2021/05/20会社員でも確定申告が必要?特定支出控除の利用について

会社員には、あまり関係ないと思われがちな確定申告ですが、特定支出控除を受ける資格があるのならぜひおすすめします。

特定支出控除の制度そのものは、古くからありますが、規定の厳しさや手続きの複雑性の問題であまり活用されていませんでした。

しかし、昨今は制度の見直しがおこなわれ、より多くの会社員が控除を認められる可能性が高くなっています。

特定支出控除とは

特定支出控除は、「企業が経費と認め、かつ負担しなかった分の金額(会社員が自腹を切った分)を確定申告で控除できる」という制度です。

「一定額までは経費申請できる」とする企業にお勤めの人なら、控除できる持ち出し分が発生している可能性があります。

対象になるのは、交通費・(転勤に伴う)転居費用・業務に必要な資格の取得費用や受験費、ほかにも業務で必要だと認められる書籍や被服費など、幅広い分野が控除対象とされています。

問題は、あまり積極的な利用が見られないことです。

制度発足当時の昭和62年以降、年間数件の申請しか見られませんでした。

しかし、平成24年度に見直しがおこなわれた結果、1500件を超える申請が見られるようになっています。

それでも、申請数が少ないことは確かでしょう。

なかなか制度の活用がおこなわれない理由としては、申請条件が厳しいということや、申請書類の準備に手間がかかるということが考えられます。

申請条件は、簡単に言えば「給与所得控除の2分の1を超えた分だけ申請できる」というものです。

この金額に達するほど自腹を切っている人は少なく、申請できないまま終わってしまうのです。

申請基準になる、金額のラインが高すぎることがネックだといえるでしょう。

経費の証明書を、準備するのも大変です。

会社側が経費ごとに「この内容でこの金額を申請してよい」と認めなければ特定支出に関する証明書が発行されず、ただでさえ、手間がかかる上に社内の立場によっては、言い出しにくい人もいるでしょう。

会社員にとって、嬉しい控除制度ではありますが、活用へのハードルが高いのは残念です。

しかし、たとえば業務に必要な資格取得のための学費や書籍代が数十万円を超えるようなことがあれば、そのラインを超えている可能性は高くなります。

単身赴任者が家族のもとへ、一時帰宅する際の交通費も、会社負担を超える部分は申請が可能です。

また、営業職なら会社で決められた経費を超えた接待をせざるを得ないこともあるかもしれません。

会社側が、その分を経費だと認めるのであれば、やはりこの特定支出控除制度が役に立つでしょう。

確かにハードルの高さを感じるものではありますが、できるだけ上手に活用したい制度です。

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