2018年3月のさと、うま 織田信長のマネー革命 経済戦争としての戦国時代@武田知弘

前回の上念氏の書籍では、守護・地頭から台頭したのちの勢力、
そして同じく権力を握っていた寺社、
それら既得権益の関係を学び、対する信長公の考え方や行動を把握できました。
もう一歩踏み出して学びたく次は武田氏の書籍をピックアップ。41ClKWSLmLL__SY346_

まず目次に注目です。
序 章 信長はいかにして軍資金を調達していたか?
第1章 日本の経済システムは信長が作った?!
第2章 長篠の戦いは”経済戦争”だった
第3章 延暦寺の焼き討ちは”大財閥”の解体だった
第4章 安土城”テクノポリス”構想
第5章 信長の”理想国家”の行方

第1章は不動産業者としても勉強になる一面が多くあり、
例えば「関所の撤廃」・・・信長の行った重要な経済政策の一つに、
「関所の撤廃」もある。
信長は新しく領地を占領するごとに、
その地域にある関所を撤廃してきた・・・戦国時代、牛馬や積み荷に課される税金があり、
これが課せられると交易は減り、運送のスピードも遅くなる。
たとえば、寛正三(1462)年、淀川河口から京都までの間には380カ所の関所があった・・・
琵琶湖から大阪湾まで約70キロほどでしょうか。
そこに380もの関所があり、そのたびに料金取られていれば、
経済は一部でしか動かないはすです。

次に「道路網整備計画」・・・信長は、関所を廃止するだけではなく、
大掛かりな道路整備も行った。これにより、人や物が諸国を自由に行き来できるようになり、
流通は格段に拡大したと思われる。
『信長公記』によると、信長は天正2(1574)年、道路整備のために次のような命令を出している。
入江や川には、船橋(船を並べてつないで橋としたもの)を造り、
石を取り除いて悪路をならすように。
道幅は三間半(約6.4メートル)とし、街路樹として左右に松と柳を植えるように。
周辺の人々は、道路の清掃と街路樹の手入れをするように・・・
本街道の両端には三尺(約0.9メートル)の土手を築き、
土手と道の間には側溝が掘られ、排水溝とされた・・・
もう都市計画はじめています。
この当時、目指している地点が違いすぎることを実感します。

そして「楽市楽座」
楽市楽座は信長公以前より存在したものとのことだが、
氏はこのように説明してくださっているので抜粋させていただく。
・・・信長の楽市楽座政策は、日本の商業に〝価格破壊〟をもたらしたからである。
座というのは、同業者が集まって領主などの後ろ盾を得て「独占販売権」をもらい、
新規参入を阻むという性質のものである。
座では、もちろん「カルテル」の状態になり、物品の価格は高く設定される。
しかし、ある地域で楽市楽座が実施されれば、そのカルテルは崩れることになる。
高い価格を設定していても、よそで安く売られているのであれば、消費者はそちらに流れる。
ディスカウントショップが一つできれば、
周囲の既存店が大きな打撃を受けるのと同じなのである。
安土で楽市楽座を行えば、畿内にある「座」は、大きな打撃を受けてしまう。
安土に売上を奪われないためには、価格競争をせざるを得なくなる。
またこれまで見てきたように信長は、関所の撤廃や、街道の整備により、
商品の流れを飛躍的に高めた。
その結果、座はいつまでも独占販売権を維持することができなくなり、
いきおい衰退していかざるを得ない・・・
まさにまちづくりですね。
今の敦賀(朝倉氏の越前国)から琵琶湖(比叡山延暦寺焼き討ち)を経由して京都(足利義昭を擁立)
そして淀川を利用しての大阪(石山本願寺)に至る水路沿いが栄えていたそうですが、
安土城はその琵琶湖の東岸(近江八幡市)に位置していたそうです。
明確な意味と意図をもちいくさを行い、そこに至る関税を無くし、
楽市楽座をひらき、大きな道路を作っていけば、当然人が集まる。
経済の発展が国に潤いを与え、同時に兵を雇い、武器を購入し、平和な太平の世へと導く。

歴史の真実は徐々に導かれていきますが、
戦国時代とは決して領地を奪うだけの戦いだけではなく、
それまでの果て無い世を正すことに信念を置いた戦いをしていたのではないでしょうか。
どうしても当時を表わす絵画や書物、城の豪華さだけを眺めていると贅を極めていた感覚になりますが、
それも経済発展という一面があると考えれば、多少なりとも考え方が変わりました。

学ぶだけではなく深めることで(それが本当の真実かは別として)
違った方向から物事を捉えることができます。
仕事も一緒、うまくいっている時にこそ、
より深く掘り下げていけば、難事にも強い力になるのではないでしょうか。

2018年2月のさと、うま 経済で読み解く織田信長@上念司 | サンブログ
https://search.sunfrt.co.jp/blog/staff/yby/p10664/

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■参考サイト
【武田知弘氏インタビュー】戦国時代は経済戦争の時代でもあった
織田信長の野望と手腕を読み解く 『織田信長のマネー革命』著者 武田知弘氏インタビュー|ビジネス+IT
https://www.sbbit.jp/article/cont1/23662

タイトル:織田信長のマネー革命 経済戦争としての戦国時代
著  者:武田知弘
発  行:2011年7月16日
発行所 :SBクリエィティブ株式会社

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