株式会社ドリームインキュベータの執行役員おふたりが著者のこの本。
会長に多数の著書やTVでもおなじみの堀紘一氏、社外取締役にオリックスの宮内義彦氏、
特別顧問に秋元康氏、事業戦略や事業創出に強みを持つ一部上場企業です。
簡潔に言えば本書は、最近ハイテクを中心にやたらと世界で負けている企業に、
その解決策として「ビジネスプロデュース」という手法を紹介する本です。
それも3000億円を目指すとなれば、
それ相当の社会の大きなニーズがあることが前提になります。
それを筆者は「ある」といい、それは「社会的課題というニーズ」であり、
実はたくさんあるといいます。
ただし社会的課題に着目すると、既存の業界の枠組みは越えざるを得なくなります。
ということは「業界の枠組みで考えている限りではいけない」ものであり、
「業界の枠組みを越えた発想ができた瞬間から、全く新しいニーズが見えてくる」つまりは、
「これからの大きな事業は、業界をまたいだところに創出されてくる」と書かれています。
そして、その社会的問題が大きいほど、その裏に存在する潜在的な事業規模も大きい。
書にはありませんが、あるHPの堀会長のインタビューにこのようにありました。
「・・・今までに日本で立派なベンチャー企業が生まれた時期が2回ありました。
1回目が明治維新の頃です。
日本資本主義の父と言われる渋沢栄一や三菱グループ創業者の岩崎弥太郎などが出てきました。
2回目が太平洋戦争の直前と直後の頃です。
ここでホンダやソニーが生まれました。どちらの時期も時代の転換期です。
それも一大転換期であり、世の中の価値観や制度がガラリと変わった時期です。
こういう時期に優れた起業家、つまり立派なベンチャーが生まれたわけです。・・・」
Google、Apple、Uver、Airbnb、NETFLIX。
アメリカのベンチャー企業は、大きな社会問題や背景をとらえ、
国や既存業界企業、様々な制度と戦い続けています。
空き部屋を貸す、空き時間を貸すといった社会的ニーズを掴み、
既存の枠組みを超えて大きく成長しています。
いわばまったく別業種にやられる脅威、危機感をアメリカではもっているため、
常に戦い続けるベンチャー魂が深く根付いているのだと感じました。
書には、
「業界の枠組みの中にいる同業他社に出し抜かれることはほとんどないが、
むしろ、その業界の成熟によって衰退の道を歩むことに恐怖を感じたほうがいい。
井の中の蛙で業界の中に閉じこもって戦っていても、大きな成長は見込めない。
それどころか、井戸の水が亡くなることを真面目に考えるべきだ」
とあります。
「社会的課題への着目」と「業界の枠組みを越えた発想」が不可欠であり、
枠組みを超えて戦ってきた企業が大きな価値を産みだす。
とても印象的です。
国内において、よほどのことがない限りあと数年、数十年はその業界に浸っていても、
最悪食べてはいけるでしょう。
それは国家を守る政府があり、人口がまだ保たれているから事業規模のパイがあるわけです。
しかし、あと5年もすればグローバルな社会は一般的となり、
多くの観光客と共に、「黒船襲来!」級の新たなインパクトがやってくる?!
それは期待でもありますが、危機でもあると察しました。
黒船がやってきた明治維新の時代から学ぶことも多くあります。
世界を見て、後ろを振り返った時に、
これではいけないと感じて行動していった意思というか意地。
それに対してあやまち(脱藩など)をしてでも、変革を学び、追求していく行動力。
何かを創出していかなければ、存続はありません。
それは家族でも、町でも、企業でも、日本においてもです。
私も戦っているつもりでしたが、全然目標が低くてダメです。
とても率直に危機感を抱かせていただいた、戦う勇気の溢れた本との出会いでした。
もちろんビジネス戦略を考える上で非常にためにもなりますよ!
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タイトル:3000億円の事業を生み出す「ビジネスプロデュース」戦略
著 者:三宅孝之・島崎崇
発 行:2015年5月27日
発行所 :株式会社PHP研究所
■関連・参考サイト
株式会社ドリームインキュベータ
http://www.dreamincubator.co.jp/
株式会社ドリームインキュベータ 堀 紘一 |ニッポンの社長 |インタビュー
http://www.nippon-shacho.com/interview/in_dreamincubator/
Business Produce Journal
http://www.dreamincubator.co.jp/bpj/
RP さと、うま