2017年3月のあらぽー 人口と日本経済@吉川洋

人口と日本経済 (397x640)

日本は人口が減少傾向にあり、その結果市場が縮小し
将来的には衰退の道を歩んで行くのでは。。。

と悲観的な風潮に、
楽観的な私も私なり日本の将来を考えていたところ本の帯が目につきました。

「人口と日本経済~長寿、イノベーション、経済成長」
日本の衰退は必然?経済学はNOです!

実は人口と経済成長には統計上、あまり関係がなく、
本書では、その事実を歴史的背景や多くのデータと経済学から解き明かし、
先進国における経済成長の源泉が「労働生産性」の向上であることを示しています。

身近な例をあげると、駅の自動改札は、
ひと昔前は駅員さんが切符を切って改札業務をやっていましたが、
自動改札機が発明され、導入により労働生産性は飛躍的に上昇しました。
若い方は、駅員さんが切符を切っていたことを知らない方もいらっしゃるでしょう(笑)

この労働生産性向上に寄与するのが「イノベーション」であり、
その結果、先進国経済は人口増加率を上回って成長してきました。

先進国の「成熟経済」には、常に需要の飽和という成長率低下の圧力がかかっていますが、
新しいモノやサービスの誕生によって、大きな需要を生み出してきたと言われています。

また、「イノベーション」はハードな技術進歩を思い浮かべがちですが、
ノウハウや経営力などソフトな技術も重要な要素であると筆者は述べております。

ご一読いただけると、過度な悲観論に陥る必要はなく、
超高齢化社会を迎える日本においても、持続的な経済成長が可能であることがわかります。
また本書では、AIや ITと労働力、日本経済の財政赤字、社会保障といった課題にまで言及し、
経済成長と人間の幸福といった論点まで考えさせる内容となっております。

著者は日本を代表するマクロ経済学者の一人で、
ニューヨーク州立大学助教授、東京大学大学院教授などを経て、
現在は立正大学教授を務める吉川洋氏。

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タイトル:人口と日本経済
著  者:吉川 洋
発  行:2016年8月25日
発行所 :中央公論新社

RPあらぽー