2016年6月のまえもり サムスン式 仕事の流儀@ムン・ヒョンジン

Evernote Snapshot 20160620 002143 (1) (480x640)『ライフエクスペリエンス』 第2話

〈とりあえず靴を磨こう。本によると、まずはここからだな。

っていうか外雨じゃん。やる気なくすぅ・・・じゃない!
『恵みの雨だ!もしかすると雨だから道で滑る人がいたり、
車が来て水たまりの水が跳ねて人にかかって、
お笑いのネタにできそうなことが起こるかもしれない!』
こんな感じで考えればいいのかな?〉

完全に昨日読んだ『夢をかなえるゾウ』の内容だ。
すぐに実践するなんて意外に純粋じゃないか。

光男(ひかりお)がふと手帳を見る。
今日はお笑いのオーディションらしい。
傘をさして駅まで歩き出す。バッシャー!!
〈うそだろ、、俺かよ・・・。靴もさっき磨いたばっかなのに。〉

そんなことってあるだろうか。
自分でイメージした面白いこと(当事者になったらかわいそうなこと)が本当に起こる。
しかも当事者として。

くくくっ。僕が本屋で働いているだけだったら絶対に体験できないことだ。
こいつ芸人を目指しているだけあって、ある意味もってるかもな。
彼を見ながらそう思う。
そんなこんなでオーディション会場に着いたようだ。

オーディションが始まった。
「コント ガネーシャ」
「はいどうも!ガネーシャです。
最近寒いですが、こう寒い日が続くとね、人恋しくなりますね。
私こう見えても彼女がいないんです。そうすると彼女作ろうということになりますね。
いざ作ろうとすると、これがまた面倒なことばかり。デートに行くとなるとどこに行くのか。
まずここで迷うわけです。では仮にドライブ行くことになったとしましょ。
でも、ここでもまた迷う。思い切って外車を借りるか、はたまた日本車でいくか。
やっぱり女性が喜ぶのは外車だし、でも最初から見栄張るとあとあと辛くなるから
やっぱり最初は日本車にしようか、外車にしようか、日本車にしようか。
ガイシャにしようか、ニホンシャにしようか。
なんつって迷っているうちにこんがらがってきて、
じゃあもういっそのこと『ガネー車(シャ)』でいいんじゃないかと・・・」

真冬の海原を風が吹き抜けるかのようなそんな空気。
彼のナナメ上から見ている僕もどこか辛くなってくる。
今日はよくない日だったようだ。
っていうか、今回のネタ、昨日読んだ本のパクリじゃねーか!!

確かに本にもモノマネをすることは大事って書いてあったけど、
これは違うだろ!?そんなんだから・・・まぁいいや。
でも彼はそんなに落ち込んでいる様子はなかった。
〈俺の人生はこれでいい。いつかは成功したい。
けど、自分の好きなことを思いっきりやれることが幸せなんだ!〉

彼の心に同調しているとわかる。本を読む前と読んだ後とでは、
明るさというか、前向きさというか、心持ちが全然違う。
人はこうまで変わるものだろうか。
なぜ僕がこんな体験をしているのかまだよくわからないが、
こんな体験ができてよかったと心から思う。


**  〜サムスン式仕事の流儀〜  **

ふと目が覚めるとベットの上だった。
なんだ昨日の体験は、夢だったのか。
ってそんなこと考えてる場合じゃない!
遅刻だ!あと5分で出なきゃ仕事に間に合わない!!

