Powered by
ホーム お役立ち情報 居抜き・セットアップ・オフィス物件 賃貸オフィスとはどんなもの?オフィスの種類や選び方について解説
居抜き・セットアップ・オフィス物件
2025.11.29

賃貸オフィスとはどんなもの?オフィスの種類や選び方について解説

賃貸オフィスとはどんなもの?オフィスの種類や選び方について解説

企業が事業拠点となるオフィスを構える際、多くのスタートアップやベンチャー企業にとって最初の選択肢となるのが「賃貸オフィス」です。しかし、ひと口に「賃貸オフィス」といっても、契約形態やオフィスの種類は非常に多様化しており、どのタイプが自社に最適か悩むケースも少なくありません。

本記事では、初めて賃貸オフィス契約を検討中の経営者や移転プロジェクト担当者の皆様に向けて、自社オフィスを購入する場合とのメリット・デメリット比較から、具体的な賃貸オフィスの種類、物件選定から入居までのプロセス、そして、事業フェーズに合わせたオフィス選びのポイントまで、賃貸オフィスとはどのようなものなのか、分かりやすくご紹介します。

オフィスを構える2つの方法とそれぞれのメリット・デメリット

まず、企業がオフィスを構えるには、大きく分けて「自社で物件を購入する」方法と「賃貸オフィスを契約する」方法の2つがあります。特にスタートアップやベンチャー企業では、「自社物件を購入する」ことを考えているケースは多くはないかもしれませんが、それぞれに異なる特徴があり、企業の状況や将来設計によって最適な選択は異なります。最初から選択肢を除外するのではなく、しっかりとその特徴を理解したうえで、最終的な判断をすることが大切です。

ここでは、それぞれの方法のメリット・デメリットについて、詳しく見ていきましょう。

自社オフィスを購入する

「自社オフィスを購入する」、つまり自社ビルや社屋を保有する方法です。

メリットとしては、まず、物件を保有することに伴う「資産価値」が挙げられます。購入した不動産は企業の資産となり、ローン完済後は賃料の支払いが不要になります。状況によっては、空きスペースを貸し出すことで賃貸収入を得ることもできるでしょう。

また、自社が保有するビル・オフィスはレイアウトの自由度が非常に高く、自社のブランドイメージや業務フローに合わせて、内装や設備をゼロから自由に設計・構築できる点も大きな魅力です。特に、オフィス移転を企業ブランディングの手段として活用する際には、こうした自由度の高さが大きな強みとなります。

一方デメリットは、購入時の莫大な初期費用に加え、「固定資産税」が毎年発生することです。さらに、建物のメンテナンスや老朽化に伴う修繕もすべて自社の負担と責任で行う必要があり、総じて、長期的な維持管理コストと手間がかかります。

賃貸オフィスを契約する

「賃貸オフィス」の一番のメリットは、購入に比べて初期負担の大幅な軽減が可能な点です。物件購入のような多額の自己資金やローンは不要で、敷金や保証金、前家賃、内装構築費などの初期費用のみでオフィスを構えることができます。

また、スピード感の速いスタートアップやベンチャー企業の事業環境の変化に合わせて、オフィスを移転・拡張しやすい「柔軟性」の高さも魅力です。自社で物件を購入した場合は、その不動産を売却したり貸し出したりする必要があるため身軽な移転は難しくなりますが、賃貸であれば、一般的な引越しプロセスのみで契約期間満了後に比較的スムーズに移転をすることができます。

他にも、建物のメンテナンスや大規模修繕はオーナー(貸主)の負担で行われるため、維持管理の手間やコストがかからないという点も、物件購入と比較した場合の大きなメリットと言えるでしょう。

対するデメリットは、賃料を払い続けても「資産にならない」ことです。また、契約期間が2年ごとなどで決まっているため定期的な更新手続き(場合によっては更新料の支払い)が必要であり、物件によっては退去時の費用として原状回復工事費なども発生します。さらに、契約更新のタイミングで経済状況の変動などを理由に「賃料が変化(通常は値上げ)する可能性」も考慮しなくてはなりません。

初めてのオフィス利用ならまずは賃貸オフィスがおすすめ

オフィスを構える二つの一般的な方法を比較しましたが、特にスタートアップやベンチャー企業が初めてオフィスを契約する場合は、「購入」ではなく、まず「賃貸オフィス」を選択することをおすすめします。

