本書を読む前に、冒頭にある監訳した楠木建氏の内容がとてもわかりやすいので、一部抜粋。
著者の議論の根底にあるのは、人間の思考と行動の次の三種類。
ギバー(与える人)
テイカー(受け取る人)
マッチャー(バランスをとる人)
ギバーといっても「ひたすら人に与えるだけ」ではない。
同様に「テイカー」にぢても「人からとろうとするだけ」ではない。
これでは世の中と折り合いがつかない。
どのタイプでも最終的にはタイトルにあるとおり「ギブ・アンド・テイク」になることは変わりはない。
いずれにしても人はギブしたりテイクしながら生きている。
要するに世の中は「ギブ・アンド・テイク」で成り立っている。
しかし、ギバーとテイカーとマッチャーでは、「ギブ・アンド・テイク」にいたる道筋がまるで異なる。
本書の三分類は、「ギブ・アンド・テイク」という仕事の場面でごく日常的に見られる相互作用に対して人間がもつ前提の違いに焦点を当てている。
なぜ、どのようにギブ・アンド・テイク」にいたるのか、という因果論理の違いに注目していると言っても良い。
ポイントはギブとテイクのどちらが先に来るかということだ。
テイカーであっても、ギブすることも少なくはない。しかし、テイカーの目的はあくまでも「テイク」にある。自分の利益を得る手段としてのみ、相手に「ギブする」。裏を返せば、テイクという目的を達成する手段として有効だと考えれば、テイカーは実に積極的にギブすることもあるわけだ。
ギバーはまずギブしようとする。相手のことを考え、真っ先に相手に与える。その時点では頭の中に、目的としてテイクがあるわけではない。
それでも、結果としてギブが自分に返ってくる(テイク)。
「人間関係の損得はお互いに五分五分であるべきだ」と考える人もいる。これが著者のいうマッチャーだ。彼らはいつも頭の中にバランスシートを持っている。だからマッチャーというタイプでは、ギブとテイクの間に次亜kン的なズレがあまりない。ギブが先行すればすぐにテイクで補完しようとする。
これらのことは、ビジネス本屋、著名人の書籍においてはたびたび登場する考え方、対応、思考である。
しかし本書のすごいところは、豊富な事例、著者の研究といったデータに基づくものであることに大きな違いがある。
体験してきた一種の感性的手段ではないのだ。
人間は自分の時間、エネルギー、知識や情報を投資して誰かを助けると、相手がそれに値する人だと必死で信じようとする。
下心はバレる。
ギバーは常に他者の利益追求のスコアが高いものの、自己の利益追求に関しては人によってマチマチだ。自己犠牲タイプのギバーは、病的なまでに他人に尽くすあまり、自分自身を傷つけてしまうことになる。
多くの事例やデータに基づく内容は、非常に興味深く、現代に成功するビジネスモデルの興りにも、なにかしっくりとくる。
アダム・スミスの言葉が掲載されていた。
「人間がどんなに利己的なものであろうと、明らかに本性のなかにいくつかの原理があって、それらは他人の運命に関心を抱かせ、見て嬉しくなる以外何も得られないにもかかわらず、他人が幸福であることが必要だと感じさせるのである」
帯には本書にも登場する心理学者ロバート・チャルディーニの言葉がある。
「仕事と人生の”革命的な思考の転換”になるだろう。」
チャルディーニ氏はお伝えするまでもない「影響力の武器」の著者である。
あの分厚い書籍からも、考え方、生き方の大切さを本当に学んでいる。
また帯にハイ・コンセプトの著者、ダニエル・ピンク氏のコメントがあり、
「読み終わったあとも、魂に火が点きっぱなしだ!」と赤い文字で大きく書かれていた。
そういえば、地方創生や多くの人を巻き込み活躍する友人が、こう言っていた。
「私達は着火剤でいいんです」
あ、私にも火がついた。
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■参考サイト
アダム・グラント: 「与える人」と「奪う人」—あなたはどっち? | TED Talk
https://www.ted.com/talks/adam_grant_are_you_a_giver_or_a_taker/transcript?awesm=on.ted.com_cmew&source=twitter&language=ja
ロバート・チャルディーニ
影響力の武器 なぜ、人は動かされるのか(株式市場誠信書房)
http://www.seishinshobo.co.jp/book/b177759.html
タイトル:GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代
著 者:アダム・グラント
発 行:2014年1月8日
発行所 :株式会社三笠書房
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