『ライフエクスペリエンス』 第3話
ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ♩
目覚まし音が鳴り響く。7月20日。時刻は、AM7時。
「ん〜、よく寝た！今日はなんか清々しいな！
天気がいいからかな？それとも昨日「サムスン式 仕事の流儀（※1）」を読んで、
気持ちがすっきりしたからかな？」
仲田京左衛門が朝から元気良く独り言を言っている。
外を見ると太陽がカンカンに照っている。確かに清々しい。
梅雨のはずなのにここ最近ずっと晴れている。
テレビを点けると、あさチャンの宇垣アナが東京都知事選のニュースを読み上げている。
どうやら、仲田京左衛門は、宇垣アナが好きらしい。
前回の光男の時もそうだった。
なぜか、その日、印象に残った人物の人生を1日だけ体験できている。
しかも、その日の夜と次の日まで。
というか、本当の人生ではなく、僕の夢の中での出来事なのだが…
京左衛門は、スーツに着替え、家を後にした。どうやら出勤するようだ。
どんな企業に勤めているのだろう…
うそっ！！？まさか区役所勤務！！？
あのヤクザみたいな人相で？
昨夜から、京左衛門のギャップの多さに頭が混乱してきた。
今日の京左衛門は、機嫌がいいのか役所にきた区民の方への愛想も良く、空き時間に
過去ー現在ー未来を書いた稟議書（サムスン式 仕事の流儀に書かれていた内容）を書くなど、
非常にスムーズに仕事をしているようだった。昨日読んだ本が早速役に立ったのだろう。
彼は今、心底、仕事を楽しんでいるように見える。
人というのは、こんなにもすぐに変われるものなのだろうか。
いや。本気で人生を生きている人であれば、当然に、いつでも変われるのかもしれない。
僕も京左衛門みたいに変われるのだろうか。
僕は何の為に生きていて、いったい何がしたいのだろうか。いまの人生のままで終わりたくない。
けど、何をすればいいのかわからないな・・・
＊＊ 〜人を動かす人の「質問力」〜 ＊＊
ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ♩
目覚まし音が鳴り響く。7月20日。時刻は、AM7時。
デジャビュ？
ではなく、今度は夢ではなく自分の家だ。
外を見ると太陽がカンカンに照っている。
テレビを点けると、あさチャンの宇垣アナが東京都知事選のニュースを読み上げている。
「う・・そだろ？」思わず声が漏れる。
昨日見た京左衛門の夢と全く同じニュース。
これが本当だとしたら、僕は寝ている間に少し過去に戻り、
そして、1日先の未来を体験したことになる。しかも、他人の生活を。
朝からこれだけ混乱しながらも仕事にはいかないといけないのがサラリーマンの性というものだ。
12：30。
身長は170㎝程度、手が他人より長め、
開いているかどうかもわからないくらい細目の見慣れた顔の奴が入店してきた。
松本尚樹だ！
こいつとは、中学校同じ部活に入っており、自然と仲が良くなった。
社会人になってもちょこちょこ遊んだりしている。
昔は、ボケの金ちゃんにツッコミのまっちゃんと呼ばれる程、
ボケとツッコミがかみ合っていたから、仲良くなるのは当然のことだった。
「お客様〜、起きてくださーい！！本屋で寝ながら歩かないでくださーい！」（二宮金太郎（※2））
「あぁ、すみません。最近疲れてて・・・って起きてるわ！だれがねとんねん！！
目が細いだけや！ただただ目が細いだけやっ！！」（松本尚樹）
これが毎回の出会い頭の挨拶である。ちなみに松本は、関西人でもなんでもない。
「ところで、今日は何しにきたんだ？」
「最近、悩んでてさ。金ちゃんなら、俺の悩みを解決してくれるアドバイスくれるんじゃないかと思って。」
「お前が悩んでるなんて珍しいな。彼女にでもフラれたか？」
「もともと彼女なんていねーわ！・・・仕事でテナントに増額交渉してるんだけど、
中々受け入れてもらえなくて。まー、テナントにとっちゃメリットがないから
当然といえば当然なんだけどなぁ…」
「そっかぁ・・・やべっ！レジが並んでる！ちょっと俺行かなきゃ。
役に立つかわかんないけど、『人を動かす人の「質問力」』って本、
なかなか面白いから、読んでみなよ！？読みやすいし、何かのヒントになるかもよ？はい、これ！！」
「ありがとう！とりあえず、早速読んでみるよ。持つべきものは友だな！」
「まいどっ！！」
そのまま、松本は、『人を動かす人の「質問力」』を買って店を出て行った。
こいつは頑固なとこも多いが、意外に素直な部分もある。
これってあれですねぇ！彼ののびしろですねぇ〜。
20時に店の閉店作業を終え、自宅に帰るや否や、携帯が鳴った。
（LINE）おかえり！いまはなせる？？
こはぎからだ。おかえりとはな。このLINEだけ見たらただのストーカーだな（笑）。
こはぎは、昔からの幼馴染で、家も近い。
