今月の・・・と言うには少し古いネタかもしれませんが、
” before Lehman “の文字が躍る米国株式市場の復調、
“NYダウが3年9か月ぶりの高値水準に回復”した今だからこそ、
もう一度読み返しておきたい名著『21世紀の歴史』をお勧めします。
この本は、2006年10月に出版されましたが、
翌年のサブプライムローン破綻とその後に続く世界金融危機、
そしてそれが1929年以来の世界同時不況を引き起こすことになるということを
“予見していた本”として話題を呼び、世界的な大ベストセラーとなりました。
日本でも2008年8月に出版され大きな話題となった本ですので
「もうとっくに読んだよ~」という方も多々いらっしゃるかと思います。
しかし、敢えて今、欧州が債務危機に喘ぐ一方で、
市場経済の権化である米国に復調の兆しが見えつつある今、
著者をして”アメリカ帝国の終焉”に向かっているとする近未来の歴史を
しっかりと検証する目を開く意味で、もう一度読み返しておきたい本です。この本では、人類の誕生、”市場”の発明、
そして”世界の中心都市”の移り変わりを歴史上の事実として考察した上で、
21世紀の歴史、即ちこれから人類が刻む未来の社会事象・経済事象について
著者の予想が著されています。
単なる未来予想ではなく過去の歴史に対する深い洞察の上でこそ成り立つ論理であり、
重い示唆があるものと感じます。
最後に、この著書からは離れますが、仏教の教えに(心地観経)、
「過去の因を知らんと欲せば、其の現在の果を見よ。
未来の果を知らんと欲せば、其の現在の因を見よ」という言葉があります。
未来の変化はある日突然やってくるのではなく、脈々と流れる歴史の先にあるものです。
現代を生きる私たちに大切なのは、
未来の歴史の視点から現在を眺めてみることで見えてくる今の社会のあるべき姿、
今成すべきことについてよく考えてみることではないでしょうか。
この本にはそんな示唆があります。
(せいちゃん)