これは、スタートアップやベンチャー企業は事業環境の変化が激しく、変化に伴って人員規模や必要なオフィスの機能が急速に変化する可能性が高いことが一番の理由です。賃貸オフィスであれば、初期費用を抑えて迅速に拠点を確保できるだけでなく、将来的な事業拡大やフェーズの変化に応じて、より適切な規模や設備、立地のオフィスへ柔軟に移転できます。

不動産購入による多額の初期投資や維持管理の負担を避け、限られた経営資源を本業に集中させるという意味でも、よほどの個別事情や潤沢な資金がない限りは、まずは賃貸オフィスからスタートするのが賢明な選択と言えるでしょう。

賃貸オフィスに入居するまでのプロセス

いざ賃貸オフィスの契約を検討し始めたら、気になるのは「どういったプロセスで入居まで進むのか」という点ではないでしょうか。

実際のプロセスは、この後詳しくご紹介する「賃貸オフィスの種類」によっても大きく異なりますが、一例として、通常の賃貸オフィス(内装構築の必要なタイプ)に入居するまでには、以下のようなプロセスを経ることが一般的です。

【賃貸オフィス入居までのプロセス】

①希望条件の整理:所在地や必要面積・設備、予算、入居時期など、まず自社が求めるオフィスの条件を明確化します。

②物件情報の収集・検索:不動産仲介会社に相談したり、専門の物件検索サイトを活用したりして、条件に合う物件を探します。

③内見(内覧)の実施:気になる物件があれば、実際に現地を訪問します。室内の設備だけでなく、共用部や周辺環境も確認します。

④入居申込と審査:入居したい物件が決まったら、入居申込書と必要書類(会社登記簿や決算書など)を提出し、オーナー(貸主)や保証会社による入居審査を受けます。

⑤賃貸借契約の締結:審査通過後、契約条件(賃料、契約期間、敷金など)を確認し、賃貸借契約書を取り交わします。このタイミングで初期費用の支払いも行います。

⑥入居準備(内装工事、什器手配など):契約開始後、必要に応じて内装工事やネットワーク・電源工事を行い、オフィス家具や什器の搬入を手配します。

⑦引越し・業務開始:什器やIT機器を新オフィスへ運び込んで設置し、業務を開始できる環境を整えます。

以上のように、オフィス入居までには複数のステップを経る必要があります。一方で、これはあくまで通常の賃貸オフィス(内装構築の必要なタイプ)への入居を考える場合のプロセスであり、オフィスの種類によっては、これらすべてのプロセスが必須とは限りません。

例えば、内装がすでに整っているタイプのオフィスを選べば、「⑥入居準備/⑦引越し」の工数や期間は大幅に短縮されるなど、実際に入居するまでの流れや期間はオフィスの種類によって大きく異なります。

まずは基本的なプロセスを理解したうえで、移転にかけられる期間や短縮したいプロセスを考慮してオフィスの種類を選ぶことも、有効な判断基準となるでしょう。

関連コラム:

【2025年】最新オフィス移転チェックリスト!オフィス移転でやるべきことの全て

オフィス移転のスケジュールごとにやることとは?失敗しない進め方

賃貸オフィスの7つの種類と特徴

「賃貸オフィス」と一言で言っても、その形態は様々です。特に近年では働き方の多様化に合わせて、さまざまなオフィスの種類が登場しています。ここでは、以下の比較表と合わせて、主要な7つの賃貸オフィスの種類と、それぞれの特徴を解説します。

通常の賃貸オフィス

最も一般的な従来型の賃貸形態で、床・壁・天井、空調・照明など、最低限の内装・設備が施されただけの状態で貸し出されます。

このタイプのオフィスを選ぶメリットは、レイアウトやデザインの自由度が非常に高い点です。借主はゼロから内装デザインや工事業者を(貸主と協議の上で)手配し、自社の業務フローや企業文化、ブランドイメージを反映させたこだわりのオフィス空間を構築できます。

一方デメリットは、内装工事費用が高額になりやすいことです。また、工事期間が必要なため、物件契約から実際の業務開始までに数ヶ月の時間を要します。さらに、契約終了時には原則として入居前の状態に戻す「原状回復」を行う義務があり、そのための工事費用も考慮しなければなりません。

