未読の山の整理・・・
からの今月のチョイスは「失敗の本質」などでおなじみの野中郁次郎氏の全員経営。
全員参加型経営といえば稲盛和夫氏のアメーバ経営になじみのある自身、
４月から新しい期となりましたので改めて落とし込みたいと思いました。
激しく変わる時流の中、ひとりひとりが自律し、
全員が経営者意識を持つ集団へと変化しなければならない時代ですが、
セブンイレブンや良品計画、JALなどの企業の行ってきた
イノベーションを題材にしている書籍です。
まえがきに、
「戦力の大きさで競合相手を圧倒する消耗戦から、ひとりひとりが「知的機動力」を発揮する機動戦への転換、それはまさに、全員経営のあり方そのものです。」
とあるように、大きな転換を図ってきた企業の考え方がめいっぱい書かれています。
私が感心させられたのは、
型破りな経営で突き進む5社について書かれている最後の第7章。
改革をうながすさまざまな作戦を「徹底」していること、
そして社員のみなさんが「団結」している姿が目に浮かんだからです。
例えば無印良品。
年間4000〜5000件の改善案が提案（社員ひとり1件/年ほど）され、
採用には1件1000円の報奨金が支給されるが、
それ以上に創意工夫のモチベーションそのものが仕組みとなり、
私も工夫してみようと努力することが社風となっている、ということ。
続いてはノルマもホウレンソウも残業ない岐阜県の未来工業の差別化。
商品は当然のこと、蛍光灯も1ヵ所ずつ担当者の名前をつけ節電責任をもたせる。
コピー機も本社に1台のみでそれで済む方法を考える。
究極は、ドアノブで開けるたびにいちいち回すのは時間のロスになるので、
手で押すだけで開くようすべてのドアを改良した。
そして、天皇陛下も来社され視察されたという世界一を連発する三鷹市の三鷹光器。
望遠鏡が原点の会社だそうですが、ひとり最低3つ以上の得意な仕事を持つことが
求められます。
さらに開発、製造、納品、調整とすべてひとりで行う。
こうした縦横に多様な経験を積み、自身を練磨し多能工となることで、
逆にアイデアが生まれるという。
た〜ての糸はあなた〜、よ〜この糸は私〜ということです。
by中島みゆき
驚きました。
それぞれが徹底している「こだわり」には差がありますが、
人の心を結ぶ考え方と行動力の原点は「全員が参加する」ということ。
最後にそれら企業の共通性が書かれていますが、
なかでも「主体的な経験を積ませる」「凡事を非凡化する」に
共感するところが多くありましたので、ちょっと長いですが抜粋してご紹介。
「主体的な経験を積ませる」
誰もが子供の頃は、ボディとマインドが不可分一体のまま、
身体で学びながらも心も豊かになっていく。
ところが、教育を受ける家庭において、大人からさまざまな決めつけを受け、
「どうせ無理」という意識から、ボディとマインドが分離し、
どちらも弱体化して、指示待ちへと陥っていく。
しかし一方で、人間は自らの潜在能力を最大限に発揮し
「よりよく」を求め続ける自己実現の欲求があるのも確かです。
・・・「よりよく」を求める心を触発され、ボディとマインドを再統合して、
自分で考え、学ぶという主体的な経験を積みながら、実践知を身につけ、
指示待ちを自己実現へと導く。
「凡事を非凡化する」
凡事を日々続けるのはそう容易ではなく、強い意志と目的意識が必要
・・・一方、私たちを取り巻く現実は流動的で常に変化する。
ただ、凡事の積み重ねがあるからこそ、変化への気づきが得られる。
その変化の中に新しい意味を見いだす、あるいは、変化への気づきから
既存の概念に新しい次元を加えることで非連続を起こすことができる。
もちろん凡事を徹底しても凡事のまま終わる人もいる。
強い意志と目的意識をもって凡事を日々続けるのは骨の折れる仕事で、
常に問われるのは、「自分は何のために仕事をするのか」という自らの生き方です。
生き方が明確であれば、人間は「よりよく」を求め、自己実現を目指します。
生き方を明確にし、受け身から主体的になれる職場を構築し、
それを全員で行動していくことで、既成概念に拘らない新しい発想とサービスにつながる。
この流れるプロセスが大切であり、どれかひとつ抜けてはダメです。
今期はチームのみんなで３つの新規事業をローンチします！
#サンブログ #sunblog #書評 #ブックレビュー #全員経営 #自立分散 #イノベーション #起業成功の本質 #野中郁次郎 #勝海明
タイトル：全員経営〜自立分散イノベーション企業成功の本質〜
著 者：野中郁次郎 勝海明
発 行：2015年1月23日
発行所 ：日本経済新聞出版社
■参考サイト
全員経営 – 野中郁次郎,勝見明｜日本経済新聞出版社
http://www.nikkeibook.com/book_detail/31984/
RP さと、うま
