つい先日もスマホに通知が流れた。
30年の世界の温暖化ガス、10年比16%増 国連が報告書 : 日本経済新聞(2021年10月25日 22:37)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR244C10U1A021C2000000/
20年のCO2濃度、排出量減でも過去最高更新 : 日本経済新聞(2021年10月26日 4:46)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR25D1M025102021000000/
covid-19との付き合いはもうすぐ丸2年。
おさまりつつある状況はうれしい限りだが、自然界との共存はこれまで以上に深く険しい時間となりそうだ。
そういえば2年ぶりにCOP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)も10月31日からイギリスのグラスゴーで行われるという。
1997年のCOP3では先進国だけに課せられる排出量削減義務、いわゆる京都議定書が合意されたが、アメリカが離脱、先進国ではないが大量排出国である中国とインドが規制対象外という状況だった。
2015年のCOP21において、新興国も途上国も関係なく、加盟する196か国のうち191か国が2020年以降の温室効果ガスの削減目標を定めるパリ協定に合意または批准している。
その内容はこうだ。
「地球温暖化を産業革命前と比較して2℃よりも遥かに低い、できれば1.5℃までにおさえること」
もうひとつ、そういえば、菅元首相が2020年10月の所信表明で2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量を、植物などによる吸収との相殺で実質ゼロにすること)を目指すことを宣言をされたのは記憶に新しい。
とても驚いたのを記憶しているが、しかし一方で「なになに?いきなり?」と感じた方も多いのではないだろうか。
これについては、この時点で157国中120か国が宣言済みで、宣言の猶予期間もわずか1週間というタイミングだった、と紹介させていただく本書にあった、なるほど。。。
もはやSDGs、ESG、脱炭素、気候変動といった言葉は当たり前になった。
これまでは大枠の説明や流れについて描かれているものが多かった書籍も、最近は本書のようにさらに細かく枝分かれし、特化したジャンル書籍も増え、詳しい内容を知りに行く事ができて喜ばしい。
本書も、脱炭素社会、カーボンニュートラルな世界への道筋やこれまでの経緯も詳しく紹介されているのに加えて、カーボンニュートラル=地球脱市炭素社会ビジネス、そう、これはすでにビジネスなんだ!というところに深堀された書籍である。
例えば・・・・現在は明確に1.5℃をターゲットにしているという内容。
~1.5℃以内の上昇したときに何かが変わったり、世界が破滅したりする、というわけではありません。ですが、今起きている悪影響が大きくなることは確かです・・・これが2℃になると、話が変わってきます。2℃上昇するとスイッチが入ってしまうのではないかと。そうなったあとに温暖化を止め、気温が上昇しなくなったとしても氷は解ける・・・~
・・・そういうことか!分かりやすい!
もうひとつ。
~2021年、米ウォールストリートジャーナルとトロント大学が共同で実施した調査によると、EVであるテスラのモデル3のほうが、ガソリン車であるトヨタのRAV4と比べて、製造段階で2倍近くのCO2を排出していることが分かった。一方で、もちろん走行中のCO2排出量はモデル3のほうが少なく、モデル3が3万3,000キロ走行した時点でRAV4と並ぶ計算となった。つまり、3万3,000キロを走行するまえに廃棄してしまうことがあれば、ガソリン車のほうがエコということになる・・・~
・・・そういうことか!分かりやすい!
グリーンジャイアントについて、こちらも一部を抜粋させていただく。
~本書では、新たにエネルギー業界の盟主へと躍り出てきた企業たちを、「グリーン・ジャイアント(再エネの巨人)」と呼ぶ。
アメリカでは2020年10月、再生エネルギーのネクステラ・エナジー社は、ジョン・ロックフェラーが創立したあのエクソン・モービルの時価総額を抜いた。
イタリアでは再エネ企業のエネルが、半国営石油企業であるエニを抜き、同様にスペインでも、再エネのイベルドローラが石油・ガス企業のレプソルを捉えた。さらにはデンマークの再エネ企業オーステッドが、BPを抜いた瞬間があった。
いずれも、世界のエネルギーが転換期を迎えることをいち早く気づき、10~20年前から再エネへと一気に舵を切った企業である。
そして、今、ようやく時代が追いつき、彼らはすでに世界のエネルギー変革の主役となっている~
以前のレビュー、フードテック革命でも紹介したビヨンドミート、インポッシブルフーズも登場する。
日本企業もレノバ、JERAといった企業も紹介されている。
2050年のカーボンニュートラルは大丈夫か・・・とも感じてるが、日本において、いや環境ビジネスとなるとそうもいかない。
気になる筆者の一文があったので、こちらも抜粋させていただく。
~筆者からの視点として意識していただきたいことがある。それは冒頭でも伝えた歴史の転換点において、この20年間、日本は常に塗り替えられる側に位置しているということである。21世紀に入り、インターネット、クラウド、スマホなど、世界を席巻するテクノロジーにおいて、日本はまったくもって存在感を示せず・・・電力でもそれは同じだ。日本は原発や、石炭・ガスの火力発電といった従来の発電を手掛けるメーカーこそ多数抱えるものの、今世界の主役に躍り出ている太陽光や陸上、洋上の風力における存在感はほぼゼロだ・・・結果グリーンジャイアントのような存在はおろか、それに準ずる存在さえ、日本からは登場していない~
インターネット、クラウド、スマホ、そしてグリーン・・・
メイドインジャパンがけん引していてきた時代はとうに終わり、グリーンビジネスにおいても、いまのところジャイアントの存在が見えないという現実を垣間見る。
悔しい。
ひとつだけ確かなこと、それはカーボンニュートラル目標達成に寄与すること。
おすすめの書籍!
#サンブログ #sunblog #ブックレビュー #サンフロンティア #グリーン・ジャイアント #脱炭素ビジネスが世界経済を動かす #森川潤 #NewsPicks #文藝春秋 #脱炭素 #気候変動 #COP26 #パリ協定 #京都議定書
■参考サイト
NewsPicks – 森川 潤
https://newspicks.com/user/171454/
「世界一の技術が日本にある」太陽光や洋上風力より期待が大きい”あるエネルギー源” 火力発電の技術も活用できる | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)森川 潤
https://president.jp/articles/-/50719
「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(2021年6月)内閣官房他
https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210618005/20210618005-3.pdf
グリーン社会の実現 | 首相官邸ホームページ
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/tokushu/green.html
2021年1月のさと、うま データでわかる 2030年 地球のすがた@夫馬賢治 | サンブログ
https://search.sunfrt.co.jp/blog/staff/yby/p14416/
2020年10月のさと、うま 地球に住めなくなる日「気候崩壊」の避けられない真実@デイビッド・ウォレス・ウェルズ
https://search.sunfrt.co.jp/blog/staff/yby/p14235/
2020年9月のさと、うま フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義
https://search.sunfrt.co.jp/blog/staff/yby/p14207/
タイトル:グリーン・ジャイアント 脱炭素ビジネスが世界経済を動かす
著 者:森川潤
発行日 :2021年9月20日
発行所 :株式会社文藝春秋