自然災害や情報漏洩などの緊急事態に備えるための事業継続計画(BCP)は、企業にとって重要な取り組みの一つですが、計画を策定するだけでは十分とはいえません。
実際に計画を発動する状態に陥った時、現場が迅速に対応できるようにするためには、日頃からBCP訓練を実施しておくことが必要になります。
BCP訓練とは
BCP訓練とは、緊急事態が起きた際に事業を止めることなく継続させたり速やかに復旧させたりするための事業継続計画(Business Continuity Plan/BCP)が、正しく機能するか検証したり、計画の内容を改善したりするための実践的な活動のことをいいます。
概念自体は防災訓練と重なる部分がありますが、防災訓練が主に災害に対して備えるのに対し、BCP訓練は災害のみならず、事故やテロ、サイバー攻撃など、社会的混乱につながるあらゆるリスクを想定しています。
また、法的義務の有無も異なる点です。
企業における防災訓練は、消防法や労働契約法に基づいて多くの事業所で義務づけられていますが、BCPの策定や訓練の実施に関しては努力義務(※)となっています。
※介護や福祉分野においては、2024(令和6)年4月1日から完全義務化
BCP訓練の種類
BCP訓練の方法や規模は、企業の体制や課題によって異なりますが、一般的には以下のように分類されています。
机上訓練
資料などを用いながら緊急事態をシミュレーションする訓練で、ワークショップ型やロールプレイング型などがある。実際の行動は伴わないものの、各部門や部署ごとの対応手順や意思決定の流れを理解することができ、共通認識を持つことが可能となる。
要素訓練
BCPに記載された具体的な手順やツールに従って、実際にアクションを起こして計画の有効性や課題を検証する訓練。代表的なものには、安全確認訓練、安否確認訓練、バックアップデータ復旧訓練、代替施設への移転・対応訓練などがある。
総合訓練
緊急事態の発生から事業の復旧に至るまでの一連の流れを、時系列に沿って全体的かつ実践的に確認する訓練。企業単体だけでなく、近隣の関連事業者や地域の自治体などと連携して実施されることもある。
BCP訓練を行うことの効果
BCP訓練を行うことで得られる具体的な効果には、以下が挙げられます。
- 計画の不備や課題が発見できる
- 組織的な行動力が強化される
- 初動対応の迅速化が図れる
- 社員の意識が向上する
- 混乱やパニックになるのを防げる
BCP計画をより現実的な内容にアップデートするには、定期的なBCP訓練の実施は欠かせません。
また、参加者一人一人の当事者意識の向上と、実践的な対応力を強化するためには、発生時間や被害状況などをできるだけ細かく設定し、リアリティのあるシナリオを作成することも重要なポイントです。
企業の未来を左右する訓練
近年、日本国内では、豪雨や地震などの自然災害のみならず、企業や自治体を狙った大規模なサイバー攻撃や不正アクセスが相次いで発生しています。
事業資産の損害や社会的信頼の損失を最小限に抑え、事業継続や早期再開を可能とするためのBCP訓練は、企業の未来を左右する取り組みといっても過言ではないのです。