近いというか、2階の僕の部屋のベランダに出たらすぐ向かいがこはぎの部屋だ。
昔からよくベランダに出て話をしていたが、最近は仕事の疲れもあり、今日は久しぶりに話す。
ベランダに出ると既にこはぎがいた。
「ほい！」
ビールを渡される。なかなか僕のことをわかっているやつだ。
「んで、どーした？」
「どーもないけど、最近あんまり話してないから、元気かなー？って思って。」
「元気だよ。たぶん。」
「相変わらずやる 気ないね！（笑）なんかあった？？」
「んー、特にないけど。。あっ！！そういえば、笑わないで聞けよ！？最近、変な夢を見るんだ。
本屋に来た人のその日とその次の日を経験する夢。夢の内容的には面白いからいいんだけど、
不思議でさ。」
「なにそれ？意味わかんないこというね？・・・そんなことよりさ、
今度、買い物に付き合ってくれない？友達にプレゼント買いたいんだ。」
「そんなことよりって。さすがいつもながら適当な回答だな。いいよ！次の休みにでもいくか！？」
「ありがと！ビールあげた甲斐があった！」
「どーも。そしたら、今日は疲れてるから寝るわ。また連絡する！じゃな！」
「はーい！おやすみ！」
疲れてソファーに横になる。あまりお酒が強くないからか、疲れからなのか、
はたまた両方か、すぐに眠りについてしまった。
＜金ちゃんに勧められた本、めっちゃ為になるかも・・・＞
松本だ！午前0時を回る頃、僕が勧めた本を松本尚樹がちょうど読み終えていた。
今日は松本尚樹の1日を経験する夢のようだ。
勧めた本を評価してもらえると思いのほか嬉しいな。
『人を動かす人の「質問力」』
この本は、アメリカの最も信頼されている「リーダーシップ論」を権威として
多くのビジネスマンを指導している、ジョン・C・マクスウェルが書いた質問の大切さと、
リーダーとしてのあり方について書かれている本だ。
僕がこの本の中で一番印象に残っていることは、
自分自身に対して行う「成熟したリーダーになる7つの質問」だ。
「成熟したリーダーになる7つの質問」
① 自分自身に投資をしているか
この世で一番大切な投資、それは、自分自身への投資だ。
裕福で幸福になりたければ、自分の仕事に対してよりも、
自分自身に対して厳しい態度で臨むべきだ。
② 人に対する関心は純粋か
もし、あなたがリーダーなら、なぜ自分がリーダーなのかと自問すること。
自分の優位性を自分の利益の為に利用するか、それともほかのチームメンバーの為に
利用するかが重要だ。
③ 地に足がついているか
リーダーには、「謙虚さー自分の立場をわきまえていること」
「信憑性ーありのままの自分でいること」
「使命感ー自分より大きな目標を持つこと」が必要だ。
④ チームの価値を高めているか
「私のチームをさらに優れたチームにするには、どうすればいいか」を毎日自分に問いかけること。
逆境こそ結束力を高めるチャンスと捉えること。全員の長所と短所を把握することが重要である。
⑤ 得意分野を生かしているか
「大概の人間は、自分にはない能力を発揮しようとして人生の幾らかを浪費している」
「贈り物（才能）は、その人の為に道を拓き、また尊い人の前に彼を導く」
⑥ 今日という日を大切にしているか
毎日の人生を人生の最高傑作にしろ！
⑦ 自分の時間を大切な人に投資しているか
リーダーが残すことのできる「最高の遺産」は、自らの手で育て上げた次世代のリーダーだ。
つまり、「適切な人物」を見つけ、常にその人物に投資し続けよということだ。
＜明日の増額交渉に活かせるかもしれない。自分だけのために考えて行動するのではない。
仲間や社会のために正しいことをするんだ。そういう気概でやれば、自然と力が湧いてくる！＞
松本の心の声が聞こえてくる。松本の力になれたようで嬉しくなった。
松本の明日の行動を楽しみにしていよう！
その後、松本はそのまま就寝した。
※1 ライフエクスペリエンス第2話（2016年6月のまえもり：サムスン式仕事の流儀）
でご紹介した本です。
※2 忘れているかもしれませんが、主人公の名前です。
※ 当該ブックレビューは連載ものです。第1話・第2話を読まれたい方は、以下をご一読ください。
2016年5月のまえもり：https://search.sunfrt.co.jp/blog/staff/yby/p6239/
2016年6月のまえもり：https://search.sunfrt.co.jp/blog/staff/yby/p6436/
※ このブックレビューはフィクションが記載されております。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
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タイトル：人を動かす人の「質問力」
著者：ジョン・C・マクスウェル
発行：2016年7月8日
発行所：株式会社三笠書房
RPまえもり
