“すべての革命は一人の仮説から始まる”
煽り文に魅せられて手に取りました。
著者の佐渡島氏の名前、どっかで聞いたことあるなと思ったら
プロフェッショナル仕事の流儀に出演されていた方でした。
編集者として、『ドラゴン桜』、『宇宙兄弟』を育て上げ、ドラマ化、映画化、アニメ化を実現させ、
伊坂幸太郎著書『モダンタイムス』などの小説も担当されていた方です。
著者は「世界は誰かが思い描いた仮説でできている。スマホもインターネットもパソコンも。
車に電話、飛行機にロケットだって。誰かがこうなるはずだ、
こうするとみんながハッピーになるぞと思い描いた大胆な“絵”から世界はつくられている」
と語っております。
そんな、著者が語る本書から、
今後の人生に役に立ちそうな言葉や考え方がたくさんありましたので、
今回は一部ご紹介したいと思います。
いつも念頭に置いているのは「仮説を先に立てる」ということです。
「仮説を先に立てる」だなんて、当たり前のことだと思うでしょう。
でも、実際は、そうではないのです。
ほとんどの場合、「情報を先に見て」、それから仮説を立ててしまう。
ぼくも少し気を抜くと、そのような思考に陥ってしまいます。
「情報を先に見る」「分析する」のが、当たり前では?と、私は思っていたのですが、
それだと「前例通り」の発想しかできなくなる、と佐渡島氏は考えているのです。
佐渡島さんは担当していた『宇宙兄弟』をヒットさせるために、
こんな「仕掛け」をしました。
「女性読者が増えると、『宇宙兄弟』がヒットし始める」という仮説をもとに、
「女性のみ」をターゲットにしたプロモーションを考えたのです。
「女性は何が好きだろう?」
「日常どういうふうに行動しているだろう?」
「どんな場所で本を手に取るだろう?」
「見る映画をどうやって決めているんだろう?」
……そんなふうにひたすら考えました。
そして「女性がよく行くところで、影響力がある場所はどこだろう?」
と考えていたときに、ふと「美容室だ!」と思い浮かんだのです。
略
佐渡島氏は、
「これは自分が5年間かけて育てた新人のマンガです。ぜひ読んでみてください、
そして気にいっていただければ、お客さまにこのマンガのことを話していただけませんか?」
という手紙をつけて、『宇宙兄弟』の1・2巻を首都圏の美容室に送ったそうです。
『宇宙兄弟』の大ヒットが、この「美容室作戦」のみでもたらされたものかどうかはわかりません。
これ以外にも、さまざまなプロモーションがあり、ネットでの口コミも影響したかもしれません。
でも、結果的に『宇宙兄弟』は大ヒットしましたから、佐渡島さんの「仮説」は正しかったということになります。
佐渡島さんは、ネット時代だからこそ、スパムメールのばらまきのような方法ではなく、
「作家と読者の距離を縮める」ことや、ひとりひとりのターゲットに、心をこめたメッセージをおくっているのです。
私がこの本を読んで、いちばん印象的だったのは、
佐渡島氏の行動力と「失敗をおそれずに、自分の仮説を実行してみる姿勢」です。
身の回りでも、ちょっと人と違うことをしようとすると「そんな無謀なこと、やめておきなよ」
「そんなの無理にきまっているよ」と多くの人がアドバイスをしてくれます。
実際に、うまくいかないことのほうが、多いと思います。
しかし、「せっかくこうして生きているのだから、自分の仮説を証明するために、
とりあえずやってみたほうが面白い」という姿勢を貫く佐渡島氏のような
人間の熱狂から世界は変わっていくのだと思います。是非、ご一読ください。
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タイトル:ぼくらの仮説が世界をつくる
著 者:佐渡島庸平
発 行:2015年12月10日
発行所 :ダイヤモンド社
■関連・参考サイト
プロフェッショナル仕事の流儀
http://www.nhk.or.jp/professional/2014/1208/
RPおおぬま