働き方の多様化が進む中、会社という組織や特定の団体に所属せず、個人の立場で業務を請け負う「フリーランス」として働く人が増えています。
今回は、企業がフリーランス人材を活用するメリットや注意点を解説します。
フリーランスという言葉の由来
フリーランス(freelance:英語)は、「free(自由)」と「lance(槍)」が組み合わさっている言葉で、比較的新しい用語に思えますが、その語源は中世ヨーロッパまで遡ります。
当時は封建制(フューダリズム)の時代でしたが、大規模な戦争が起こるたびに、主従関係や忠誠心とは無縁のプロの傭兵が使われていました。
彼らは戦いに意義を感じて報酬が納得できれば、槍を持ってどこへでも飛んでいくため、1820年に出版された長編小説の中で「自由な槍(フリーランス)」と表現され、大衆読者の想像力を大いにかきたてたそうです。
その後、時代の流れとともに比喩的な言葉として使われるようになり、現在の意味合いへと変化していきました。
フリーランスに似た意味を持つ言葉に「個人事業主」がありますが、個人事業主とフリーランスでは用語の定義が異なります。
個人事業主は「税法上の区分」を意味する言葉であり、継続して事業を行う個人として税務署に開業届を提出している人のことを指します。
一方、フリーランスは「働き方」を表すための言葉であり、個人で仕事を請け負っている場合は法人を設立している場合であってもフリーランスに該当します。
企業がフリーランス人材を活用するメリット
現代社会において、企業がフリーランスを採用するメリットには、どのようなものがあるのか見ていきましょう。
具体的なメリットには、以下が挙げられます。
- 専門性の高い即戦力を得ることができる
- 福利厚生や社会保険料の負担を減らせる
- 人材育成にかかる時間やコストが不要
- 求人にかかる手間やコストを削減できる
- 多様な条件での柔軟な契約が可能
フリーランス採用の契約形態には、フリーランスとの間にエージェントなどが介入する間接契約と、第三者が介入しない直接契約があります。
直接契約の場合はフリーランスと直接やり取りすることになるため、報酬や仕事の進め方などについてフレキシブルに対応できるだけでなく、業務開始までの時間短縮も可能です。
フリーランス採用で留意すべきポイント
雇用形態にこだわらない柔軟な働き方の選択肢が広がり、副業も含めてフリーランスとして働く人が増加傾向にある中、フリーランスの活用は企業にとっても重要な経営戦略の一つになっています。
一方で、契約上のトラブル、情報漏洩、納期遅延、契約の途中放棄など、社外の人材を採用する場合のリスクに備えた対策を講じておくことも重要です。
2024(令和6)年11月1日に施行された「フリーランス法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」についても、しっかりと確認しておきましょう。
参考:政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/article/202408/entry-6301.html