2020年5月のさと、うま 感染症対人類の世界史@池上彰+増田ユリヤ

病原菌と人類との戦いが続いている。
歴史は繰り返される、という。
そう思い、病原菌と人類の歴史やつながりを学んでみたくなった。
このようなときはいくつも書籍が出版されるので、なるべく発行の新しい書籍を選ぶ。
あ!それも、誰もが知っている人が書いている!

テレビ番組がきっかけで緊急出版することになったとあるこの書籍は、
お二人の対談形式で表現されている。
たしかにテレビはコロナウイルスか、投稿動画か、再放送を繰り返している。
お二人の対談形式でどんどん読み進められるし、表現が分かりやすく読みやすい。
一部抜粋をさせていただきながら感じたことをまとめてみよう。

ヒトと感染症の歴史は紀元前まで遡るという。
病原体は細菌、ウイルス、虫といったもので、なんらかのケースで体内に入り込んだ病原体が、
組織を破壊することにより発生する。
感染ルートは家畜にした動物、不衛生な環境、移動、
そして今回と同じく人々のふれあいによって感染が広がっていく。
移動といっても車も新幹線も飛行機も存在しない時代は旅行とは違い、
大陸自体も未開の地だから、移動=冒険のイメージが想像しやすい。
未開の大陸に、免疫のある者とない者が鉢合わせるということは…ある戦いでは8万人の兵士を持つ国が、200人の兵士に滅亡されたとも、またある国では総人口の3分の2が命を落とし、滅亡したとも…
世界遺産として目にするような、帝国や文明が姿を消した理由のひとつかもしれない。

病原体を目で確認する技術のない時代だ。
ヒトの見えないものへ恐れは、絵画や宗教へ表現されていく。なぜか。

池上・・・日本では、奈良の大仏につながっていくわけだね。
増田・・・8世紀にウンカという害虫の発生や不作、凶作があって、そのたびに元号を変え、都を転々とする。そうした中、天然痘の流行があって、聖武天皇が大仏造立を命じました。太刀打ちできない病気が蔓延すると、ヒトは何かよすがを求めて平和を祈ってきたんです・・・

池上・・・1562年に制作された、ブリューゲルの「死の勝利」という絵には、骸骨のような人物が描かれています。どうしてこういった絵が描かれたのかと思っていました。今回、こうして歴史を振り返っていくと、その背景には、ペストが広がっていたという時代背景があるんですね・・・

ピーデル・ブリューゲル《死の勝利》の詳細画像|MUSEY
https://www.musey.net/3787/4190

都市伝説だろうと思うような、このようなビジュアルの絵画は記憶の片隅にある。
「髑髏=菌」という表現か!
当たり前だが時代背景を学んで絵画は見るべきなのだ。この学びだけでも嬉しい本だ。
ブリューゲル展が待ち遠しくなる。

感染症の病原体を肉眼で見たのは1700年ころだと言われている。
ペスト、コレラ、チフス、インフルエンザ、マラリア・・・いくつもの感染症が発生しているが、撲滅に成功した感染症は天然痘ただひとつという。

ウィズコロナ。
アフターコロナ。
今を切り取ればそうだが、致死率の高い感染症も含めた病原体は地球上にごまんといて、そのほとんどは完治するクスリが存在していない。

増田・・・過去に幾多の感染症が、交易を通じて拡大しました。一段とグローバル化が進んでいる現代だからこそ、新たな感染症の発生と拡大に対する警戒が必要だということを改めて痛感しますね。

池上・・・ただ、こうして感染症により大きな被害が出て人口が減って、賃金が上がったり、地位が向上したりするというのも皮肉なものです。戦争と革命と国家の崩壊と疫病は、社会を平等にしていくのです。

増田・・・人類の歴史という視点で考えると、感染症が流行ると、その時代の権威が揺さぶられる。そして大きな変化が生まれる。その繰り返しなんです。

皮肉かもしれないが、そうなのだろう。
生命あるすべての者は、この地球のいかような変化の歴史と対峙し、形、色、音、生態、場所などを変化し、追従したものだけが、今日この日を迎えているのだ。

その一方ではよくない方向へ向かっている事象もある。
産業革命、人口爆発、自然破壊といった、人工的なものがほとんどだ。

2014年、東京の代々木公園を中心にデング熱に大勢の方が罹患した。
生物の中で一番ヒトを殺している蚊は温暖化により生息域がひろがり、成長速度も早まり、大量発生につながる可能性もあるという。

List of deadliest animals to humans – Wikipedia(人間にとって致命的な動物一覧)
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_deadliest_animals_to_humans

東京都の平均気温は約150年で3度ほど上昇している。
気象庁|過去の気象データ検索@東京
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/monthly_s3.php?%20prec_no=44&block_no=47662

また2016年にはシベリアで温暖化の影響で永久凍土がとけ、現れたトナカイの死骸に残っていた炭疽菌が他の動物に感染し、幼い犠牲者も出している。
永久凍土が融解すると温暖化を加速させる温室効果ガス(メタン)が発生するので、さらに温暖化が加速するとも…

マスクとゴーグルに加えて、虫除けスプレーと蚊帳をカバンに入れて持ち歩く時代も到来するのかもしれない。

これを一時的な現象と捉えるのか、一時代が変わると捉えるのか。
歴史は繰り返されるとすれば、何をやるべきか、すでに決まっている。

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■参考サイト
【緊急出版】池上彰×増田ユリヤ『感染症対人類の世界史』電子書籍4月16日先行配信!|株式会社ポプラ社のプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000172.000031579.html

感染症の歴史 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2#%E5%A4%A9%E7%84%B6%E7%97%98

パンデミック – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF

タイトル:感染症対人類の世界史
著  者:池上彰+増田ユリヤ
発  行:2020年4月28日
発行所 :株式会社ポプラ社

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