以上のような特徴から、通常の賃貸オフィス(内装構築の必要なタイプ)は、中堅から大企業、または資金に比較的余裕があり、長期的な利用を前提として自社独自のオフィス空間を構築したい安定期・拡大期のスタートアップ・ベンチャー企業に向いています。

関連コラムオフィスの原状回復はどの程度必要?工事費用の相場と注意すべきポイントを徹底解説

居抜きオフィス

「居抜きオフィス」とは、前の入居者(テナント)が構築した内装や設備、什器などがそのまま残された状態で貸し出される物件のことです。

このタイプのオフィスを選ぶ最大のメリットは、前テナントが設置した内装や設備を流用できることで、内装工事費やオフィス家具の調達費といった、初期費用を大幅に削減できる点にあります。工事期間も原則不要となるため、物件引渡しから業務開始までの期間を大幅に短縮できるスピード感も大きな魅力と言えるでしょう。

こうした特徴から、居抜きオフィスは、とにかく初期投資を抑えて迅速に事業を開始したい創業期や成長初期のスタートアップ・ベンチャー企業に特に適しています。一方で、内装や設備はあくまで中古であるため、経年劣化している可能性や、残されたレイアウト(例えば会議室の数や配置)が必ずしも自社の業務形態や希望に合致するとは限らない点については考慮しておく必要があります。

設備の買い替えや追加の工事が発生すると、想定外に高額な追加コストが発生することも想定されるため、設備を引き継いで利用する際はどの設備が利用可能か、また、退去時の原状回復はどこまで求められるかなども、契約前にしっかり確認しておくことが大切です。

関連コラム:居抜きオフィスとは? スタートアップ企業におすすめしたいメリットや移転時の注意点

セットアップオフィス

「セットアップオフィス」は、ビルのオーナー(貸主)側が、あらかじめデザイン性の高い内装や基本的なオフィス家具、什器を設置した状態で貸し出すオフィス形態です。

このタイプのオフィスでは、居抜きオフィスと同様に内装工事が不要であることから、初期費用と移転にかかる時間を大幅に削減できる点がメリットになります。加えて、内装や家具は居抜きオフィスのような中古ではなく新品、またはトレンドを反映したデザインで統一されているため、入居後すぐに質の高いオフィス環境で業務を開始できる点も大きなメリットであると言えるでしょう。

一方のデメリットとして、ハイグレードな内装や家具の費用が賃料にあらかじめ上乗せされているため、月額の賃料は他のオフィス賃料相場より割高に設定されていることが一般的です。また、内装がすでに完成しているため、自社の希望通りにレイアウトを大きく変更することは難しいという点も注意しておく必要があります。

これらの特徴から、セットアップオフィスは、高額になりがちな初期費用を抑えつつもデザイン性の高いオフィスを迅速に確保したい、特に企業のブランドイメージを重視しはじめた、成長初期から拡大期にあるスタートアップ・ベンチャー企業に最適です。

関連記事セットアップオフィスとは? 通常オフィスとの違いや魅力を徹底解説

レンタルオフィス

「レンタルオフィス」は、専門の運営事業者がビル内に小規模な個室と共用スペースを整備し、月単位などの短期間から契約できるサービスです。「サービスオフィス」とも呼ばれます。

このタイプのオフィスを選ぶメリットは、オフィス家具や通信インフラが最初から整っており、敷金・礼金も低額なため、非常に低い初期費用で迅速に事業を開始できる点です。多くの場合、受付サービスや郵便物対応、共用の会議室も安価またはプラン内で利用でき、オフィスとしての利便性にも優れています。

一方で、他社とフロアや設備を共有するため、個室の契約であってもプライバシーや機密情報の管理には注意を要します。また、利用人数が増加してくると、1人あたりのコストは通常の賃貸オフィスよりも割高になる傾向があるため、長期的な利用には向きません。

こうした特徴から、レンタルオフィスは従業員数が1名〜5名程度の創業期で、まずは低コストかつ迅速に専用の個室を確保したいスタートアップや、士業、フリーランスの拠点に適しています。

シェアオフィス

「シェアオフィス」は、一つの広いオフィス空間を複数の企業や個人事業者で共有(シェア)して利用する形態です。レンタルオフィスのような専用個室ではなく、フリーアドレス席や固定のブース席を共有の執務スペースとして利用するのが一般的です。

