このブログを書いている11月初旬は、テレビやネット上ではアメリカ合衆国の大統領選挙において、民主党のジョー・バイデン候補者が勝利宣言を行っている記事でいっぱいだ。
均衡状態が続いていたが、ここに来て一気に大勢が決まった。
また、新型コロナウイスは、特に北半球諸国の気温が下がってきたことで、感染者数が増加してきているニュースが流れている。
我が国でも北海道をはじめ、各地で第3波か?という報道が各局で放送されている。
そのような中、我が国の出生数の発表がなされていたのをご存知だろうか。
9月17日、我が国の2019年に生まれた子どもの数は、想定以上に少ない865,239人と発表された。
令和元年(2019) 人口動態統計(確定数)の概況 | 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei19/dl/14_hou.pdf
そして10月には、2020年の出生数見通しは85万人割れ、2021年はコロナの影響で70万人台へというニュースも。
先進国の出生数、減少予測 日本は初の85万人割れも:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66528950R21C20A1EA1000/
これは衝撃的。
人口問題研究所による出生数の中位予想によると、84万人台になるのは2025年、70万人台は2033年とされていたが、それよりも数年~数十年早まって、出生数が減少して行く可能性があるということだ。
ここ数ヶ月、人口、地球、日本、食糧といった記事や統計に注目して生きている自身は驚きを隠せない。
そこで気になっていた本書を今月はピックアップ。
著者は我が国の人口減少を分かりやすく紹介してくださったベストセラー「未来の年表」シリーズや、一歩踏み込んで人口減少による都道府県の変化を示した「未来の地図帳」の著者の河合雅司氏。
未来の地図帳は昨年の8月にピックアップさせていただいている。
2019年8月のさと、うま | 未来の地図帳@河合雅司 | サンブログ
https://search.sunfrt.co.jp/blog/staff/yby/p13088/
本書も日本が直面する人口問題と向き合いながらも、捉え方を変え、協力し、人間らしく生きる事で、未来も再び希望へと転じ、少子化にも歯止めがかかるのだと示してくれる。
とはいえポイントとはしっかりと根拠のある数字も交えて把握することが大切だ。
給水を例とした社会インフラが分かりやすいので、一部抜粋させていただく。
…社会インフラの維持コストは、原則として世帯数で割り算するため、人口が増えるほど各家庭に割り当てられる負担も軽くなる。いわゆるスケールメリットだ…総務省の「自治体戦略2040構想研究会」の資料によれば、水道日量のピークは2000年に3,900万㎥であったが、人口減少や節水機器の普及などにより、2014年には3600万㎥に減り、2060年には2,200万㎥に、2110年には1,100万㎥に減ると予測している。ここまで減れば採算は厳しくなり、必然的に値上げという形で負担が来る。あるモデルでは自治体の人口が3分2に減少すると、月の水道料金は3.5倍になるという…
自治体戦略2040構想研究会 第一次・第二次報告(概要)(8ページ目)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000562116.pdf
当然、水道料金だけがこうなるわけではなく、スケールメリットが薄れるガス、電気、道路、橋、インターネットなども同じ方向に向かうのだろうが、現実問題としてそうは行かないはずだから、供給エリアを狭めるとか?・・・いずれにしろ将来どうにかしなければならないということが具体的に感じ取れる。
とはいえ著者は、本書に搭乗する様々な事象も決して悲観的になる問題ではなく、まずは事実と向き合おう、そして、あえて戦略的にこの国を縮めることで、本当の生き方が見えてくると丁寧に示してくださる。
人口減少するよ、少子高齢化するよ、見て見ぬ振りしている人多いけど事実だよ。
その根拠となるのはこの数字、このグラフ、この表だよ。
大学の総数、食糧、自治体、給水インフラ、留学生といった身近な事象はこれだよ。
順をおって分かりやすく、数字や表がはさまれ、とても勉強になる。
氏の書籍は前回も感じたことだが本当に分かりやすい。
新書サイズで数時間の集中で読破できるのもおすすめポイントだ。
最後に文中からひとつ。
過去からの延長線上に未来を見ない。
常識や成功体験を、一旦否定した上で考え直す。
この柔軟性ホント大切。
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■参考サイト
将来推計人口・世帯数 | 国立社会保障・人口問題研究所
http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Mainmenu.asp
河合 雅司 Masashi Kawai | 現代新書レビュー
https://gendai.ismedia.jp/list/author/kawaimasashi
地方創生は「既存インフラ」の活用にかかっている | PHPオンライン衆知|PHP研究所
自民党の石原伸晃元国土交通大臣との対談
https://shuchi.php.co.jp/article/8012
タイトル:未来を見る力 人口減少に負けない思考法
著 者:河合雅司
発 行:2020年9月15日
発行所 :PHP新書