個人の生活のための賃貸物件とは異なり、オフィス賃貸ならではの費用があります。
「権利金」もそのひとつであり、普段の生活の中では耳慣れない言葉です。
「礼金と同じようなもの」と言われることもあるのですが、実際、権利金とはどのような性質のものなのでしょうか。
■礼金と同じ?権利金の本当の意味
権利金が「礼金と同じようなもの」と言われるのは、契約満了時には基本的に返還されない性質があるためです。
しかし、その性質には大きな違いがあります。
礼金は、借主が物件の貸主に「お礼」として渡す意味を持っています。
しかし権利金は、借りる物件が持つ価値への「対価」という性質です。
礼金とは基本的に意味合いが異なっているのです。
たとえばオフィスの立地の良さ(駅近、業務効率の向上が見込める環境など)は、借りる企業にとってプラスになります。
価値がある項目であると認め、その項目に対して「対価」という形で支払うのが「権利金」です。
また、この権利金は貸主が契約中に物件に対して一方的な強権を発動しにくくする効果があります。
権利金は「貸主よりも借主の立場が強い」ということを確立させる意味合いを持つのです。
貸主が強権を発動するケースがそうそうあるとは考えにくいものですが、万一の時を考え、権利金で立場を明確にしておくのは経営管理のひとつとして有効と言えるのではないでしょうか。
■基本は返還されない?例外の条件もあり
退去時、権利金は基本的に返還されません。
これが「礼金と同じようなもの」と呼ばれる理由のひとつです。
しかし「契約期間中に借主の意思で解約がおこなわれた」のであれば、返還される可能性があります。
前述のとおり、権利金は「契約期間中に発生するメリットへの対価」として支払われる一面を持っています。
そのため契約中に解約となると、「契約満了までのメリットを享受できなかった=対価分をすべて受け取ったわけではない」となり、対価を受け取れなかったとされる一部の権利金が返還される可能性が生じます。
■契約時には明確化を!
権利金は「対価」が大きく関わるため、業種や地域によっては曖昧なものになりがちです。
契約時にはどのような対価があるのか、その金額は対価として相応しいかなど、トラブル防止のため細かい部分まで明確にすることをおすすめします。
また、実際に対価があると考えて入居したものの、思った以上に対価を感じられなかったというケースもあります。
物件を探す時からよく考え、自社へのメリットとその対価とのバランスをよく考えた上で契約に進みましょう。