みなし労働制度の一種である裁量労働制。
昨今では、裁量労働制を取り入れる企業も増えています。
労働者が労働時間を自己管理しやすい性質を持っていますが、メリットやデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
裁量労働制とは
裁量労働制は、「実際の労働時間ではなく、企業と労働者が取り決めた労働時間を働いたものとみなす制度」です。
たとえば、実際に働いた時間が4時間でも、取り決めた労働時間が8時間なら、その日は8時間働いたことになって給与が支払われます。
出勤時間はとくに決められておらず、自由な時間に仕事の開始・終了ができるため、従来の働き方よりも自由度の高いワークスタイルの確立が可能になります。
裁量労働制のメリット
従業員と企業が納得でき、かつ、生産性の高いワークスタイルが実現できることが大きなメリットと言えるでしょう。
従業員は求められる成果を上げられれば、取り決めたみなし時間よりも早く業務を終了し、プライベートの充実や資格取得に時間を使えるようになります。
自由度が高い働き方は、仕事へのモチベーションアップに繋がります。
同じ業務内容をだらだらと決められた時間続けなければいけない環境より、成果が出れば業務を切り上げられる環境のほうが、生産性が高くなる可能性があります。
企業としても、人件費のコスト管理がしやすく、また生産性が上がることで人件費のコスト削減に繋がります。
裁量労働制のみなし時間では残業という概念がなくなるため、人件費をある程度固定することが可能になるのです。
ただ、休日出勤や深夜労働が発生した場合には法に基づいた金額を支払う義務があります。
裁量労働制のデメリット
従業員にとっての最大のデメリットは「残業代が出ない」ということになるでしょう。
業務の進行具合によっては、どうしてもみなし時間を超える労働時間が必要になることがあっても、裁量労働制の場合、その残業代は支払われません。
ほかにも、「自由度が高すぎるためほかの従業員と顔を合わせないことが多くなる」「コミュニケーションを取りにくい」という点をデメリットだと考える人もいます。
企業にとっては、「労働管理が難しい」というデメリットがあります。
従来のワークスタイルであれば、比較的把握しやすかった部下の様子やミーティングのタイミングが取りにくくなったり、みなし時間以上の労働が常態化していないかどうかのチェックが難しくなる部分があるでしょう。
このような点は、企業側の努力が必要になります。
デメリットをカバーできるよう、労務管理に優れた人材の育成や、コミュニケーションを取りやすい社風の構築を意識してみてはいかがでしょうか。