私は小さい頃から歴史がとても好きなのですが、
同じくらい未来が好きです。
50年後の〜、10年後の〜、といった書籍をみかけると
どうしても手に取ってしまいます。
過去から学ぶことはとても多いこと、
そして現在を生きていて、未来も必ずやってきます。
その時間軸を俯瞰して想像したり、考えることがなぜか好きです。
もう2年以上前なのですね、
野村総研が2015年12月にオックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授との共同研究により、
日本の労働人口の49%が人工知能やロボットに代替えされると発表されました。
すでにAIやロボットによる大革命時代はもうそこまでと言われており
(実際は予測より前にやって来るのでしょうが)、
産業の大きな変革の時代に存在していることに嬉しく思うのと同時に、
変化しなければ飲み込まれる時代にビビっていたりもする今日このごろです。
本書は株式会社日本M&Aセンターの執行役員の渡辺氏の著作です。
帯に「来る大廃業時代、人口時代、業界・部署・技術の境界線がなくなる時代へ」とあり、
冒頭にも「・・・今問いかけたい。現在の日本企業は、
「過去の延長線上」のモノや組織であふれていないだろうか_
あるいは創業者が掲げた「理想」や「社会的意義」「職業倫理」を忘れてしまってはいないだろうか・・・
と強い言葉で始まっている。
国家を代表するような新しい企業が誕生せず、一方で不正会計やデータ改ざん。
このままでは日本は本当に世界の潮流から取り残されてしまうと。
メジャーリーグと日本プロ野球の総売上は1990年代は1500億円で同等だったが、
現在では約5倍の差をつけられている。
アップルは2007年に想像もつかなかったiPhoneを発売、
それによりCDが売れなくなると誰が予測できただろうか。
日本の組織風土では、「過去からの延長」が好まれ、「派閥」が発生し、
顧客が求める本当に重要なものを社外に目を向けて探すよりも、
社内に目を向けた人材が高く評価される。
だから「創造性」と「独自性」をもった優秀なビジネスパーソンや、
壮大な「志」をもった起業家が育たない。
この土壌を入れ替えなければ、日本経済はジリ貧となっていくだろう。
日本は明らかに成熟期をむかえている。
著者は業界再編を避けられない3つの理由を掲げています。
1、人口減少を乗り越える必要性
2、成熟期を迎えた業界が次へ向かう必要性
3、インターネットの普及によるデータベースの構築の必要性
さらに、業界再編5つの法則も掲載されています。
1、どの業界も大手4社に集約される(銀行、百貨店、ビール、新聞、医療品卸など)
2、上位10社のシェア10%、50%、70%の法則
(不動産業界は10%で、上位10社が50%、70%となるにつれて集約)
3、6万拠点の法則(ガソリンスタンド、コンビニ、運送業者など)
4、1位企業10%交代の法則(大手4社とはいえ毎年1位は交代される)
5、一人勝ちの法則
途中からは各業界の10年後の業界地図が描かれており、
人口の減少する国内同業他社と国内のパイを取り合う競争をしていては、
未来はないと強く感じました。
とはいえ大切なことは創業者の「志」を持ち続けることであると締めくくられています。
いくら同じ業界、企業同士のM&Aであっても「志」なき組織が共感してもらえることはないのです。
組織において戦うことは、本当に厳しいものですが、
「志」を感じるのならば、間違いでもいいから戦う気概のもった人材に目を向け、
育つ環境の大切さを感じました。
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■参考サイト
日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に | 野村総合研究所(NRI)
https://www.nri.com/jp/news/2015/151202_1.aspx
渡部 恒郎 | 23歳で新卒で就職、M&A未経験 | 株式会社日本M&Aセンター採用情報
https://recruit.nihon-ma.co.jp/member/member04/
タイトル:業界メガ再編で変わる10年後の日本 中堅・中小企業M&Aが再建の主役だ
著 者:渡辺恒郎
発 行:2017年12月28日
発行所 :東洋経済新報社
RP さと、うま