このタイプのオフィスを選ぶメリットは、コストパフォーマンス高く一般的なオフィスの機能を利用できる点にあります。月額料金が安価であることに加え、多くの施設で会議室やラウンジといった共用設備を無料、もしくは若干の追加料金で利用できます。また、異業種の利用者と交流できるコミュニティ機能に強みを持つ施設も多く、ネットワーキングの場としても機能します。

一方で、オープンスペースでの業務が基本となるため、プライバシーや機密保持の確保が難しい点がデメリットです。電話やウェブ会議の音声が周囲に聞こえやすく、業務に集中しにくい場合もあります。

こうした特徴から、シェアオフィスは従業員が1〜2名程度の創業したてのスタートアップや個人事業主、フリーランスに適しています。まずは登記用の住所と最低限の作業スペースを確保したい、あるいは他社との交流を重視したいというフェーズで活用されます。

関連記事シェアオフィスとは?レンタルオフィスとの違いやメリットを知って賢くオフィス活用しよう

コワーキングスペース

「コワーキングスペース」も、複数の個人や企業が作業スペースを共同で利用する形態です。シェアオフィスと似ていますが、月額契約だけでなく時間単位や日単位での「ドロップイン利用」が可能な施設が多く、より一時的な利用に適しています。

このタイプのオフィスを選ぶメリットは、契約の縛りが非常に緩く、必要な時だけ気軽に利用できる点です。高速Wi-Fiやフリードリンクが完備されたカフェのような快適な空間で作業でき、多様な業種の人々が集まるため、情報交換やネットワーキングの場としても機能します。

一方で、基本的にはフリーアドレスのオープンスペースであるため、継続的な自社の「拠点」としての機能は限定的です。固定席や法人登記用の住所として利用できない場合も多く、あくまで補助的な作業場所という位置づけになります。

こうした特徴から、コワーキングスペースは、フリーランスやリモートワーカーが自宅以外の作業場所として利用するケースや、起業準備段階の個人が情報収集の場として活用する場合に適しています。その他、企業が社員の出先でのサテライトオフィスとして契約する例も増えています。

関連記事コワーキングスペースとは?シェアオフィスとの違いや利用方法を詳しく解説

バーチャルオフィス

「バーチャルオフィス」とは、物理的な空間は提供せず、住所や電話番号といった情報のみを貸し出すサービスです。

このサービスの最大のメリットは、他のあらゆる賃貸オフィス契約と比較して、コストを圧倒的に低く抑えられる点です。月額数千円程度から都心の一等地の住所を自社の所在地として法人登記や名刺に利用でき、自宅住所を公開せずに済むため、プライバシー保護や対外的な信用の向上にも役立ちます。加えて、郵便物の受け取り・転送サービスなども基本機能として利用できる場合が一般的です。

一方で、その他の賃貸オフィスで提供される物理的な作業スペースや来客対応スペースは一切ありません。そのため、実際の業務は自宅やカフェなど別の場所で行う必要があります。また、業種によっては許認可の取得が難しかったり、法人口座の開設審査が厳しくなったりするケースもあるため注意が必要です。

こうした特徴から、バーチャルオフィスは、オフィスに集まる必要がない完全リモートワーク体制のスタートアップや、まずは法人登記用の住所だけを低コストで確保したい創業準備段階の個人事業主に適しています。

自社に最適な賃貸オフィスの選び方

ここまで賃貸オフィスの種類について紹介してきましたが、自社にとって最適なオフィスを選ぶには、いくつかの重要な基準で比較検討する必要があります。ここでは、スタートアップやベンチャー企業がオフィスを選ぶ際に考慮すべき4つの視点を解説します。

1.業務上必要な機能・レイアウトを基準に選ぶ

オフィスを選ぶ際、まず明確にすべきは「その場所でどのような業務を行うか」です。必要な機能やレイアウトは、業種や働き方によって大きく異なります。

例えば、来客や商談が多いのであれば、エントランスからの動線が良い場所に、十分な数と広さの会議室や応接スペースが必要です。逆に、エンジニアなど集中した作業がメインであれば、執務スペースの静けさやプライバシーが優先されるでしょう。また、サーバー室や撮影スタジオといった特殊な設備が必要か、将来的な人員増も見越したレイアウト変更の可能性があるかなども重要な判断基準です。

