出勤時間や退勤時間を自由にできるフレックスタイム制の導入は、プライベートの時間を大切にできる有効な手段として注目を集めています。
コロナ禍においては混雑しやすい通勤時間をずらすための手段としても、有効とされてきました。
働き方改革の一環として2019年に法改正も行われたフレックスタイム制ですが、今回はフレックスタイム制の導入を検討する際に覚えておきたいポイントについてご紹介していきます。
フレックスタイム制導入に必要なこと
企業がフレックスタイム制を導入する場合、
- 就業規則などへの規定
- 労使協定所定での事項を決める
といった点を満たす必要があります。
具体的には「対象となる労働者」「清算期間」「清算期間の総労働時間」「1日の標準労働時間」などを決めて、労働者によって総合的な労働時間の差が生まれないようにします。
「コミュニケーションが取りづらい」を解決するには
フレックスタイム制を導入するとコミュニケーションを取りたい時に、相手がいないといった問題が起きる場合があります。
個人で出退勤時間を管理しているため、会議などの時間を設定するのが難しくなるかもしれません。
こうした問題を解決するために、フレックスタイム制を導入する際には「コアタイム」を労使協定に盛り込むことができます。
コアタイムは、一定の時間帯を全員出勤するように定める取り決めです。
例えば10時~15時をコアタイムと定め得た場合、この時間帯は全員出勤し、その前後の時間は出退勤時間を自由に設定できます。
実労働時間の過不足
これまでフレックスタイム制は清算期間を最大で1ヶ月までと定めていたため、1ヶ月の中で労働時間の過不足を調整する必要がありました。
しかし2019年4月の法改正によって、所轄の労働基準監督署長に届け出をすれば清算期間を3ヶ月まで延長できるようになったのです。
これにより、月をまたいだ労働時間の調整が可能になりました。
清算期間の総労働時間が法の定めるところの労働時間を超えた場合は、もちろん残業のあつかいになります。
また、清算期間内において総労働時間が不足した場合は、「不足時間分の賃金を控除して支払う」「不足時間分を次の清算期間の総労働時間に合算する」といった方法で対処することになります。
清算期間の延長で、より柔軟な働き方ができるようになりましたが、その分全体の労働時間の管理が難しくなったともいえます。会社側の適切な管理とあわせて労働時間を把握することが大切です。
まとめ
子供の送り迎えや通院など、少し時間を割ければ出勤できるような予定の場合、フレックスタイム制は非常に活用しやすい制度といえるでしょう。
またコロナ過では、混雑時間帯に出退勤が重ならないようにするためにも有効です。
しかし各個人がバラバラな出退勤時間になることにより、 コミュニケーションの取りづらさや、会議などの設定が難しいなどデメリットもありますし、業種や職種によっては導入が難しい場合もあるでしょう。
フレックスタイム制の導入にはまだまだ手探りな部分もあるようですが、働き方改革が叫ばれている現代においては、有用な制度といえるのかもしれません。