2019/11/28労働基準監督署の役割とは?相談前に知っておこう

労働問題において何か問題が発生した時には、労働基準監督署を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。働く人が労働条件や関連法律について相談できる場所として広く知られています。しかし、わかっているようで、実はよくわからないというのが正直なところではないでしょうか。

そこで、今回はそんな労働基準監督署について、具体的にどういった役割を担っているのか、あらためて解説していきます。

労働基準監督署の役割は、主に3つ

労働基準監督署は、厚生労働省の出先機関です。その役割は、主に以下の3つとなっています。

  • 企業が労働基準法など労働関係の法令に基づいた運用が行われているかを監督する
  • 企業に対して、労働基準法など労働関係の法令を守るように是正勧告を行う
  • 労災補償の申請や給付に関する各種手続き

労働基準監督署の仕事として、よく知られているのが上の2つです。労働基準法を順守していない企業かを確認し、違反した企業には指導を行います。違反した企業に対しては、捜査や送検までもが可能な権限を持ち、必要と判断すれば、企業に対して「営業停止」などの行政処分を下すことができます。

非常に強い権限を持つため、労働基準監督署のチェックが入った場合、企業側が自主的に間違った状態を正そうとするケースも少なくありません。

労働基準監督署は、万能ではない

労働基準監督署への相談は、無料です。しかし残念ながら、労働基準監督署で全てのトラブルを解決できるというわけではありません。労働基準監督署が扱うのは、あくまでも「労働基準法などの法令に違反している、もしくはその可能性がある」と思われる案件のみ。例えば以下のようなケースで相談しても、対応してもらえないでしょう。

  • 上司からのパワハラで悩んでいる
  • 会社内にいじめがある
  • 強引な配置転換に納得できない

これらの問題も、当人にとっては非常に重要な問題ではあるのですが、残念ながら労働基準法に明記されているものではありません。よって労働基準監督署では対処ができないケースもあるのです。このような場合、総合労働相談コーナーのほうが幅広い相談を受けつけています。

また、労働基準監督署に相談したとしても、即座に直接問題解決のために動いてもらえるとは限りません。法令違反の証拠が必要であり、会社に対して是正指導や勧告は行えても命令はできません。あくまでもアドバイスや解決のためのあっせんをしてくれる機関ととらえておきましょう。

仕事をしていて、労働基準法に抵触するような行為があった場合には、すぐに労働基準監督署へと相談することが重要です。とはいえ、具体的にどのような内容が対象となるのか、わかりにくいのも事実です。まずは労働基準法や労働基準監督署について、正しく理解するところからスタートしましょう。

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