以上のような判断基準を持ったうえで、レイアウトの自由度を最優先するなら「通常の賃貸オフィス」、既存のレイアウトを許容できるなら「居抜きオフィス」や「セットアップオフィス」を選択するということになるでしょう。

2.立地やアクセスを基準に選ぶ

オフィスの立地やアクセスも、事業運営において極めて重要な選定基準です。最寄駅からの距離や利用可能な路線数は、従業員の満足度や通勤のしやすさに直結します。特に優秀な人材を確保したいスタートアップにとって、アクセスの利便性は採用競争力にも影響を与える要素となります。

また、自社の顧客やパートナーが訪問しやすい立地かどうかも考慮が必要です。主要なターミナル駅からのアクセスが良い、あるいは場所が分かりやすいことは、取引先への配慮となり、スムーズな関係構築にも寄与するでしょう。

さらに、日々の業務効率を考えれば、周辺環境も無視できません。ランチを楽しめる飲食店の充実度や、銀行・郵便局・コンビニなどが近くにあるかどうかも、オフィス選定の際には確認しておきたいポイントです。

3.コスト・契約条件を基準に選ぶ

オフィスの選定において、コストと契約条件は経営に直結する最もシビアな判断基準の一つです。まず、予算計画を立てる際は、入居時にかかる「初期費用」と、毎月発生する「ランニングコスト」の両面から精査しなくてはなりません。

初期費用は、敷金(保証金)や礼金、仲介手数料、前家賃、火災保険料などが含まれ、通常の賃貸オフィスではこれに高額な内装工事費も加わります。特にスタートアップにとっては、この初期負担の大きさがキャッシュフローを圧迫する要因にもなり得ます。

ランニングコストは、月額の賃料や共益費(管理費)です。これらの固定費が事業の収益バランスに見合っているかを慎重に判断する必要があります。

さらに、契約条件の確認も不可欠です。契約期間は通常2年程度ですが、事業の柔軟性を左右する「解約予告期間」(通常3〜6ヶ月前通知)や、退去時にどこまで入居前の状態に戻す必要があるかという「原状回復義務」の範囲は、物件によって異なります。これらの条件を見落とすと、将来の移転時や退去時に想定外のコストやトラブルが発生する可能性があるため、契約前に必ず詳細を確認しましょう。

関連コラムオフィス移転費用はどれくらいかかる?移転費用削減のポイントも解説

4.事業フェーズを基準に選ぶ

企業の成長段階、すなわち「事業フェーズ」も、最適なオフィス形態を決定する重要な基準です。会社の状況が変われば、オフィスに求められる機能や規模も変化するため、自社の現在地だけでなく、近い将来の計画に合わせた物件の選択が求められます。

例えば、創業準備期や直後の数名規模であれば、コストを最小限に抑えつつ法人登記用の住所を確保できる「バーチャルオフィス」や、低コストで作業場所とコミュニティを得られる「コワーキングスペース」「シェアオフィス」が適しています。

事業が軌道に乗り、従業員が10名を超えて急拡大するフェーズに入った場合は、初期費用を抑えつつ迅速に移転できる「セットアップオフィス」や「居抜きオフィス」が有力な選択肢となるでしょう。

さらに事業が安定し、企業文化の醸成やブランディングが重要となる安定期・拡大期には、自社のビジョンを空間に反映できる「通常の賃貸オフィス」を契約し、こだわりのレイアウトを構築するケースが多くなります。

自社の現状だけでなく1〜2年後の事業計画も見据え、柔軟に移転できる契約形態か、あるいは長期的な利用を見込むかを判断することが大切です。

賃貸オフィスに関するよくある質問

最後に、賃貸オフィスを契約する際にスタートアップやベンチャー企業の経営者・担当者から寄せられることの多い質問内容と、その回答をご紹介します。

Q.オフィス賃貸で必要になる費用の相場はどれくらいですか?

