合について、わかりやすく解説します。
健康保険組合とは?
健康保険組合とは、健康保険の仕事を行う公法人です。本来であれば、政府が行う健康保険事業を、政府の代わりに行っています。
健康保険組合を設立するためには、以下の条件をクリアする必要があります。
- 常時700人以上の従業員がいる事業所、もしくは同種・同業で3,000人以上従業員が集まる事業所である
- 厚生労働大臣の認可を受ける
主に大企業やそのグループ企業が中心となって設立されるケースが多く、日本全国に1,000以上の健康保険組合が存在しています。
健康保険組合ならではのメリットも
健康保険組合には、以下のようなメリットがあります。
- 組合員の状況を把握した上で、それに応じた運営が可能
- 法律で定められた給付金以外にプラスアルファで支給することができる
- 組合員に向けた、独自の健康維持サポートが実践できる
- 財務内容に応じて、保険料の自主設定が可能
本来の組合健保は、大きな会社の従業員やその家族を対象としたもの。政府が一括で健康保険事業を行うよりも、きめ細やかな対応が可能な点が、非常に大きなメリットと言われてきました。
健康保険には、健康保険組合以外にも協会けんぽや国民健康保険などがありますが、それらと比較して健康保険組合の保険料率が低く抑えられていたケースも多かったのです。それにプラスして独自の給付金を受け取れるとあれば、そのメリットは非常に大きいと言えるでしょう。
健康保険組合にとって、変化の時がやってきている!
大企業で働く方々にとって、大きなメリットの一つであった健康保険組合。しかし近年、健康保険組合の解散が報じられるケースも増えてきています。日本には数多くの健康保険組合が存在している一方で、赤字に苦しむ組合が、全体の7割以上というデータもあります。
高齢化が進んでいる現代日本では、現在の医療制度を維持することは決して簡単ではありません。負担する金額が増加するにつれて、組合全体の経営は苦しくなってしまいます。
保険料率の上昇などでなんとか対応しようとする組合も多いのですが、耐え切れずに解散や合併といった道を選ぶ組合も少なくないのが現実です。
まとめ
理解しているようで、実際にはいろいろと難しいのが、健康保険組合についてです。もしかしたら、「今自分が加入している健康保険についても、よくわかっていない」という方も多いのかもしれませんね。
まずは自身の保険証をチェックするところからスタートしましょう。加入しているのが健康保険組合であれば、ぜひ今回紹介した内容も参考にしてみてください。