2016年5月のまえもり 夢を叶えるゾウ@水野敬也

夢を叶えるゾウ (480x640)『ライフエクスペリエンス』 第1話

今日もつまらない1日だ。
僕はこうして毎日、たくさんの本が並ぶ中、その本を整頓したり、
陳列したり、会計をしたりして1日が終わっていく。

本を読むのは大好きだが、このまま一生が終わってしまうと思うとゾッとする。

自分が死ぬまでに何かを残して、死んでいきたいと思うが、
そんなことを思うだけで、実際に行動に起こすこともない。

いまの生活を変えてしまうことへどこか恐れを感じているのだろう。
せめて、いまの自分と違う生活を送ってみたい。
たった1日だけだとしても、この大量の本に埋もれているだけの、
何も変わらない1日から抜け出してみたい。たった1日だけだとしても。

人は、一度出てきたアイディア(考え)は、一生消えることはないという。
「いまから、ゾウ以外のことを考えてください」と言われたら、
逆にゾウのことが気になって、ゾウのことばかり考えてしまう。そんなものだ。

僕の名前は、二宮金太郎。
父の実家は貧しい農家で、父は毎日、マキを運びながら大好きな本を読み、
学力を高め奨学金で学校へ行き、そのままサラリーマンになってお金を貯め、
念願の本屋を開いたという。そう、僕は、父、二宮金三郎の一人息子だ。

皆様ご察知の通り、僕は父の本屋で働いている。
東京の大学を卒業して間もなく、やることもなかったため、父の本屋で働くことにした。
父はそのまま僕にこの本屋を継がせるつもりらしい。
僕もそれが嫌というわけではないが、何事もなく過ぎていく
このライブラリーLIFEに最近嫌気がさしている。

「おい、金太郎!おい!聞いてるのか?」
「あっ、はい。って、ダイジンかよ。びっくりさせるなよ!」
「まったく、まさかりの金太郎なんだか二宮の金次郎なんだか、どっちでもいいけど、
お前がボーっとしてるからだろ?早くレジ手伝ってくれよ。お客様がこんなに並んでるんだからさ。」
「わかったよ。いまいく」

僕だって、なんでこんな名前つけたのか親に聞きたいくらいだ。
それに金三郎の息子なのに金太郎って。。。父親を超えさせてどうすんだ?

ずっとこんな疑問を持っているが父にその話をしたことはない。
ところで、同じ店で働いているダイジンは、色黒で、タイ系の顔をしている。
たまに「こいつはダイジンだ」と友達に紹介すると、
「タイ人?日本語上手だね!!」と聞き間違えられるくらいだ。
確実に入っているであろうタイ(もしくはインドネシア系)の血を、
本人は、自分は純潔の日本人だと言い張っている。

そんなことを考えている時に50代くらいの髭のだいぶ生えた男が一つの本を手に取り、
彼はクレジットカードで支払いをしようとした。
「あっ!ミスった!」

一瞬だけ免許証が見えた。本本光男。ほんほんひかりおと読むのだろうか。
驚いたことに僕と同じ昭和63年生まれの28歳だったようだ。
コンマ2秒の罪悪感の時間がある。

買った本のタイトルは『夢をかなえるゾウ』。水野敬也が書いている本だ。
彼はどのような人生を送り、どういう思いでこの本を手に取ったのだろう。
考えてもわからない。わかるはずがない。でも、彼の人生に興味がある。
なぜなら、自分の今の人生がつまらなすぎるから。。。

会計を終え、ちょうど就業の時間になった。
そのまま家に帰り、風呂に入った。
疲れていたのか、少しベットで横になるつもりがそのまま寝てしまっていた。


 

〈久しぶりに本なんか買うな。いつまでも芸人を目指していいものか、
なんて考えてたら、お金もないのにいつの間にかこの本を手に取ってしまっていた。
お金もないのにこんな本買ってしまって、ばれたら彼女に怒られるな・・・〉

ちょっと待ってくれ。意味がわからない。
これって、今日本屋で『夢を叶えるゾウ』を買っていた、ひかりおって人の声じゃねーか。
っていうか、口が動いてないし、これは、ひかりおの心の声ってこと?
そして俺は、なんだ?ひかりおの少し頭上、
まるでドローンから映像を眺めているみたいに客観的に見ている。
どういうことだ?よくわからない。
混乱している状態が続いていると、髭面のひかりおが本を読みだした。

本の主人公はサラリーマン。
彼は、自分の人生を恥ずかしく思い、ある日、成功したいと切に願い眠りに入った。
翌日起きてみると目の前に人型だが顔がゾウのものが現れた。
彼は自分のことをガネーシャという。なぜか関西弁だ。

関西弁の人は面白いという勝手なイメージからか、
よくギャグを挟んでくる。そしてツッコむ。会話形式。
一人の普通のサラリーマンがガネーシャの教えを1日ひとつ実行して、
成功をおさめる人に成長していくサクセスストーリーのようだ。

・ガネーシャ 名言集1
「ええか?自分が会社に行く時も、営業で外回りする時も
自分がカラオケ行ってバカ騒ぎしている時も、靴はずっと気張って支えてくれとんのや。
そういう自分支えてくれてるもん大事に出来んやつが成功するか、アホ!!」
(課題:靴を磨く)

・ガネーシャ 名言集2
「これからはな、毎日寝る前に、自分がその日頑張れたことを思い出して
『ようやったわ』ってホメや。そうやってな、頑張ったり成長することが
『楽しい』ってことなんや、て自分に教えたるんや」
(課題:その日頑張れた自分をホメる)

・ガネーシャ 名言集3
「自分にとってうれしゅうないことが起きても、まず嘘でもええから『運が良い』て思うんや。
口に出して言うくらいの勢いがあってもええで。そしたら脳みそが勝手に運がええこと探し始める。
自分に起きた出来事から何かを学ぼうと考え出すんや。そうやって自然の法則を学んでいくんや」
(課題:運が良いと口に出して言う)
etc…

ひかりおが本を読んでいるのと同時に本の内容が自分の頭の中にも入ってくる。
彼と同調しているのか?依然としてよくわからないが、
本の内容にいつの間にか集中している自分がいた。

本の内容は大体が聞いたことのあることだ。
が、実践したことはない。理屈っぽいようで理屈じゃないような、、
しかし、ひかりおは、それに引き込まれているようだった。
〈よし!明日から実践してみよう!〉
ひかりおが心の中でつぶやいた。

※ このブックレビューはフィクションが記載されております。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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タイトル:夢をかなえるゾウ
著者:水野敬也
発行:2007年8月29日
発行所:飛鳥新社

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