自然災害や過失で発生する危険に備え、オフィスにおける防災管理が重要視されています。
防災管理は、社員の安全を守る大切な業務です。
企業は雇用関係にある社員に対し、安全配慮義務が課せられています。
安全配慮義務とは「労働者の生命・身体の安全(メンタル面を含む)を守って働ける環境を整える」ことにあたり、労働契約法第5条で確認できます。
安全配慮義務の中には、災害の原因を排除することも含まれているため、社内の防災管理も非常に重要です。
消防法におけるオフィスの防災管理
消防法では、オフィスの防災管理に繋がる項目を定めています。
防火管理者・防災管理者の配置
法定で定められた対象の建物においては、防火・防災管理の知識を持って、社内でその管理と監督の責任を持つ、防火管理者・防災管理者の選任が必要です。
消防用設備の点検や整備、監督も管理者の責務です。
防災設備設置義務
防災設備設置義務とは、主に火災警報器や消火器の設置に対する項目です。
オフィスが入っている建物の規模によって災警報器や消火器の設置数は異なりますが、すべての建物に必ず設置しなくてはならないものであることは確かです。
オフィス火災の原因は失火によるものだけではなく、オフィス機器のコードからの火花・漏電など、電気関係であることも多いので注意しましょう
「うちの会社にはガスがないから」「煙草を吸う人はいないから」と考えず、しっかりとした管理が必要です。
防災のために心がけておきたいこと
防火管理者の意識だけではなく、社員1人1人も防災のためにできることを考えてみましょう。
避難訓練には必ず参加する、避難経路の認知をしておくということは、いざという時のために何よりも大切です。
また、避難経路に障害物となるような物があれば移動させ、スムーズな避難ができるようにしておくべきです。
大きな地震の際には、家具やオフィス機器が倒れてきたり、思わぬ場所に移動したりする危険性があります。地震が起きる前に、できるだけ固定しておくとよいでしょう。
交通機関が麻痺するような大きな災害の発生時は、帰宅できない可能性もあるので防災備蓄品の場所を定期的に確認しておくと、非常時に慌てずに済みます。
このように、オフィスでもさまざまな防災手段や意識が求められていますが、内閣府の「令和元年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」によると、部署間の連携の難しさや防災管理の人手の確保ができないという問題が挙げられています。
オフィスの防災管理は、防火管理者だけの責務ではありません。
1人1人が意識することにより、被害を最小限に抑えられる可能性があります。
オフィスで働くすべての人の問題だと考えて、小さなことでも実行していきましょう。