
室内で作業するオフィスにおいて、照明は欠かせない設備の一つです。
暗すぎる空間での仕事は作業効率の低下を招き、職場の活力や生産性を低下させるだけでなく、企業全体のイメージダウンにもつながりかねません。
もちろん、ただ明るくすればよいというわけではなく、適切な照度基準をしっかりと理解しておく必要があります。
オフィスの明るさの法的基準とは
オフィスの明るさに関しては法的な基準があり、必要とされる明るさを下回らないように最低照度が法律で定められています。
2021(令和3)年12月1日、職場における労働衛生基準の見直しにより「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令」が公布。(※照度の基準に関しては、翌年の12月1日から施行)
現在の知見に基づいて、改正前に3つあった照度基準の区分が2区分に変更され、全体的な基準が引き上げられています。
改正前
- 精密な作業 300ルクス以上
- 普通の作業 150ルクス以上
- 粗な作業 70ルクス以上
改正後
- 一般的な事務作業 300ルクス以上
- 付随的な事務作業※ 150ルクス以上
※文字を読み込んだり、資料を細かく識別する作業が必要のないもの
参照:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/content/000857961.pdf最低照度と推奨照度の違い
上記の基準照度は、あくまでも最低限必要とされる「最低照度」であり、実際の適切な照度はそれぞれの事務作業によって異なります。
そのため、JIS(日本産業規格)が規定する「推奨照度」の参照も必要です。
参照:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000905329.pdfJISの照明基準(JIS Z 9110)は、現実的な照度設定の参考になるもので、個々の領域、作業または活動の種類によって細かく分類されています。
すべての従業員に配慮した視環境の確保を
オフィスの照明は暗すぎても明るすぎてもデメリットとなりえるため、法的基準を満たしつつ、実際の作業環境を考慮した明るさに設定することが重要です。
事務室や設計室といった精密な作業を求められる場所では、見えやすさを確保するために750ルクス以上の明るい環境が推奨されます。
休憩室やトイレといった従業員の休憩やリラックスが求められる場所では、200ルクス以下の明るすぎない環境のほうが推奨されます。
働く人が作業しやすい明るさの確保は、快適な職場環境づくりの要。
眼精疲労や視力低下などの健康障害を防止するためにも、オフィスの照度は適切に設定し、誰もが働きやすい環境を作るようにしていきましょう。