目覚ましいテクノロジーの躍進により、さまざまな仕事がロボットや人工知能(AI)に代替されつつある中、「ナレッジワーカー」と呼ばれる労働者の需要が高まっています。
今回は、企業で求められる人物像の一つでもあるナレッジワーカーを解説します。
ナレッジワーカー(Knowledge Worker)とは
ナレッジワーカーという言葉は、知識という意味の「knowledge」と「worker(労働者)」が組み合わさった造語です。
知識によって企業や社会に付加価値を提供する労働者に対して用いられる言葉で、単純作業に従事する労働者(マニュアルワーカー)とは対極的な立場にあります。
提唱したのは、オーストリアの経営学者「ピーター・ドラッカー」。
マネジメントの父として知られるドラッカーは、知識社会の到来を早くから予見しており、1960年代に出版した著書の中で、ナレッジワーカーとは知識経済を根本から支える高度な専門知識を持つ労働者と定義しています。
ナレッジワーカーに必要とされるスキル
ナレッジワーカーと呼ばれる典型的な職種には、以下が挙げられます。
- コンサルタント
- 金融アナリスト
- 専門医
- ITエンジニア
- マーケター
- 弁護士
- 税理士
どれも専門性の高い仕事ですが、実際はさまざまな職種に存在しており、定型(マニュアル)作業の枠を超えて、自らの知識で付加価値を生み出せる人物はナレッジワーカーに当てはまるといえるでしょう。
もちろん、知識だけがあればよいというわけではありません。
ナレッジワーカーが知識を活かして付加価値を生むためには、情報収集力、分析力、発想力、洞察力、コミュニケーション力などのスキルが不可欠であり、これらのスキルは職種や業種に関わらず共通に求められます。
現代社会でナレッジワーカーが注目される背景
高度経済成長期の日本では、定められたマニュアル通りに業務を遂行するマニュアルワーカーによって国の生産性が大幅に向上しました。
しかし、近年の目覚ましいテクノロジーの躍進により、従来マニュアルワーカーが行っていた仕事は、ロボットや人工知能(AI)に取って代わられつつあります。
一方で、ロボットやAIには置き換えられない知的分野やクリエイティブな作業において、知識や経験で付加価値が提供できる労働者の存在も見直されています。
ビジネス市場で勝ち残っていくためには「付加価値」は必須。
競合優位性を見出すナレッジワーカーは、組織の成長と競争力を支える重要な存在であり、社内での育成に力を入れる企業も増えています。
ナレッジワーカーの能力を最大限に生かすためには、知識やスキルを共有しやすい環境であることも重要です。
企業風土や体制を見直し、ナレッジワーカーが活躍できる環境を整えることで、組織全体のパフォーマンスの向上も期待できるでしょう。