2017年9月のさと、うま 物欲なき世界@菅付雅信

9月17日日曜日の日経新聞1面に目をひかれる記事。
ファミマ店舗間で店員「シェア」まず都内、人繰り柔軟に
https://www.nikkei.com/article/DGKKASDZ16H3P_W7A910C1MM8000/

自らが所属するのとは別の店舗でも働けるようにする仕組み
とのことだが、まさに自身も同じように貴重な人財の活用を
社内の仲間と協議していたところだったので、
やはりそうくるよなと感じた次第です。

東京都の平成29年7月度の有効求人倍率は2.10%。
宿泊、清掃、接客などのサービス業にいたっては5.6倍。
接客は8.17倍だから、ひとりの採用に対して8社のオファーがあるということ。
東京都の最低賃金も10月1日から26円引き上げ、時給換算で957円となる。

モノはつながれていき、どんどん進化を続けているが、
コトを消費するにはまだまだヒトが必要です。
とはいえ東京集中、少子高齢化、若年層減少というスパイラルに
はまりつつある我が国は、簡単に解決する問題でもありません。
統計の参考はこちらから 〜東京労働局プレリリース〜
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0145/8799/201782995415.pdf

前置きはさておき。
連休の部屋掃除をしているときに、朝の日経の記事の印象からか、
一度読んだ本書の帯に視点が止まった。

〜「物を買わない」は単なる流行ではない。それは新しい時代精神の出現だと思う。〜

これはジャーナリスト佐々木俊尚氏の一文である。

はっとさせられた。
そうだ、シェアも求人倍率増も流行じゃないんだよね。
これからのスタンダードだと。

「生き方が最後の商品となった」という章からはじまる。
ヒトは商品が単純に欲しいのではなく、
商品にまつわる物語や生活提案を求めている、
いわゆるライフスタイルを探しているという。

思い出してみると、ショッピング施設や物販店舗の中にも
カフェの併設がとても多くなったことに気がつく。
それはカフェで儲けようと思っているのではなく、
ライフスタイル提案の一部であり、商品に紐付けるための動機づくり。
服ではなく生活、商品ではなくコミュニティを売る
という方向性でなければ勝ち目は薄い。
私たち不動産業界においても、分譲マンションの販売に
有名ブランドや生活雑貨企業とのコラボレーションをよく見かける。
いつかは揃えたいブランド家具がセレクトされた広告や、
リモデルマンションは人気が集まる。
きれいなモノや珍しいものを並べているだけで売れる時代はもはや過去、
ライフスタイルを吟味した提案の重要性を感じる。

たまにドキュメンタリーを見ると、部族は慣習や風土を大切にし、
一匹の象やクジラを狩りで捕り、民族全員でシェアしていた。
ユーラシア大陸ではいまでも住む場所をかえる遊牧民もいる。
戦争を知らない年代が増えてきたと言われるが、
これからはモノを所有していた時代さえも知らない年代が、経済の中心になっていく。
物欲のなき時代、物欲なき世界。

モノからコトへといわれますが、社会インフラがあり繋がりがあるからこそ、
ライフスタイルを探し続ける旅に向かうことができる。
航空会社があるから旅に出られる。
水道やガスが整備されているから、キッチンで美味しいコーヒーを味わえる。

本書との出会いでいろいろと考える機会をもらいました。

本書は発売当時のAmazonマーケティング・セールス部門売り上げ第1位。
オススメの一冊です。

2017年9月のさと、うま 物欲なき世界@菅付雅信

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タイトル:物欲なき世界
著  者:菅付雅信
発  行:2015年11月2日
発行所 :株式会社平凡社
RP さと、うま