2021年1月のさと、うま データでわかる 2030年 地球のすがた@夫馬賢治

10年後の2030年の地球のすがた。
新書300ページほどの量ではありながら、地球がもつ多岐にわたる問題でいっぱいだ。

私が書籍で注目するのは「まえがき」なのだが、本書の注目まえがきはここだ。
…いま、グローバル企業と機関投資家の間で特に危機感が共有されているテーマは、「気候変動」「農業」「森林」「水産」「水」「感染症」「パワーシフト」「労働・人権」の分野だ。極論すれば、この8分野に対して長期的なリスクを見据えたアクションを打ち出せていない企業は、機関投資家からすれば、成長性や将来性が薄い企業と映ってきている…

そうか!
分かっていたつもりだった事がつながった瞬間だ。
感染症、気候変動、フードテック、ESG投資、SDGs…それぞれのテーマが大きすぎて、個別に捉えてしまっていたが、そうではない、地球のすべては循環していると。

あ、やっぱり!
もう1箇所を抜粋させていただく…メガトレンドは変化の波は大きいが、長い時間をかけて押し寄せてくるため、その変化に気付きづらかったりもする。特に人は歳を重ねるほど変化に鈍感になりやすい。そして過去自分が経験してきたことが未来永劫に続くと思いこんでしまいやすい…

そう、思い込んでしまうのです!
スケールが大きいと特に。。。

気を取り直して本書のレビュー。
本書は地球に影響を与えるメガトレンドと呼ばれている前述の8つ(「気候変動」「農業」「森林」「水産」「水」「感染症」「パワーシフト」「労働・人権」を各章に分類してあるので、非常に捉えやすい。
各章のタイトルとキーワードをベースにしたものをご紹介。

第1章 顕在化した気候変動の猛威
キーワード:異常気象、気温上昇、異常気象、海面上昇、損保会社の経営リスク他(日本のハザードマップは河川増水リスクの表記であり海面上昇は考慮されていない、格付会社や投資会社は傘下に物理的リスクの分析部門を設けている、世界の不動産会社の中で最も物理的リスクにさらされている不動産会社は…)

第2章 迫りくる食糧危機の実態
キーワード:食料需要、食糧難、気候変動と食糧生産量、食料囲い込み、遺伝子組み換え(日本の食料自給率は60年前の79%から37%に、大豆の生産量は伸びているがそれを口にしているのは…、人口爆発と食生活の変化)

第3章 消える森林と食品・小売企業への影響
キーワード:大豆、パーム油、牛肉、コーヒー、チョコレート(アマゾンの熱帯雨林破壊は木材伐採ではないという事実、人工林と自然林の絶対的な違い、現在の森林破壊で最も深刻なのは…)

第4章 食卓から魚が消える日
キーワード:飽和状態、タンパク質シフト、養殖、プラスチックごみ、IUU(人類に必要なものは食事ではなく三大栄養素、何温が上がると赤道付近の国では漁獲量は減り北極圏で増える、違法なIUU漁業の割合は…)

第5章 水をめぐる社会戦争
キーワード:水ストレス、バーチャルウォーター、社会紛争、淡水化(人類が必要としている真水の更に取得しやすい水は水全体の0.01%しかない、人口増加や気候変動によって節水制限が起きる、輸入食品も海外の水資源のおかげで成り立っている)

※参考:環境省_バーチャルウォーター_仮想水計算機
https://www.env.go.jp/water/virtual_water/kyouzai.html

第6章 感染症の未来
キーワード:コロナの次のリスク(気候変動による猛暑が熱中症拡大、地球温暖化による永久凍土融解による病原菌露出、生態系の変化から発生するウイルス)

第7章 世界のパワーシフト
キーワード:人口減少、ひとりあたりGDP、大きくシフトすする中間層の所在地(先進国最下位のGDP伸び、世界市場に占める日本市場比率は2000年の11%から2050年は2%に、ダイバーシティが不可欠に)

第8章 サプライチェーンのグローバル化と人権問題
キーワード:児童労働、未就学児童、現代奴隷(労働力の減少に伴う外国人労働者雇用の裏側)

各内容は是非、本書を手にして読んでいただきたい。
本書をおすすめするポイントは3つ。
1、より多くの事象を統計で表現していて分かりやすい
2、「どれか」ではなく「すべては」つながっていると理解できる
3、リスクあるところに対策と価値が生まれている(投資、企業、挑戦)

新形コロナウイルスの発生から1年。
我が国は2度目の緊急事態宣言の真っただ中で、これまで普通だった個々の「行動」に制約がかかっている。
制約の中、本書を読み、10年後の未来は、もしかしたら自分たちの責任でもっと大きな制約を生んでしまうかもしれない、そう思ったが、そうか!この行動制約は、きっと地球からの切実なお願いだ、と思い直し、今日からマイボトルに切り替える!

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#夫馬賢治 #日本経済新聞出版社

■参考サイト
夫馬 賢治 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
https://forbesjapan.com/author/detail/1338

夫馬 賢治 KENJI FUMA | 現代ビジネス
https://gendai.ismedia.jp/list/author/kenjifuma

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タイトル:データでわかる 2030年 地球のすがた
著  者:夫馬賢治
発  行:2020年7月9日
発行所 :日本経済新聞出版