昨年購入したまま積んであった本からのチョイスです。
まず冒頭に、創業者であり最高経営責任者のラリー・ペイジ氏の短い序文があります。
「適材な人材と壮大な夢がそろえば、たいていの夢は現実になる。
たとえ失敗しても、きっと重要な学びがあるはずだ。」
従来「モノを考えることを生業とする人々」のことを、
1959年よりピーター・ドラッカー氏が使われた「知的労働者」として定着していますが、
本書は新種の人材と呼ばれる「スマート・クリエイティブ」な人財について
多くが語られています。
まずはその「スマート・クリエイティブ」の基本的要件ついて、本書よりピックアップ。
・特定の任務にしばられていない
・職務や組織構造に束縛されることなく、むしろ自分のアイデアを実行に移す
・納得できないことがあれば、黙ってはいない
・専門性とビジネススキルと創造力を併せ持つ
・専門スキルだけでなく、それを事業の成功と結びつけて考える
・競争心が旺盛で猛烈な努力も欠かせない
・プロダクトを誰よりもお客様目線で見ることができる
・自らもパワーユーザーで、興味の対象にとりつかれたようにのめり込む(自分自身が実験台)
・他人とはまったく違う視点があり、必要に応じて視点を使い分けることができる
・好奇心旺盛で常に疑問を抱いている
・決して現状に満足せず、常に問題を見つけて解決しようとする(傲慢に見えることもある)
・リスク、失敗を恐れない。本気の失敗からは大切な事を学べると信じているからこそ
・自発的だ。指示待ちではなく、納得出来ない指示は無視することもある
・あらゆる可能性にオープン。自由に仲間や他社と協力する
これで全てではありませんが、グーグルで働く多くの社員に求められ、
これからの継続的なビジネスに必要な人材の要素であると書かれています。
従来の知的労働者は限られたスキルに成熟することで、
制約の多い企業組織で成功する人材であり、変化しないことが重要でした。
しかし、グーグルでは高いスキルはもちろん、
お客様目線でプロダクトを考え、経営参加し、変化することが当然です。
本書にもありますが、現在の労働環境は20世紀の労働環境とはあきらかに異なります。
情報は貴重なもの。
その情報を抱え込み、熟練した技術さえあれば、
そのプロダクトも地位も企業も安泰だったのです。
しかし今や技術はオープン化が主流です。
トヨタ自動車も今年1月に燃料電池車関連の特許を2020年まで公開に至り、世間を驚かせました。
世界トップ企業であるトヨタ自動車は技術の限界がきたのでしょうか。
そうではないと思います。
技術をオープン化してでも、よりよい商品を開発したいと考えたのだと思います。
かつては希少だったあらゆるデータの入手が可能になったことにより、
実験やチャレンジのコストも安価になりました。
イコールそれは失敗のコストも減っているということです。
制約の多かったモノが、部署を越え、業界を越え、
海外を越えての協業も簡単にできる時代になったのです。
考え方として参考になる項もいくつもありましたが
「発想は大きく」することの大切さも納得です。
『燃費を10%改善しようと思えば現在の設計を多少いじくるだけで済むが、
リッターあたり200キロ走る車をつくろうと思ったら
ゼロから考え直さなければならない、と言う。
まさにこの「どうやってゼロから作り直そうか?」という思考プロセスが、
これまで誰もが検討しなかったようなアイデアを生み出すのだ。』
『発想を大きくすることにはもう一つ、あまり知られていないメリットがある。
大きな賭けをするほど、成功のチャンスは大きくなるのだ。
会社として失敗が許されなくなるためである。
反対に、どれも命取りにはならないような小さな賭けをたくさんすると、
凡庸なモノしか生まれない。』
『iPhoneがこれだけの人気を集めているのは、それがアップルの製造する
唯一のスマートフォンだからだ。次世代機の開発で問題が生じたら、
その対策が終わるまで担当チームは誰ひとりとして家に帰らない。
アップルのプロダクト群がごくわずかに絞られているのは、決して偶然ではない。
そのひとつとして、失敗は許されない。』
エリック・シュミット氏も
「こんにち、あらゆる企業はプロダクトの開発プロセスのスピードと、
プロダクトの質を高めることを再優先すべきだ。産業革命以来の業務プロセスは、
リスクを抑え、失敗を避けることに重きを置きすぎた。」と本書で話しています。
読んで納得することはもちろん、新しい考え方のヒントになる項目が沢山あります。
失敗など恐れずチャレンジしたくなります。
絶対おすすめです!
また、この書籍は2015年ビジネス書大賞で準大賞の作品です。
ちなみに大賞はピーター・ティール氏のゼロ・トゥ・ワン。
ビジネス書大賞は関係者の他にブロガーや一般の方々の投票によって選ばれた賞とのことですので、
書店員の投票によって選ばれる本屋大賞のように、本を選ぶときの参考になるかと思います。
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タイトル:How Google Works(ハウ・グーグル・ワークス)
著 者:エリック・シュミット他
発 行:2014年10月8日
発行所 :日本経済新聞出版社
■関連・参考サイト
ビジネス書大賞
http://biztai.jp/
RP さと、うま