2019年10月のさと、うま この地名が危ない 大地震・大津波があなたの町を襲う@楠原佑介

10月12日土曜日、台風19号による記録的豪雨に見舞われた。
豪雨による影響は激しく、河川氾濫、堤防崩壊が各地で相次ぎ、
一部報道によると55河川79カ所で決壊、死者74人、行方不明者11人、けが人224人と
被害も増加を続けている(10月16日現在)。
私の実家は岩手県にあり2011年の東日本大震災でも多くの県民が亡くなり、
今回も1名の方が亡くなったと報道されている。
無力な自分、ほんとうに悲しみに耐えません。この度は心よりお悔やみ申し上げます。

我が国はこの上ない自然災害との闘いが繰り返されてきた国だ。
気象庁の発表による、なんらかの災害をもたらした事例によると、
平成に入り今回が115回目の災害となる。

気象庁 | 災害をもたらした気象事例(平成元年~本年)
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/index_1989.html

年間4回は起きていることになる。
昨年の西日本豪雨が記憶に新しいが、
死者263人、総降水量が1800mmを超える場所もおきた。
今年8月末の九州北部地方の豪雨も佐賀県や長崎県で月平均の倍以上、
観測史上1位の総降水量も記録している。
翌9月に関東を襲った台風15号は千葉県を中心に全壊・半壊1,544棟、破損23,537棟。
今回は箱根町で1日1000mmの総降水量を超えた。
発生回数、一度の規模が増してきていることを実感する。

ふと思い出した、東京メトロ東西線木場駅の近くにある洲崎神社に
津波警告の碑が残されていたはずだ。
調べてみると1791年の津波により多くの被害が出たため、
江戸幕府は一帯を買取り、居住禁止としたと伝えられている。
なるほど、不動産に関わる者としては、
近くにこのような神社や碑があることを確実な知識としておかないといけない。

小さい頃、田舎のおじいちゃんから「ここは何を祀ってんだ?」か分からない碑を、
メインの神社と一緒に拝みに行った記憶が蘇った。
これだけ自然災害の多い我が国は、
先人たちの残した碑、文書、地名が無数に存在している。
そういうことか!

本書「この地名があぶない」を手にしたのも、今回の災害があった翌日。
我々の祖先がこの日本列島に住み始めて1万数千年、この地で水田耕作を始めて2〜3千年、
その間いつ襲われるか知れない災害のことを、一日たりとも忘れたことはなかった。
この列島の自然の脅威を知り、いつ起きるかわからない災害とどう向き合うか、
その災害の被害をどう最小限にとどめ、被災地をどう復旧し、生きるすべをどう再建するか。
そうした地域住民の経験、言い換えれば地域の生活史が地名には込められている。
地名は「災害の履歴書」だと言ってもよい。
火災が多いところは火伏せの神として知られた山城国の愛宕神社かもしくは
遠江国の秋葉社のいずれかを勸請し、その社名をつかって「愛宕」なり「秋葉」なりに改称する。
「蔵」「倉」がつく地名は倉庫や裕福な印象もあるが、
地面が抉(えぐ)られたような地形に使われたケースがほとんどである。
シメ(締、占)とは本来神聖な土地に標識を建て「不浄なものの立入禁止」を示したこと、
その土地のこと。
神社の注連縄もそうで、いわゆるバリアーを張るということである。
そのような漢字を使われた土地は、いわゆる災害や危険地帯だから、
むやみに立ち入り、開墾などするなという意味、場所である。
なぜ桜の名所でもないのに「桜島」なのか。
花が咲くの「サク」は「サケル」と同じ語源で、
山頂の噴火口がサケて溶岩と火山灰を噴き出す火山もサク(裂)ラなのである。
それで人々に桜島と呼ばれるようになったのである。

災害の頻度、規模は多くなってきている実感がある。
とはいえ被災者の人数は徐々に少なくなってきていることも実感する。
様々な工事や技術が推進され、東京には環七地下に巨大貯水槽が整備され、
54万立方メートルもの貯水が可能になっているという。

不動産は立地=場所の産業。
駅から近い、コンビニや飲食店が近くにあることももちろん大切だ。
しかし、価値はそれだけではないのだ。
私達にもできることはきっとあるはず。

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■参考サイト
水害 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/水害
集中豪雨 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/集中豪雨

タイトル:この地名が危ない 大地震・大津波があなたの町を襲う【電子版】
著  者:楠原 祐介
発  行:2012年2月14日
発行所 :幻冬舎

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