スケルトン物件といえば飲食店や小売業などの店舗物件が一般的ですが、オフィスとしての内装や設備がない状態で貸し出される「スケルトンオフィス」も珍しくありません。
今回は、賃貸オフィスでのスケルトン物件を取り上げます。
スケルトン物件を選ぶメリット
スケルトンオフィスの具体的なメリットには、以下が挙げられます。
- 内装を自由にデザインすることができる
- オリジナリティが出せる
- 最新の設備を導入しやすい
- 古い設備や内装を撤去する手間が省ける
- 思いどおりの動線が作れる
- 賃料が安めになる場合が多い
スケルトン物件では、壁や床、天井などの仕上げは最低限であることがほとんどです。物件によってはエアコンや照明、トイレなどもない、コンクリート打ちっぱなし状態というものもあります。
そのため、オフィスを一から作り上げることになるので、業種やブランドイメージに合わせた空間づくりが可能になります。
退去時には内装や設備をすべて撤去して、物件を契約時の状態(コンクリート躯体だけの状態)にする原状回復工事(スケルトン戻し)が必要です。
スケルトン物件の「スケルトン」とは
スケルトン物件とは、天井や床、壁などの内装が施されていない、建物の骨組み部分である躯体(くたい)だけの状態の物件のことを指します。
英語の「skeleton」に由来するスケルトンという言葉は、不動産用語や建築用語として広く浸透しており、「スケルトン貸し」「スケルトン渡し」「スケルトン戻し」といった言い回しでもよく使われています。
このスケルトンと反対の意味を持つのが「居抜き」です。
居抜き物件では、前のテナントが使用していた内装や設備をそのまま引き継ぐことができるので、オフィスの状態がニーズに合致していれば、新たに造作工事などを行う必要がなく、移転にかかるコストの削減や時間の短縮が可能。
退去時の原状回復義務も、前入居者から引き継ぐ形となります。
内装や設備が整った状態で入居できる点では「セットアップオフィス」も同様ですが、セットアップの場合は貸主側が主体となって内装工事を完成させるため、原状回復義務が不要(あるいは限定的)です。
また、内装工事や設備の料金が上乗せされるため、居抜き物件よりも賃料が高めに設定される傾向にあるなどの違いがあります。
企業のニーズに合わせた選択を
スケルトン物件の最大の特徴は、その自由度の高さにあります。
会議室や休憩スペースを自由に配置したり、働きやすいデザインやレイアウトにこだわることで従業員の満足度が高まり、仕事へのモチベーションの向上が期待できます。
自由度が高い分、計画的な移転準備は必須。
凝ったデザインやレイアウトであればあるほど移転にともなうコストは高額になり、工事期間も長くなるといったマイナス面も考慮して、綿密な移転スケジュールを組む必要があります。
スケルトン、居抜き、セットアップ、それぞれのメリットデメリットを理解して、社風や実用性に合致した選択をすることが、オフィス移転を成功させるカギとなるでしょう。