オフィスの移転には必ず関わる法律の手続きの数々。
中でも消防法は従業員の安全にも関わることであり、管轄消防署で必ず申請の手続きが必要です。
とくにオフィスのレイアウト工事をお考えでしたら、工事の着手前に防火対象物工事等計画届出書を準備する義務があります。
防火対象物工事等計画届出書とは
防火対象物工事等計画届出書とは、指定防火対象物等の入居にあたって、建築、修繕、模様替えなどの内装工事を実施する場合、着工の7日前までに消防署へ届け出なくてはならない書類です。
指定防火対象物とは火事が起きた際に大きな被害が予想される建物が該当し、詳細が定められています。
ショッピングモールやテナントビルがおおむね該当しますが、賃貸オフィスも建物の規模や内装工事の内容によっては防火対象物に当てはまります。
防火対象物工事等計画届出書だけを提出すれば良いわけではなく、ほかにも複数の添付書類が必要です。
防火対象物の概要表・案内図・平面図・詳細図をはじめ、合計8種類が求められます。
簡単な工事でも手続きが必要なケース
工事とも言えないような簡単な作業でも、防火対象物工事等計画届出書が必要か?と思う人もいるかもしれませんが、内容によっては必要になります。
たとえばフロア内をパーティションで簡単に区切るだけでも、パーティションの高さや位置で消防法に関わる可能性があるためです。
消防法はスプリンクラー・火災報知器などの防災設備の設置について厳格な規定を定めています。
パーティションの設置でこの項目に関わる状態になると判断されれば、防火対象物工事等計画届出書の提出が必要です。
書類は8種類もありますし、着工7日前ギリギリに提出しようと思っても、なかには揃えにくい書類もあるかもしれません。
もし不明な点があれば、管轄の消防署や内装工事を担当する業者へ確認しながら、できるだけ早めに必要な書類を揃えるようにしましょう。
また、提出義務のある書類は防火対象物工事等計画届出書だけではなく、ほかにも同時に管轄消防署へ持参する書類が複数あります。
防火対象物使用開始届出書・防火・防災管理者選任(解任)届出書・消防計画作成(変更)届出書がそれにあたります。
ただ、これらの書類は着工7日前ではなく、移転日の7日前が提出期限になっているため、そこまで急ぐ必要はないでしょう。
いずれにせよ、オフィス移転の際には消防法が深く関わります。
従業員の安全を守るためにも、スムーズな移転を実現するためにも非常に重要な手続きですので、早めに確実に申請を済ませるよう気をつけましょう。