我が国の人口は2018年7月現在の総務省統計概算値で1億2659万人。
前年同月に比べ約19万人の減少であり、これは甲府市や三鷹市まるごとの人口に匹敵する。
今更でもあるが、日本人の人口ピークは2008年の1億2808万人。
この10年間で約149万人の減少であり、
これは京都市、川崎市、神戸市などの大きな都市の人口に匹敵する。
東京都内でわかりやすく例えるならば、
平成27年の東京都千代田区(85万3068人)と
中央区(60万8603人)における昼間人口合計の146万1671人に匹敵する。
これは千代田区と中央区に昼間の人が誰もいないことに等しい。
ランチ時も四方八方に人が一人もいない状況を想像してみよう…
この状態に近しい人数が今現在進行中なのだ。
視点を変えてもうひとつ。
我が国の企業等数は平成24年の412万8215社に対し、
平成28年6月1日現在の統計局の発表によると385万6457社。
27万1758社(約6.6%減)減少しているが、
これは理美容業界における国内全ての会社、店舗の総数とほぼ同一である。
※美容業17万2304ヶ所+理容業9万9704ヶ所=27万2008ヶ所(事業所数)
前月のレビューと重なるところもあるが、
この手の書籍やニュースを読むたび、
もはや人ごとではないこと実感しないわけにはいかなくなる。
加えて昨今は猛暑、洪水、台風、地震といった自然災害も顕著に起こっている。
人口減は高齢化と生産労働人口の減少もつきもので、
日本全国をまかなうインフラを完全に維持管理できるのか、
切実な疑問がいくつも頭の中を駆け巡る。
本書はNHKで放送され、多くの反響を呼んだ内容の書籍版。
23区なのに消滅危機とされた豊島区、財政破綻した夕張市、
住民自治組織に委ねられた島根県雲南市、
農村撤退、集団移転、集落消滅の危機と向き合う島根県益田市、
京都府京丹後市。
縮小ニッポンの現実最前線の内容が描かれている。
日本の人口の変遷を今一度検索してみる。
150年前の1868年の明治維新時、総人口は約3300万人。
その100年後の1968年、
GDP10%前後の高度経済成長のど真ん中の総人口は1億人を突破。
その40年後の2008年、
総人口はピークの1億2808万人に到達する。
その50年後の2065年、総人口は8808万人に減少すると予測される。
この150年足らずで維新、戦争、高度成長、バブル崩壊、自然災害、高齢化といった
超高密度な世界を送った我が国は、劇的な環境を我武者羅に走り抜け、
結果多くの歪みが生じていることを伺える。
生じないほうがおかしいはずだ。
本書によると、不動産にまつわる事象が多いことにも考えさせられる。
「1キロあたりのインフラ整備に1年間で90万円、
5キロ入ったところに高齢者が住んでいれば、
自治体は450万円の維持管理費用がかかる」
「全国の幼稚園・保育園の2割は耐震基準を満たしていない」
「郊外につくられたマンモス住宅、高齢化でほとんど住人はおらず」
大学で都市計画を専攻していた自身の記憶には、オスマンのパリ計画、
ハワードの田園都市、コルビュジェの輝ける都市など
ひと通りスキームした記憶はあるが、
都市と社会、特に経済との概念は等しくも程遠い現実があった…
そして2025年以降、勝ち組の東京にも高齢化と人口減が100%おとずれる。
1都3県の中にも横須賀市のように、
1年で1万2000人の人口減が始まっている自治体もすでにあるという。
顕著な事実として、横須賀市では税収が必要経費を賄うことができず、
市の所有する不動産の売却を進めており、
それは100年以上の歴史があり趣のある「婦人会館」という土地建物が犠牲になった。
4億4000万円で落札され、解体ののち住宅地となるそうだ。
http://www.kanaloco.jp/article/175118
前月のレビューとは違った趣旨ではあるが、
この事象を他人事だととらえ、待っていてはいけないと感じる。
今すぐ、人がいるうちに考え、実行しなければない。
微力で恐縮だが、心から何かの役に、力になりたい。フルパワーで。
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■参考サイト
我が国における総人口の長期的推移 – 総務省
http://www.soumu.go.jp/main_content/000273900.pdf
国勢調査による東京都の昼間人口(従業地・通学地による人口) 平成27年 – 東京都
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/tyukanj/2015/tj-15index.htm
事業所に関する集計及び企業等に関する集計 – 統計局
http://www.stat.go.jp/data/e-census/2016/kekka/pdf/k_gaiyo.pdf
タイトル:縮小ニッポンの衝撃
著 者:NHKスペシャル取材班
発 行:2017年7月20日
発行所 :株式会社講談社
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