大島泳断チャレンジ2010~最終章~

この度は、健太の大冒険(茅ヶ崎~熱海60キロ泳断チャレンジ)を
応援いただきありがとうございました。

本チャレンジ日である9月20日(月)も台風11号の影響により、
一時は中止も覚悟しなければいけない状況になりましたが、
無事、実施することができました。

20日の午前0時に暗闇の中、茅ヶ崎を出発 。
15時間かけて泳ぎ、同日15時00分に熱海サンビーチに無事到着しました。
(このコースの単独泳断は日本初です。)


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チャレンジ2時間前である、前日22時に実施が確定してからは、スタートまでとても緊張しました。

練習でも50キロ泳いではいたのですが、暗い海の不安、知らない海を泳ぐ不安、
「失敗」を考えたときの不安などなど。

そんな中、準備を開始。


100924_03_02一番気持ちが引き締まったのは、自分の体に名前を書いた時です。
海上保安庁に届出等は出していますが、自分がしゃべれなくなった時、自分が「石井健太」であることがわかるように実家の連絡先と一緒に書きました。

この時に「周りに迷惑かけられないなー。やるしかない!」と決意を新たにしました。


 

いざスタート!

先週から、朝晩の気温が下がり肌寒いぐらいでしたが、
天候は晴れ、風は無風。満月に近い月明かり。
水温は25度と少し冷たくは感じますが、
「次に地に足がつくときは、熱海だ」と、思い切り地を蹴りました。

沖にまで出ると、ウネリも穏やかで、風も無風、
これまでにない絶好の恵まれたコンディション。
水しぶきに夜光虫がキラキラ光り、海面が月明かり照らされ、
134号沿いの外灯を目印に、潮に乗り、
1時間に4キロペースで落ち着いた状況で気持ちよく泳げました。

併走する2人乗りのカヌーには鈴木一也と弟が乗り、
歌いながらこちらも楽しそう。

夜明けまで、これまでになく、順調に進みました。
なんといってもペースが速い。
1時間に4キロをずっとキープしていました。


100924_03_05ただ、夜が明ける瞬間。
2時間くらいしか寝ていない状態で出発したので
モーレツな睡魔が襲ってきました。
この睡魔と闘いながら、あと10時間は辛いなーと思っていると、
いつの間にか寝ていて、併走していたカヌーからはずれていました。
それが3度程続き、「泳ぎながら寝られるんだ!」ということを発見。


100924_03_03そして夜明け。

「きれーだ!」こんなことをクルーと一喜一憂しながら進みました。

途中、酒匂川河口(24キロ地点。6時頃)で川の流れと冷水と

台風11号で氾濫した土砂にやられましたが、
順調に小田原漁港を越え、伊豆半島に入りました。

 


100924_03_04岩海岸前の食事休憩。9時半頃。

寒くて凍えそうだったんで、カズヤ先輩に「温かい飲み物」を注文しました。

まだまだ暑い日が続き、伊豆半島の限られた店の中で、そんなものどこに売っているかわからない時期に、こんなわがまま言えるのは、こんな時くらいです。

(写真:食事休憩中の様子)


もちろん、カズヤ先輩から

「こんな暑い日に、温かい飲み物なんか売ってるはずねーだろ!」

って言われちゃいましたが、ちゃんと温かいコーヒー買ってきてくれました。
さすが!海でも陸でも頼りになる男!
体の芯からとても温まりました。伊豆半島側は水深100m~200mあるためか、とても水が冷たかったです。。。

それから気を取り直して、今回の最大の難関である、
真鶴半島の先端に向かいました。
ここは湘南方面からの潮の流れと、太平洋からの潮の流れがぶつかるのと、
水深200mのところから急に15mくらいになるので、特殊な流れが生じます。

意外に大丈夫かなー、、、


100924_03_06そんな中、漁師が1年に1回、安全を祈願して、
岩と岩を注連縄で結んである岩場の前で、熱海チャレンジ成功を祈願して記念撮影。

(真鶴半島先端での記念撮影)


