2018年7月のさと、うま 2050年の技術 英『エコノミスト』誌は予測する@英『エコノミスト』編集部

 

 

本書は2012年に発行された
『2050年の世界』からつながる一冊である。


中身は「テクノロジー(技術)」の分野に特化した内容となっており、
興味を持って続編を購入。

特に興味をもったのは産業と生活に関する第2章。
世界の人口が2050年に100億人に達する中で、
食糧難への対策として、この産業は飛躍的に大きな変化するとある。
とてもおもしろい!

本書の内容をもとに私見を加えて
2050年の農家を勝手に想像してみることにした。

・・・それまでの膨大なデータの収集により、
微生物は大気中の窒素を取り込んで
化学的には合成できないリンを生成する能力をもっている。
土壌を劇的に豊かにする能力をもつ微生物が
畑に等間隔にドローンで蒔かれていく。
人工的な力を加えた土壌には栄養素を
自ら作り出す作物の種が植えられていく。
成長に必要な光合成は遺伝子操作により、
天候に左右することほとんどはない。
雑草はロボットが狩り、衛星からモニタリングされる
正確な成長プロセスは、指定した時刻にスマホに確実に送られてくる。
この時代はビルや自動車といったあらゆる施設、
設備は環境対策が100%行われており、
自然は生まれたときの地球の姿へと向かっている。
時折作物を荒らしにやってくる野鳥や
小動物たちの威嚇にもドローンが大活躍だ。

数日後、スマートフォンに作物の最高の収穫日を伝えるアラートが届いた。
西ブロックの畑で予定より多くの作物が収穫できそうだという。
収穫ロボットは休むことなく24時間稼働できるが、
シェアの収穫ロボットをもう1台スマホから操作して送り届けた。
少しでも早く大切なお客様に採れたて作物を届けるためだ。
明日の5時から収穫できるようにスマホで操作をして就寝する。
収穫された作物は仕分けロボットによって
品目ごとにボックスに積み込まれる。
あとはあらかじめ予約の入っている場所へ
ドローンが産地直送するだけだ。
もちろん、収穫後の畑にはこれまでと同じように
ドローンやロボットが整地し、
種を蒔き、土壌に微生物を加えていく。
一点問題があるとすれば、
人造作物団体vs無農薬農業団体の対立は避けられない。

肉や魚も生き物を時間をかけて大きく育てることはない。
細胞培養により、生身の動物を一切必要としなくなったのだ。
魚は養殖が発達し、より多くの栄養素をふんだんに取り入れられる人気商品だ。
米国穀物協会「FOOD 2040」によれば、
日本の食品の70%以上が調理済み食品か加工食品になるという。
2050年には革命的な人工的食品が大半をまかなう。
こちらも人造団体vs動物愛護家の対立は避けられない。

その作物も加工食品もつくられているのは
東京駅から徒歩5分ほどの高層ビルディングの一角だ。
20年前まではオフィスビルで使用されていたようだが、
VRとARがシームレスにつながったことで、
もはや人が集まるという価値はなくなりつつある。
嗅覚、触覚、錯覚・・・すべてはバーチャルに実現している時代なのだから。
以前は満員の電車に1時間も揺られ、押しつぶされ、
外に出ればアスファルトに照りつけられ、
仕事に向かう前からもうくたくただったらしい。
いまやワーケーションは当たり前となり、
人間は自動運転の車や空飛ぶドローン、ハイパーループで移動する。
ハイパーループを使えば横浜から福岡までは30分強で到着する。
100%自動運転の2050年の世界では車中は仕事や生活の場となっていて、
ブーメランのようにいつも同じところに戻る必要はない。
6時間の仕事をしているうちに涼しい札幌まで到着した。
今晩は札幌の取引先のレストランで今朝送った採れたて野菜とジンギスカン、
冷たいビールで娘の誕生パーティーだ。
スマホで行き先を東京に設定し、そのまま車中で就寝しているうちに
明日の朝には横浜に到着する。
朝から横浜の畑ビルに向かい、
スタッフと新しい微生物についてのミーティングの予定だ。
満員電車に乗り、アスファルトの照り返す暑い中を
歩いて通勤する人はもはやいなくなった。

採れたての作物は収穫から10分後にはお客様のキッチンに届けなければ、
他社との競争に負けてしまう。
そのためには人口密度の高い都心で育てられる場所が大切だ。
しかし、ある会社は採れたて作物を
瞬時に調理するテクノロジーを準備していて、
採れたて料理を届けようとしているらしい。
お客様が調理する時間さえも必要なくなるという、
今注目のテクノロジーだ。
そいつがドローンに搭載されたら厄介だ・・・

最終章にテクノロジーは進化を止めないと書かれている。
生き残るにはテクノロジーを利用するだけでは通用しなくなる。
テクノロジーは平等だ。平等の価値は皆が取り入れる。
テクノロジーの時代に差を生むにはいち早く取り入れ、
さらに駆使しなければ、発展は見込めない。
その時代はすぐそこまで来ている。

2050年まで待ち遠しくなる一冊です!是非!

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■参考サイト
未来年表 : 西暦検索 2050年 | 博報堂生活総研
https://seikatsusoken.jp/futuretimeline/search_year.php?year=2050
NRI未来年表 2018-2100 https://www.nri.com/~/media/PDF/jp/opinion/nenpyo/nenpyo_2018.pdf

タイトル:2050年の技術 英『エコノミスト』誌は予測する
著  者:英『エコノミスト』編集部
発  行:2017年4月15日
発行所 :株式会社文藝春秋

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