原研哉氏はグラフィックデザイナーとして、
1998年の長野オリンピックや2005年愛知万博にもたずさわった方です。
私も体験してきました「HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION」の世話人もやられています。
私たちに関係しているとすれば、今の銀座松屋さんのファーサードリニューアル、
森ビルさんのロゴ、蔦屋書店さんのロゴ。
10年以上前の本ですが、購入時、本の表装でやられました。
ジャケ買いです。。。
著者の書籍は白い表装が多くありますが、
この本を読んで「白」がとても重要な事に気づきました。
それは山口県光市にある産婦人科と小児科の専門病院「梅田病院」のサイン計画のくだりにて。
ここでのトイレや病室名のサインをあえて「やわからい白い木綿」を利用しています。
やわらかい布を用いると、そこにいるお客様はより気持ちのよい空間に満足します。
しかし一方、布というのは汚れやすい。
ではなぜ利用したのか。
わざわざ汚れやすい白い布を用いた理由とは
「汚れやすいものを常に清潔に保つ」ということの実践のためとあります。
汚れやすいものを常に清潔に保つということは、
最上の清潔さを確保してる表明になるとのこと。
文中に・・・
サインは一般的にはアクリルや金属、木やガラスといった物質の上に表示する。
これはサインデザインのひとつの宿命である。
ここでは、サインの宿命である物質性を別の目的で生かすことで、
誘導認識とは異なるコミュニケーションを生み出すことを試みている・・・とありました。
提案する人。
管理する人。
利用する人。
私たちのたずさわる建物も不特定多数の方々が利用するため、サイン計画がとても大切です。
特に最近、建物の看板を見て感じることは、木目調のシートやガラスが多いなって思います。
それは見た目はもちろん、「管理のしやすさ」も要素のひとつとして選ばれているのです。
ガラスやシートは見た目も明るく、文字を貼っても跡が残らずはがしやすいんです。
あえて管理の難しい素材を用いることは、管理する側もそれなりの覚悟が必要です。
管理面だけを考えると間違いなく手間が増えるからです。
しかし、易きにとらわれず、妥協せずに造りこんだ空間には、
誰もが心地よく感じる「真の価値」が生まれます。
見やすく、美しく、そして管理もしやすい。
これからのリニューアルでも追求していきたいと思わせてくれる、
とても良い本にめぐり逢いました。
2020年の東京オリンピックのロゴ、今回の事象を糧に世界に羽ばたくロゴの発表を期待しています。
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タイトル:デザインのデザイン
著 者:原研哉
発 行:2003年10月21日
発行所 :岩波書店