通勤途中で事故にあってしまった場合、一定の条件を満たしていれば労災保険を使うことができます。労災保険の対象として認められるためには、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか。基本的な情報や注意点などと共に解説します。
労災保険とは?
労災保険といえば、仕事中のケガや病気、死亡した場合に補償を受けられる制度です。労働者を保護するための制度ですが、知識不足のまま、補償を受けられていないケースも少なくありません。
実は労災保険が対象とするのは、業務中のトラブルだけではありません。通勤中の事故についても、労災保険法第7条1項2号において対象としています。
労災保険を使うためには、通勤中の事故であることが大前提
事故にあうタイミングはさまざまです。通勤以外にも、買い物やレジャーなど、外に出る機会は多いですし、その中のどこで事故にあってもおかしくないのが現実です。しかし労災保険を使うためには、「確実に通勤中の事故であった」と認められる必要があります。
- 住まいと就業場所との往復中の事故
- ある就業場所から、別の就業場所への移動中の事故
- 単身赴任先から住まいへの帰省移動中の事故
これらについては労災認定が下りる可能性が高い一方で、以下のようなケースでは注意が必要です。
- 仕事前に朝食を食べに出かけた途中の事故
- 仕事帰りにショッピングに出かけた後、帰宅中の事故
このような場合、通勤中の事故とは認められず、労災を使えないケースも存在しています。
また労災として認定されるためには、合理的な経路及び方法を選んだ上での事故であった場合のみです。用事もないのに遠回りをしている場合や、酒酔い運転、無免許運転などをしていた場合も、やはり労災を使うことはできません。
通勤災害で受けられる保険給付の種類
通勤災害で労災保険を使用する場合、受けられる保険給付は以下の7種類あり、あらゆる状況に応じて保障が用意されています。
- 療養給付
- 休業給付
- 障害給付
- 遺族給付
- 葬祭給付
- 傷病年金
- 介護給付
通勤中の事故に対して自賠責保険を使った場合、ケガの治療費の上限額は120万円です。これを上回ることになれば、加害者側の任意保険を使用することになります。一方で労災保険を使った場合、治療費の上限は設定されていません。安心して治療を受けられるでしょう。ただし状況によっては自賠責保険を使用した方がよいケースもあり、慎重に検討する必要があります。
労災は、自分自身が申請して初めて認められるものです。通勤中に事故にあった場合には、まず労災が使える可能性があるかどうかを検討してみてください。選択肢が増えることで、より手厚い保障を受けられる可能性もあります。