A. 契約するオフィスの種類によって大きく変動しますが、最も一般的な「通常の賃貸オフィス」の場合、初期費用の総額は月額賃料の約1年分(8〜15ヶ月分程度)に加えて、別途内装工事費がかかるのが目安です。


▼内訳(例)

・敷金(保証金):賃料の6〜12ヶ月分
・礼金:賃料の1〜2ヶ月分
・仲介手数料:賃料の0.5~1ヶ月分+税
・前払い賃料:契約開始月の日割り賃料+翌月分賃料(計1〜2ヶ月分)
・保証会社利用料:賃料の0.5〜1ヶ月分(利用する場合)
・火災保険料:年額1~2万円程度(規模による)
+
・内装工事費:坪単価20~30万円程度(内装にこだわる場合は40万円以上になる場合も


これだけの初期費用が発生することから、「賃料20万円/月の小規模オフィス」でも、敷金や内装費だけで数百万円の初期投資が必要になるケースも珍しくありません。単純にオフィスの賃料だけで見るのではなく、自社の実現したいオフィスを構築するためにどれくらいのコストがかかるのか、適切な見積りと予算計画を立てておくことが重要です。

Q.オフィス契約の際に連帯保証人や保証会社は必要ですか?

A. 多くの場合で必要です。貸主(オーナー)が賃料滞納のリスクに備えるため、特に設立間もないスタートアップや財務基盤がまだ安定していない企業に対しては、会社単体の信用力を補完する何らかの保証を求めるのが一般的です。

この「保証」について、従来は法人の代表者個人が連帯保証人となるケースが主流でした。しかし近年は、代表者個人の保証を不要とする代わりに、「家賃保証会社」の利用を必須とする物件が非常に増えています。この場合、借主は保証会社に対して賃料の0.5〜1ヶ月分程度の初回保証料(+年間更新料)を支払う必要があります。

ただし、物件によっては代表者の連帯保証と保証会社への加入、その両方を求められるケースもあるため、契約条件は必ず事前に確認してください。

関連記事:法人のオフィス賃貸借契約で「連帯保証人」は必ず必要?保証会社利用との違いも解説

Q.スタートアップにおすすめのオフィスタイプは?

A. 「スタートアップ」と一口に言っても、その事業フェーズによって最適なオフィスタイプは異なります

例えば、創業準備期や1〜2名で事業を開始した直後であれば、コストを最小限に抑えられる「バーチャルオフィス」(住所登記のみ)や、柔軟に作業場所を確保できる「コワーキングスペース」「シェアオフィス」が適しています。

その後、従業員が増え始め、専用の執務・会議スペースが必要になった成長初期のフェーズ(目安として5名〜20名程度)では、初期費用を抑えて迅速に入居できるオフィスが好まれます。具体的には、少人数用の個室がすぐ使える「レンタルオフィス」や、前テナントの内装を流用できる「居抜きオフィス」、デザイン性の高い内装が予め整った「セットアップオフィス」などが有力な選択肢となるでしょう。

自社の現在の人員規模、資金計画、そして今後の成長スピードの見込みに合わせて選ぶことが重要です。

まとめ|初めてのオフィス探しでお悩みならサンフロンティア不動産までご相談ください

今回の記事では、「賃貸オフィス」をテーマに、オフィスを購入する場合との比較から、賃貸オフィスのさまざまな種類、そして自社に最適なオフィスの選び方までを網羅的に解説しました。

ひと口に「賃貸オフィス」と言っても、オフィスの種類は多岐にわたり、その特徴は様々です。本記事を通じ、自社の事業フェーズやコスト計画、必要な機能に応じて最適な選択肢が異なることもご理解いただけたかと思います。

特にスタートアップやベンチャー企業にとって、初めてのオフィス選定は事業の土台作りにおいて非常に重要です。もし、「自社にはどのタイプが合っているのか分からない」「初期費用をできるだけ抑えたい」「急な事業拡大にも対応できるオフィスを探したい」など、初めてのオフィス探しでお悩みの経営者やプロジェクト担当者の方がいらっしゃいましたら、ぜひサンフロンティア不動産までご相談ください。

菅野 勇人

記事監修者

菅野 勇人

宅地建物取引士

セットアップオフィスから一般的なオフィスまで、多種多様なオフィスビルの魅力や特徴を熟知したオフィス物件マニア。

スタートアップ企業の移転支援経験が多く、そこで得た知見を活かし、お客様の理想のオフィス探しを全力でサポートいたします。

Get In Touch!!

希望条件が決まっていなくても、オフィス移転のプロが要件定義からご一緒させていただきます。まずはお気軽にご相談くださいませ。

お電話でのお問い合わせはこちら

03-6858-3030

平日
9:00~18:00