著者は明智光秀の子孫と言われている方。
従来の明智光秀という武将、また「本能寺の変」の定説に対し、
一石を投じる本と言えます。
遠い戦国の時代、しかも日本の歴史を大きく変えた出来事に対し、
自らの思考と推察力を働かせるに十分な要素もあり、
読む人各々の価値観で楽しめる一冊です。
なぜ、明智光秀は謀反を起こしたのか。
怨恨説、野望説、ノイローゼ説等、様々な説が挙げられています。
本書はそれらの定説に対し、証拠を示しながら、解説を加え、
一つ一つ解明していくように読み進められます。
歴史は「勝者がつくるもの」であり、「本能寺の変」についても、
その後の勝者と言える豊臣秀吉が、後に自分の都合の良いように演出をし、
書かせたものが真実として後世に伝えられたとしています。
私は、「歴史は勝者によって創られる」、この言葉に惹きつけられ、
本書を読みきった次第です。
「織田信長は本当に残虐で非道な人だったのか」
「豊臣秀吉、徳川家康を、織田信長はどう観ていたのか」
「なぜ手勢100名ほどと言われる少数で、本能寺に宿をとったのか」
考えるほどに疑問はつきません。本書は、様々な観点から、
論理的に推察をし、仮説を定説へと導く書として読むことが出来ます。
どれが正しい説であり、何が真実なのか。
遠く430年もの昔の出来事を私たちは観にいくことは出来ません。
しかし、これまで定説とされてきた史実について、定説に染まらず、
推理し、捜査し、解明していくことは、
現世に生きる私たちだからこそ楽しめることだと思います。
ぜひ、夏の夜の一時を、戦国の世を思い、ご一読ください。
にのみ屋