2021年3月のさと、うま 「原因と結果」の経済学 データから真実を見抜く思考法

一部自治体の自主的な緊急事態宣言はあるものの、政府主導の緊急事態宣言は3月21日に解除。
みながマスク姿で例年より半月ほど早い桜の見上げる光景も2度目となった。

今期もコロナ禍とはいえ、いや、コロナ禍だからこそか、進化を感じることが多い期だった。
とあるホームページを読んでいたら、歴史の大きな変化期には必ず自然災害や天変地異がかかわっているとあり、そこで変化できない者たちは失われていったとある。

@masason
進化しない者は既に退化している。何故なら周りが全て進化しているから。
2021年2月16日 Twitter for iPhone

孫正義氏のTwitterをふと思い出し見返す。

振り返ればいくつもの方向転換がなされている。
働き方改革、脱炭素社会、SDGs…
1997年、地球温暖化に対する国際的な「約束」が初めて行われたCOP3、京都議定書締結時から約24年。
おざなりになっていた気候変動、特に温暖化対策への配慮が共通認識となり、目標となり、ビジネスにも大きな影響を与える時代になっている。
産業革命以前と比較して気温上昇率を2℃より充分低く抑え、1.5℃に抑える努力を追求することが全世界の目標であるが、世界の気温は産業革命以前よりすでに1.2℃上昇している事実がある中では、孫氏のTwitterのとおり、まさに進化なくして生き残るすべは少ない。

私達の不動産業界においてもコロナ禍による変化は衝撃であった。
衝撃ではあるが、元をたどれば安倍政権時においても働き方改革、テレワークの推進、ワークライフバランスは掲げられ、推進を図られていたのだから、無知無力な自身だっただけ。
当時こんなにもテレワークが当たり前になるなど思ってもいなかったのが現実ではないだろうか。

一方、ブラウザでものを見たり探したりする行為自体も古臭く、手元のスマホからアプリやSNS経由で情報を得ている。
膨大なデータはより身近なものとなり、私たちの生活の一部とかしている。

データか。

ひとくくりに発していた「データ」の本質がとても気になった。

営業活動を記録したものや過去の書類をデータ化した蓄積がビックデータと思い込んでいる勘違い、有象無象のデータであっても、たくさん集めてシステムに入れて、リターンをクリックすればほしい結果が出る、そんなに甘い世界ではないだろう。
今までの資料や経験、歴代の手帳の歴史をPDFにしOCRで読み込ませ、データ化し、システム化することでDX!・・・そんなわけがない。

そこで手にとったのが本書。
もはやカラダの一部になりつつあるデータから真実を見抜く、というのだから読まずにいられない。

分かりやすい冒頭を抜粋させていただく。
本書の冒頭で、読者の皆さんに次のような問いを投げかけてみたいと思う。
・メタボ健診を受けていれば長生きできるのか
・テレビを見せると子どもの学力は低下するのか
・偏差値の高い大学へ行けば収入は上がるのか
「イエス」と答えた人が多いはずだ。
しかし、経済学の有力な研究は、これらすべてを否定しているという。

・・・え、イエスじゃないの?

経済学におけるこの因果推論について、前提条件を抜粋させていただくとこうである。
2つのことがらのうち、片方が原因となって、もう片方が結果として生じた場合、この2つのあいだには「因果関係」があるという。
一方、片方につられてもう片方も変化しているように見えるものの、原因と結果の関係にない場合は「相関関係」があるという。
相関関係の場合、何らかの関係が成り立っているものの、因果関係はない。
ここでいう「ことがら」のように、さまざまな値をとるデータのことを、「変数」と呼ぶ。
変数は年齢や身長のように数値のこともあれば、性別のように男性・女性いずれかの値をとる文字のこともある。
本書では変数を(1)原因、(2)結果、の2つに分けて考えていくことにしよう。
2つの変数の関係は本当に因果関係なのか。
これを明らかにするために必要な考え方が「因果推論」である。

1902年に発刊されたジェームズ・アレンの名著「原因と結果の法則」は思考の世界であるのに対し、本著はビックデータを操る今日の原因と結果の姿とでもいうべきか。
勘や経験をデータで裏付けるようなイメージとしたら捉えやすい。
ビックデータの時代は因果推論を含めた理論を駆使していくことによって、予測不可能だったことも予測が可能になるのだ。

私のような勘や経験で生きてきた人間が、データドブリン100%実装社会において勝ち目なんてないのか…そう悟った瞬間だったが、学びを深めて進歩できたと思い直すことにしよう。
3年ほど前に発売された本だが、意識が変わる一冊。

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■参考サイト
中室牧子研究室 : 慶應義塾大学総合政策学部 中室牧子研究室 教育経済学 エビデンスベーストの教育政策
https://edueco.sfc.keio.ac.jp/profile.html

津川 友介 | 著者ページ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
https://toyokeizai.net/list/author/%E6%B4%A5%E5%B7%9D+%E5%8F%8B%E4%BB%8B

タイトル:「原因と結果」の経済学 データから真実を見抜く思考法
著  者:中室牧子、津川友介
発  行:2017年2月17日
発行所 :ダイヤモンド社