問題は、この後からでした。
42キロ地点(10時間半経過)までとても順調で、
「早く着きすぎる!」と思っていました。
しかし、真鶴半島を越えると潮の流れが向かい潮になってしまい、

1時間泳いでも進まない状況が続きました。

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自然は甘くありませんでした。
それまで、1時間4キロペースで進んでいたのが、
湯河原の湾4キロを抜けるのに、約3時間かかりました。
休んでは引き戻され、進もうとしても流されるのでフルパワーで泳ぎ、
腕も肩もぎりぎりのところまで使い果たしました。


この時に心が少し動揺しました。
泳いでも泳いでも「進んでない」と気づき、「がんばらないと」と思いがんばる。
でも、進まない。また、がんばる。進まない。がんばる。

だんだん疲れてきて、思うように腕が上がらなくなりました。
その時、疲労に気持ちが一瞬負けました。

「このまま抜けられなかったらどうしよう」
体が心を支配しようとした瞬間です。

そんな時は、やっぱり仲間です。
カズヤ先輩は、最初「がんばれ」って応援してくれてたのに、、、
最後は「心配するな。お前が失敗しても、来年おれが成功させてやる」

「えー!」
「絶対いやだ!」
そんな悔しいことは耐えられません。

体に心を支配されずにすんだ瞬間です。
それから、まだまだがんばれました。

それからも苦しみながらも、定置網やバリケードなどを避けながら泳ぎました。
熱海湾周辺はただでさえ潮が安定しておらず、泳いでも泳いでも進まないのに、
ここにきての遠回りはメンタル的にとても辛かったです。

熱海のマリーナはネオンテトラがいるほどなのに、
ビーチ側(湯河原側)はとても濁っていて、臭くて、視界が悪くてたまりませんでした。

そして、応援に来ていただいた方の姿が浜辺に見えて、
「あと少し、あと少し、」と思いながら、最後の力を振り絞り泳ぎました。

すると海底の砂が見え始めました。(少し感動)
徐々に近づいてきて、手が届きそうになったところで地に足を、、、

「ついたー!」

この着地の時の感動、安心感はたまりません。
生きていることをとても実感できる瞬間です。

泳いでいる間、「何のために泳いでいるか」を泳いでいる時、ずっと考えていました。
自分が生きる上で何をしたいのか。
自分の人生に何を残したいのか。
「何のために生きているの?」って聞かれたら、なんとこたえるか。

身近な方で、堀口社長は「社員を守るため」と明確なものを持っています。
「それってすごいことだなー」と思いました。
そうはっきりこたえられる人って何人いるのだろう。。。
家族がいれば、もっとわかりやすかったりするのでしょうけど。

最初は、大学の先輩である鈴木一也に先を行かれて、
悔しくて越えたくて始めたチャレンジですが、
いつの間にか自分自身と向き合うチャレンジになっていきました。

人が相手ではなく、自然と自分が相手。
終わりがない。
こんなスポーツは、なかなかないと思います。

今回のチャレンジを経て、周りあっての自分だと改めて実感しました。
併走クルーや応援頂いた皆様。
やるのは自分ですが、メンタル的にも肉体的にもとても支えられました。

泳いでも明確なこたえは残念ながら見つけることはできませんでしたが、
はっきりしたことは、自分のチャレンジがこれだけの方々に「喜んでいただけた」ということです。
とてもうれしかったです。
「周りの方々に喜んでいただく。」
まずは、その為に泳ぐのもいいかもしれない。と感じた瞬間です。

まだまだ戦いは続きます。
引き続き、よろしくお願いいたします。
そして、応援ありがとうございました!

(銀座店 石井健太)

■■前回までの記事■■

大島泳断チャレンジ2010~予告~

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■■関連ホームページ■■

(途中経過はこちらをご覧下さい。)

http://ameblo.jp/kenta-challenge/

クルーも当日の状況を実況してくれています。

http://ameblo.jp/going-my-way18/