サステナブルでスムーズなオフィス移転が可能となる「居抜き退去」の需要が高まっています。
居抜きによる退去は、コストの削減や時間の節約のみならず、環境への負荷軽減にも貢献できるなど、さまざまなメリットがあります。
今回は、オフィスの居抜き退去について解説します。
オフィスの居抜き退去とは
居抜き退去とは、オフィスの内装や造作をそのままの状態で後続テナントに引き継いでいける退去方法のことをいいます。
通常、賃貸オフィスに入居する際には、内装のための工事や什器の搬入など、オフィス機能を備えるための事前準備が必要です。
退去する際には、原状回復工事をして借り受けた時点の状態に戻さなくてはならず、賃貸借契約書にも「契約期間内に原状回復をして明け渡す」という内容が明記されているのが一般的です。
原状回復の主な項目としては、内装造作の解体や撤去、床や壁の張替、天井の舗装や補修などが挙げられます。
オフィスを居抜きで退去するメリット
居抜き退去の代表的なメリットには、以下が挙げられます。
大幅なコスト削減が可能になる
居抜き退去の最大のメリットといえば、原状回復にかかる工事費用が抑えられることでしょう。オフィスの設備や什器類の廃棄費用も削減できるため、大幅なコストカットが期待できます。
時間と手間の節約になる
原状回復のための工事には1ヶ月前後かかるケースが多く、時間帯や曜日の制約がある場合もあるため、円滑に進めるためのスケジュール管理も必要です。居抜きによる退去であれば、時間も手間も節約されて通常業務にも集中することができます。
ストレスや負担が軽減される
退去のためにかかる費用や時間、手間や労力を減らせる居抜き退去は、通常よりもスピーディーな退去が可能です。オフィス移転のための作業がスムーズに行えることで、従業員一人一人の負担やストレスの軽減も期待できます。
SDGsの取り組みに貢献できる
通常のオフィス移転では退去時と入居時でそれぞれの工事が必要となり、トータルで大量の産業物廃棄物やCO2が発生します。使えるものを次の借主に引き継いでいける居抜き退去や居抜き入居は、環境にも優しいオフィス移転といえるでしょう。
スタンダード化する居抜き退去
居抜き退去は、かつてはイレギュラーな退去方法でしたが、近年ではオフィス移転の選択肢としてスタンダード化する傾向にあります。
従来は、同じオフィスに長期間入居するのが一般的だったため、移転する際に内装や什器を残していけるほど状態がよいオフィスというのは少ないものでした。
昨今では1~3年程度の短期間で移転するケースが増え、退去時に状態がよいままのオフィスも増加しています。
新型コロナウイルス感染症の流行によって急速に進んだテレワークの普及など、働き方が多様化したことで、オフィスの選び方にも変化が見られるようになっています。
オフィスの移転を考えた際には「居抜き退去」という選択を考慮にいれてみてはいかがでしょうか。