歯を磨き、水で寝癖を直してすぐに家を出る。
ギリギリセーフ。出勤時間の1分前に店に着く。
「おやおや。今日もギリギリの出社かい?」

ダイジンだ。こんな嫌味をいうタイ人いるだろうか。
違うか。日本人か。にしても黒いな。

「うるせぇよ。そんなお前も実はギリギリに着いたんだろ?
顔に日焼け止めの白いのが残ってるぜ」

すでにここまで黒いのに諦めずに日焼け止めとは大した精神だ。
というか男なのに。まー、それも個性なのか。
そんなこんなで開店した。

しばらくすると、明らかに人相の悪い人が店に入ってきた。
間違いない。確実に犯罪を犯したことのある人相だ。

以前、指名手配犯のチラシを警察が配りに来ていたことを思い出し、
店の引き出しにしまってあったそれを確認する。チラシの中にこの男の顔はない。

そんな人相の悪い彼が手に買った本は、
『サムスン式 仕事の流儀 〜5年で一流社員になる〜』だった。

確か、アメリカのオクラホマ州でMBAを取得し、
その後、サムスンに就職、素晴らしい業績を作ったムン・ヒョンジン氏が書いている、
日本でも以前話題になった本だ。こんな本を読むとは。。意外に普通の人なのだろうか。
もうストレートに言ってしまおう。どこからどう見ても。
正面から、右から、左から、後ろから、どの角度から見てもヤクザだ。

仕事が終わり、家路につく。今日も何気なく過ぎ去ってしまった。
風呂から上がり、火照った体を扇風機で冷やす。
外の道路をたまに過ぎ去る車の音がどこか心地良い。
6月の夜風は気持ちが良い。いつの間にかウトウトしてきた・・・・・

またかいっ!!
昨日に引き続き、またドローンから映像を眺めているような状況だ。
今日は、あのヤクザか・・・。
開いた手帳に名前が書かれていた。仲田 京左衛門というらしい。
〈最近、仕事がうまくいかないから、前に聞いたことサムスンの本を買ったはいいものの、
本のサブテーマが「5年で一流社員になる」なのに、
俺すでに7年目なんですが・・・とりあえず読むか。〉

本は、入社前の社会人としての心構え、
入社1年目〜5年目までにどのような意識で仕事にあたればいいのかを中心に、
著者のムン氏のサムスン時代の体験談がか書かれている。

例えば、
・入社前
優れた報告書に必要な三つの視点。
ムン氏は、サムスン当時の上司より「報告書は、自分の顔であり、人格だ。」と教えられた。
つまり、報告書は、自分の仕事力、思考のプロセス、未来を通す力、
創意性とクリエイティビティ、対処能力と瞬発力までが、そっくりそのまま現れるという。
優れた報告書を書くにはまず、「過去ー現在ー未来」視点のフレームを用いることだ。
最終的には、未来を見据えた報告書を作成しなければ、
「だから、どうしろと言うんだ?」と思わせるだけだ。
報告書は、役員や社長に考える材料を提供し、
未来の変化を目に見えるようにするためのものだ。

・入社3年目
人間的魅力が備わってこそ真のプロ。
サムスンにおけるプロとは、人間的魅力を備えたソフトな人だ。
真のプロになりたければ、「どうすれば満足させることができるか?」
ということを考えだせなければならない。
そこに「人間的な魅力」をどう結びつけ、相手にアプローチできるかを考えてみるのだ。
という具合だ。

〈なるほど。そういう考え方、モチベーションで仕事をすればいいのか。
そしたら、もっと楽しんで仕事ができそうだ!明日からやってみよう!〉

京左衛門の声が頭の中に響く。
意外に素直なやつなのか?明日からの彼の行動が見ものだな。

ふと、京左衛門の部屋を見渡す。
部屋にはテレビとベット、小さなテーブルに本棚があるだけの
殺風景で、いかにも男子特有のものだ。
部屋にある目覚まし時計が目に入った。
時刻は、9時を指している。
京左衛門は、もう寝ようとしている。意外にも早寝のようだ。
彼の見た目のせいだろうか。彼にはどうもギャップがありすぎる。
ギャップのせいか彼が魅力的に感じてくる。人間とはギャップに弱い生き物らしい。
もしかすると、このギャップで女性をものにしているのかもしれないなと思った。

※ このブックレビューはフィクションが記載されております。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※ 当該ブックレビューは連載ものです。ご興味があれば、以下5月のまえもりをご一読ください。
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タイトル:サムスン式 仕事の流儀
著者:ムン・ヒョンジン
発行:2012年1月10日
発行所:株式会社サンマーク出版

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