本書もこれまでのシリーズと同様、1ページ、1ページと
読み進めるごとに感動し、心が温まり、
「仕事ができる環境があることへの感謝」そして、
「元気で働けることへの感謝」の気持ちが溢れてきます。
その中で、私にとって強く印象に残っているのが、
岩手県にある株式会社小松製菓さんの話です。
創業者は小松シキさん。
シキさんは幼少から苦労に苦労を重ね、昭和23年、前身の「小松煎餅店」を創業します。
シキさんは一生懸命に働き、商売も順調に進んでいた矢先、病気で倒れてしまいます。
お医者さんも諦めかけ、「後は死を待つだけ・・・」という状態の中、
一人の看護師さんが輸血用の血を集めるために必死に駈け回ってくれたそうです。
そのおかげもあってシキさんは九死に一生を得ることができました。
シキさんは、自分の命は多くの人に支えられているものであることに感謝し、
生涯その看護師さんへの恩を忘れず、お礼をし続けたといいます。
「受けた恩は順送り」
「どんな試練・苦労もありがたく受け止め、感謝する心を忘れない」
「慢心せず、悲観せず、謙虚に、でも常に前向きに生きる」
そうしたシキさんの人生哲学は、今も小松製菓の中に、生き続けているのです。
二代目社長である長男・務さんは、小松製菓へ入社した当時10人ほどであった
従業員を、現在では240人の会社に成長させました。
「創業者である母がいたら、どんなふうに考え、行動しただろうかということを
常に思いながら、変えるべきところはどんどん変えている」そうです。
創業者から受け継いだ「人を大切にする」という精神を守りながら、
それを進化させ、さらに拡大させてきたのです。
私たちが生きていくうえで、
そして仕事をさせていただくうえで、
そして会社を成長発展させていくうえで、
大切にしたい教えがこの本にはたくさん詰まっています。ぜひ、ご一読ください。
にのみ屋