コンサルダイアリー第7号 「争族」を回避!『遺言書』のススメ。

サンブログをご覧の皆様、いつもありがとうございます。
コンサルティング室の税理士後藤と申します。

今月は、サスペンスドラマではおなじみの『遺言書』。
法律用語としては「いごんしょ」と読みます。
よく耳にはするのに、作り方など実は知らないことだらけ。
今回はそんな『遺言書』についてご紹介します。

【遺言の必要性】
遺言というと、オーナーの皆様の様に資産がたくさんあれば、深く関係するのはもちろんですが、一般的な家庭であっても、思わぬ紛争を避けるためにとても有効な手段です。
自らの思いをご家族などに伝える最後の機会でもありますので、財産の多少にかかわらず積極的に活用すべきです。

●特にこんな場合にお勧め
・家庭環境が複雑な場合
・家族や親族間が疎遠であったり、少々不仲であったりする場合
・本来相続人ではない方(内縁の妻など)に財産を残したい場合
・法定相続分と異なる割合で相続させたい場合
・特定の財産を特定の方に相続させたい場合
つまり、賃貸物件を長男、株券を次男に、といった場合にとても有効です。

【遺言書の種類】
遺言書と一口に言っても、主に「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」3つに分かれます。
少し見てみましょう。

●自筆証書遺言
その名のとおり、日付、名前、文書の全てを自筆で書き、印鑑を押した遺言書のことです。
ドラマでよく目にするのはこれでしょうか。
『自筆』が要件ですのでワープロ打ちでは無効です。

○メリット
・費用がかからず、手軽にできる

○デメリット
・法律上の要件を満たさない危険性があり、無効となる恐れがある
・紛失や改ざん、隠匿、破棄される可能性がある
・遺言者の死後、家庭裁判所での検認手続が必要である

●公正証書遺言
公証人の面前で、証人2名の立会いのもと遺言の内容を口授し、それに基づいて公証人が遺言者の真意を文章にまとめ、公正証書として作成するものです。

◯メリット
・公証人が作成するため、形式違反等で無効になることがない
・検認手続が不要なので、早期に遺言書の内容の実現が可能
・原本が公証役場に保管されているので、紛失・偽造の恐れを回避できる

◯デメリット
・費用がかかる
例えば、1億円ずつ2人の方に相続させる遺言書では86,000円がかかります。
・証人2名が必要(遺言する人の身内以外に限る)
適当な方がいない場合は、公証役場で手配してもらうこともできます(有料)。

●秘密証書遺言
遺言内容を記載した書面(自筆でも代筆でもワープロ打ちでも構いません)に署名押印(名前だけは自筆)をした上で、これを封じて、遺言書に押印した印章と同じ印章で封印します。
それを公証人と証人2人の前に封書を提出し、証人とともに署名押印し作成するものです。

○メリット
・どのような方法で作成してもよい
・遺言の存在を明らかにしつつ、遺言内容を秘密にできる
・改ざんの恐れが低い

○デメリット
・費用がかかる
ただし内容にかかわらず11,000円の定額で、公正証書遺言より割安です。
・公証人が内容を確認できないので、内容に法律的な不備があると無効となってしまう
・遺言者の死後、家庭裁判所での検認手続が必要

【作成する際の注意事項】
●遺留分に注意
兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分という最低限相続できる権利が認められております。
これを侵害する内容の遺言は、後のトラブルとなる可能性があります。

●遺留分の割合
・直系尊属(父母・祖父母)のみが相続人の場合は法定相続分の 1/3
・上記以外の場合は法定相続分の 1/2

●書き直したい場合
公正証書遺言があっても、日付の新しい自筆証書遺言が出てきた場合、公正証書遺言は無効となります。形式上どちらも問題なければ、その優劣は日付だけで判断されます。
混乱を避けるために、書き直しが必要な場合はできる限り同じ種類で作り直しましょう。

遺言書を遺すと言うことは、相続人同士の「争族」を回避することが出来ますので、早い段階でご準備されることをお勧めします。
また、不明な点ございましたら、お気軽にご相談くださいませ。

コンサルティング室 ごとう