サピエンス全史から読もうかと思っていたが、こちらからチョイス。
ようやく読み終わったユヴァル・ノア・ハラリ氏の「ホモ・デウス」上巻。
ブックカバーの折込部分の解説が分かりやすいので、引用させていただく。
「人類は自らにとって最悪の敵であり続けた、飢饉と疫病、戦争を克服しつつある。この三つの問題を克服した我々は、今後不死と幸福、神性の獲得を目標とするだろう。人類は自らをアップグレードし、ホモ・サピエンス(ヒト)をホモ・デウス(神)に変えるのだ。生物工学や情報工学などのテクノロジーを用いて、世界を、そして自分自身をも思いどおりに作り替え、想像することを目指すのである・・・」
その飢饉・疾病・戦争の三つをホモ・サピエンス時代から、
ホモ・デウスまでの変遷をそのまま抜粋させていただく。
飢饉からはじめよう・・・今日ほとんどの国では、過食のほうが飢饉よりもはるかに深刻な話題となっている。俗説では、18世紀には、大衆が飢えていると聞いた王妃マリー・アントワネットが、パンがなければケーキを食べるように言ったとされている。そして今、貧しい人々は文字どおりこの勧めに従っている。ビバリーヒルズの富裕な住人たちがレタスサラダや、蒸した豆腐とキヌアを食べる一方で、スラムやゲットーでは貧乏人がクリーム入りのスポンジケーキやコーンスナック、ハンバーガー、ピザをお腹にたらふく詰め込んでいる。2014年には、太り過ぎの人は21億人を超え、それに引き換え、栄養不良の人は8億5000万人に過ぎない・・・2010年に飢饉と栄養不良で亡くなった人は合わせて約100万人だったのに対して、肥満で亡くなった人は300万人以上いた。
第2の天敵は、疫病と感染症だ・・・SARS、鳥インフルエンザ、エボラ出血熱という具合に、数年おきに新しい病気が発生し、私たちを慌てさせる。とはいえ、効率的な対策のおかげで、少数の犠牲者しか出ていない。医師が新しい疾患を素早く突き止めて治療することを可能にしてくれる、まさにその手段が、軍やテロリストが更に恐ろしい疾病や世界を破滅させる病原菌を遺伝子工学で作ることも可能にしかねない・・・自然界の感染症の前に人類がなす術もなく立ち尽くしていた時代は、おそらく過ぎ去った。だが、その頃のほうがまだましだったと懐かしむ日が訪れるかもしれない。
第3の朗報は、戦争もなくなりつつあることだ・・・古代の農耕社会では死因のおよそ15%が人間の暴力だったのに対して、20世紀には、暴力は死因の5%を占めるだけだった。そして21世紀初頭の今、全世界の死亡率のうち、暴力に起因する割合はおよそ1%にすぎない。2012年には世界中で約5600万人亡くなったが、そのうち、人間の暴力が原因の死者は62万人だった(戦争の死者が12万人、犯罪の死者が50万人)。一方、自殺者は80万人、糖尿病で亡くなった人は150万人を数えた。今や砂糖のほうが火薬よりも危険というわけだ。
なんという明快さ。
実に分かりやすい。
反論もあるのだろうが、おおまかな流れは納得がいく。
その後も変化への後押しを進めるかのように、著者の簡潔明快な内容は続く。
〜世界には4万頭のライオンがいるのに対して、飼い猫は6億頭を数える。アフリカ水牛は20万頭だが、家畜の牛は15億頭、ペンギンは5000万羽だが、ニワトリは300億万羽に達する。今日、世界の大型動物の9割以上が、人間か家畜だ。およそ40億年前に生命が誕生して以来、一つの種が単独で地球全体の生体環境を変えたことはなかった。ホモ・サピエンスがゲームのルールを書き直してしまった。前代未聞の形で徹底的に全地球の生態系を変えてのけたのだった〜
長い歴史の中、ヒトはこれまでにない力を得た。
その最もたるものが、サブタイトルにもある「テクノロジー」だ。
テクノロジーが加速し始めた今、良くも悪くも、環境を変えられる力が増していく。
一度冒頭に戻ろう。
〜この三つの問題を克服した我々は、今後不死と幸福、神性の獲得を目標とするだろう〜
不死、幸福、神性。
不死と神性はテクノロジーの未来による超越的なものに感じるが、落合陽一氏の解説にもあるように「幸福」のゴールはなんだろう。
豊かさだろうか、好きな人といつも一緒にいる感覚だろうか、落合氏のいう快適に近いものだろうか。
はっきり言って衝撃的。
サピエンス全史も読みたくなる。
まずは下巻に進もう。
#サンブログ #sunblog #ブックレビュー #ホモデウス #テクノロジーとサピエンスの未来 #ユヴァル・ノア・ハラリ
■参考サイト
【落合陽一 徹底解説・前編】「サピエンス全史」続編から見える日本の勝ち筋 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
https://forbesjapan.com/articles/detail/19747/1/1/1
『サピエンス全史』の著者に聞く「人類滅亡」の現実的シナリオ(ユヴァル・ノア・ハラリ) | 現代ビジネス | 講談社
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/49911
『サピエンス全史』の著者に17の質問!|AIに仕事を奪われ不老不死になった人類の未来はどうなる?(前編) | クーリエ・ジャポン
https://courrier.jp/translation/85901/
ユヴァル・ノア・ハラリの最新刊『21 Lessons for the 21st Century』を2019年内に刊行予定!|河出書房新社のプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000228.000012754.html
タイトル:ホモ・デウス 上 テクノロジーとサピエンスの未来
著 者:ユヴァル・ノア・ハラリ
発 行:2018年9月30日
発行所 :株式会社河出書房新社
CS さと、うま